徹底抗戦宣言 ~マツ材線虫病~
吉田です。15年の節目の日を迎えました。あまり書きたくないことですが、残念ながら、はっきり書かねばなりません。名取海岸林も半永久的な「マツ材線虫病」との闘いが始まりました。逃れられない病気です。今年、全国で大きな被害を出していることは、これまでブログで数々紹介してきました。
森林害虫は400種類以上と言われていますが、梅には梅の病気があります。10数年前、青梅市の梅は全滅しました。コナラなどの広葉樹はカシノナガキクイムシがとうとう北海道にも侵入。ソメイヨシノにもクビアカツヤカミキリ、大台ケ原、富士山、蔵王ではトウヒツヅリハマキの大被害を受けました。
昨年3月以降、マツ枯れを思わぬ日は、本当にただの一日もありませんでした。とうとう「決して逃げられない敵」がオイスカが管理する内陸防風林に侵入し、2015年にわれわれが植えた宮城県産マツノザイセンチュウ抵抗クロマツが枯死したのです。すでに名取市内のオイスカ管理地外が発生源になり、拡大したのは明白です。この病気の怖さを知らない関係者が多いことにも戸惑っています。なにしろ「初期対応」です。「油断」「不勉強」が禁物です。松林が真っ赤になり、数年のうちに壊滅するのです。「1本ぐらい見逃してもいいだろう」という甘い対応が一番ダメなんです。森林・林業の大家、東大名誉教授の太田猛彦先生は、この「マツ材線虫病」という病気を「エボラ出血熱」に例えたことがあります。根絶は極めて困難なのです。ですが、施業技術は確立されています。覚悟を決め、なすべき時までに確実に対処して、微害に抑えている事例はあります。
昨年3月19日、ラーメン「ねぎっ子」に行く途中、空港敷地内北側とそれと接する内陸防風林のが金色に変わったことを確認しました。いわゆる「越冬枯れ」と疑いました。4月2日、マツノマダラカミキリが脱出するまでの至急の対応を願って地元会員企業に仲立ち・同席いただき、空港職員の方々に説明しました。同時進行で、市役所にも所轄の宮城中央森林組合から申し出ていただきました。もちろん、県にも国にも状況説明・対応を繰り返しお願いしました。しかし、5月には必ず終えているべき肝心要の「伐倒駆除」「破砕もしくは薬剤燻蒸」の不履行を見て、この夏以降の被害拡大を確信しました。この病気の恐ろしさが知られていないこと、全国からの数多の寄付と27,000人のプロ・ボランティアの努力が何とも思われていない現実に、責任者として非常に悲しい思いと自分の力不足を感じました。
「被害は広がる」と思い、記録を続けています。9月上旬以降は、毎週のように東京名取を往復しましたが、そのたびに被害木が増えました。森林組合の方たちの、この春の身近な場所での「越冬枯れダメ施工実例」への憤りを聞きました。「お金をドブに捨てている」と。
10月4日の全国育樹祭「育林交流集会」シンポジウムの朝、空港東の残存林南端にまた新たなマツ枯れを見つけてしまい、非常に悔しい気持ちでリハーサルに向かいました。プレゼンを前に暗澹たる思いでした。私も10年か20年に1回ぐらいはガックリすることもあります。さらにシンポジウム会場である人に、「吉田君は松枯れにはならないって言ったじゃん!」と言われました。世間では「マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ=枯れない」と思われているんです。自分の名誉のために書きますが、そんなことは、一度も言ったことはありません。それよりむしろ、14年を超える道のりの、27,000人への労いの一言もなく。これが社会一般から見た認識です。全国育樹祭の宮城開催という日ながら、内心は空しかった・・・。あらためて、プロジェクトを取り巻く現実社会を再認識する日となりました。
全国育樹祭を終えて帰京した晩、大勢の人から松枯れ被害を責められる「夢」を見ました。昔、クロマツばかり植えることをなじられる夢も見たし、現実にもありました。オイスカが責められるのはいくらなんでも見当違いです(笑) でも事実、そういう人も出てくるでしょう。冷やかしや粗探しもあるでしょう。それでもあの頃のように辛抱します。
以降、予想通り海岸林まで被害が拡大し、11月1・2日の独自調査で市内沿岸部全体で188本を確認しました。うちオイスカ協定外が65%です。名取の数㎞南から先はとうに激害地。名取でもはじめの一歩が始まったとの認識しています。11月13日、懇意にさせていただいている当代一流の専門家、森林総研東北支所の中村克典さんも被害確認に駆けつけてくださりました。中村さんのような熱意のある方々のお世話になりながら、松くい虫病防除のモデルを目指します。私はこれまで15年間、全国各地の激甚被害地、徹底防除先進地をいくつも訪ねました。この文章も、「過去最大の松枯れ被害」と報道されている宮崎県の「一ッ葉海岸」(「シーガイヤ・リゾート」で知られる)で書いています。この数年、伐採が追い付かない年が続き、被害が拡大したようです。12月には松枯れ防除実践講習会in宮崎(全国から100人余り参加。私は参加2回目)も受講しました。もう枯れてないだろうと思った2月末、また新たな松枯れ被害木を4本(林内2本・仙台東部道路名取IC内2本)発見してしまいました・・・
一般市民対象に、今週末14日(土)、仙台防災未来フォーラムで勉強会をします。ぜひご参加ください。全国の事情に精通する超現場型専門家の中村さんをお招きしました。
「マツ材線虫病」との終わりのない闘いが始まります。ですが、名取だけじゃダメなのです。県内各市町と地元関係機関の理解と連携、行政の徹底対応が何より肝要です。関係者が一から研修・勉強会を始めないといけないのでは。わかってるふりは、もうたくさんです。いろいろな場面で、「オイスカはお金があるから、松枯れ対策は彼らにさせておけばいい」という本音を垣間見ることもあります。「われわれの資金が底をつき、名取で頑張れる寿命が短くなるシュミレーション」の現実化も感じます。コストがかかるのはマツ枯れだけではありません。葛との戦いも道半ば。2027年度からは樹高10mを越えている本数調整伐2巡目も始めるでしょう。
これまで15年、多くののプロ・ボランティアとともに全力を尽くし、納得のいく施業ができました。あらためて皆さんに心から御礼を申し上げます。そして今、マツ材線虫病との徹底抗戦を宣言し、最強の海岸防災林を目指します。これからもご協力のほど、よろしくお願いします。
不動の決意で頑張ります。

2015年植栽「内陸防風林」の枯損確認







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三浦さんが発見






「フラス」(糞と木くず)
罹患を確信

「フラス」(糞と木くず)

このあと11月に調べつくし、名取市沿岸で188本の枯死を確認。以下は、2026年になって見つけた4本。





