名取から世界へ その1

2024年3月11日( カテゴリー: 海外との連携・発信, 現場レポート )

本部・啓発普及部の林です。

3.11を前にした週末、名取に日帰りで行ってきました。
日帰りで行くことはなかなかないのですが、今回はウズベキスタンの
環境副大臣が現場を視察されるということで、その対応のための訪問でした。
(結局副大臣は急きょ帰国しなければならなくなり、視察はかなわず、
環境省の国際部長さんと林野庁の国際関係部局長さんのお二人にお越しいただきました)

東京からは、ウズベキスタン担当の長部長に同行してもらい、
また現場では佐々木統括に案内役をお願いし、昨年10月にウズベキスタンを訪問した
大槻さんや「名取市海岸林再生の会」の鈴木英二会長にも同席いただきました。
(森さんも来てくださっていました!)

左から長部長、佐々木統括、林野庁国際部局長さん、環境省国際部長さん、そして今回素晴らしい通訳をしてくださった株式会社ニッポンドのナジロフ・ドニヨル代表取締役社長)

現在オイスカでは、ウズベキスタンで沙漠緑化に取り組んでおり、
同国の森林行政に関わる方々とは密に連携をしていくことが求められています。
今回外務大臣の訪日に同行された環境副大臣ご一行様が
日本の森づくりの現場を視察したいということで、調整を進めてきました。
結果的に副大臣にはお越しいただくことができませんでしたが、
実務レベルの担当責任者のお二人にオイスカの現場を見ていただき、
意見交換をする機会を持てたことはとてもよい機会となりました。

佐々木統括からはプロジェクトの経緯や概要などのほか、低コスト林業の実施の重要性、
また、その実現のための努力などが語られると「資金はどう集めたのか」
「再生の会が苗木生産をして販売した分の収益は誰にどう配分されたのか」
「これまでにどのくらいの費用がかかったのか」など具体的な質問が多く飛び出しました。

鈴木会長からは「一番大事なのは官民の連携。オイスカが海岸林の再生を手伝うといって
名取に来てくれたが、我々地元の人間が行政と一緒になって取り組んでいかなければ成功しない。
アラル海での緑化も、同じように取り組んでもらいたい」とコメント。
私たちは、どの国においてもプロジェクトを通じて、
地域の人たちが豊かになる方法を模索しながら活動を続けています。
地域の人たちが主役でなければなりません。
地元の代表でもあり、2度アラル海での緑化活動に参加している鈴木会長から
一番の肝の部分をズバッとお話しいただけてとてもうれしかった!
(準備段階で、どうやって現地のお役に立つ技術について伝えたらいいかを悩んでいて、
日本の林野庁から現地林野庁に専門家として派遣されていた方に相談したりしていたのですが
最後は「オイスカらしさを伝えることが大事」という結論に達していたので、
その打ち合わせなく、鈴木会長が伝えてくださったので心の底から拍手!でした)

      佐々木統括(右)が缶コーヒーを鍋で温めてもてなしてくれました!

ウズベキスタンは世界に二つしかない二重内陸国
(国境を接する国のすべてが内陸国=海なし国)で
森林率は10%にも満たない、日本とは全く違う自然環境の国です。
海がない国での造林に、海岸林の技術が役に立つだろうかと思われるかもしれませんが、
乾燥地が広がるウズベキスタンにおいては、海岸という貧栄養の乾燥地における技術は
参考になるものが多いのではないかと考えています。

ただ、今回の視察や意見交換を通じてお二人がとても関心を持っていたのは
鈴木会長が大事だと指摘した官民の連携がどのように実現されているのかという点。
ウズベキスタンでも民間の力をどのように森林行政に活かしていくかは
これからの大きな課題になっているようです。

ウズベキスタンでもオイスカは官民の連携にとどまらず、国を超えたさまざまな団体が
一つの目的に向かって一緒に活動していくための調整役を担うつもりです。
行政と地域の住民たちが一緒になって活動するのをお手伝いする時、
その役割をうまく発揮できるよう、今回のお二人が行政側の立場から
いろいろサポートしてくれるようになったら本当にうれしいことです。

今日、東日本大震災から13年となりました。
あの震災後、オイスカは、長年海外で取り組んできた植林プロジェクトの
ノウハウや手法をもとに「海岸林再生プロジェクト」を立ち上げて歩んできました。
海外からの視察も多く受け入れてきました。オイスカの海外の現場スタッフの研修も
この現場で実施しましたし、これからも実施する予定です。
もっともっと、多くの国の活動のモデルとなれるよう、
これからも歩みを止めることなく、取り組んでいきます!

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