ご無沙汰しております!東京都立大学に所属する大学院生の梶原です。

初めましての方もいるかと思われますので簡単に自己紹介をしますと、私は2020年から名取の海岸林を対象に、「クロマツが育つ土と育たない土にはどのような違いがあるの?」ということを研究しております。
前回の記事はこちら

今回の記事では、昨年7月22日(土) ~ 7月24日(月)の3日間にかけて行った調査からわかったことをご紹介できればと思います。

まずは、前回の調査のおさらいを。

前回の調査でやったことを一言で言えば、「ひたすらに土をとる」に尽きます。名取の海岸林の土は数歩歩けば大きく環境が変わるようなトンデモ土だったので(詳しくは2023年7月19日のブログを参照ください!)、「クロマツが育つ土と育たない土の違いはズバリ、○○だ!」と、ビシッと言うためには、多くの地点から土を取って、たくさんのクロマツと照合する必要があります。結果から言えば、3日間でおよそ300地点の土をとり、1000本近くのクロマツの樹高と根元径(幹の太さ)を計測していました。

調査の様子です。研究室の先生や先輩・後輩には本当に助けられました


そして、無事に調査を終えたところで、怒涛の実験が始まります。
頑張って土を取ってきてしまった分、それだけ多くの回数実験を行わなければいけないわけで……。

実験の際は、1つの地点につき最低2回以上繰り返してデータを取る必要があるので、300地点の土があると、600個以上のデータが必要となります。この場合、実験にかかる1つの行程を、1個1分ペースでこなしても、全部終わるのに600分(10時間!)かかります。この手間が実験に関わる全ての行程で発生するわけですから、もう大変です。おかげで、7月に調査をしたはずなのに、結果が出るのに半年以上かかっちゃいました……。

でも、長らく頑張った甲斐があり、それなりに良い結果をだすことができたのではないかと思っています。

結論から言えば、「土が酸性であるか・土の水はけが悪いか」という2つの観点で、クロマツにみられる生育不良の原因の42%を説明できることがわかりました。また、この2つの観点のどちらの方がクロマツへの影響度が強いかという点に関しては、ケースによって異なります。

オイスカさんのモニタリングプロットを参考にご説明しますと、異なるモニタリングプロットの間にみられる数mレベルの大きな生育差に関しては、「土が酸性であるか」という部分がかなり効いていると思われます。土が酸性だと、アルミニウムイオンのような植物の生育に有害な物質が溶け出してしまうので、クロマツが弱ってしまいます。今回は、そのような特徴がはっきりと見られたということですね。

一方で、同じモニタリングプロット内に見られる細やかな生育差に関しては、「土の水はけが悪いか」という部分が効いていました。恐らく、ちょっとした土の硬さの違いや傾斜などが雨水の動きに影響しているのではないかと思います。

これらの結果をふまえると、オイスカの皆さんが取り組まれていた土壌pHの調整や溝切りは非常に的確な施策であったことがわかります!

なお、先ほど生育不良の原因の42%を説明できるといいましたが、残りの58%に関してはまだわかっていません。土に原因があるかも知れませんし、日当たりや潮風の当たりやすさなど、土以外に原因があるのかもしれません。

そして、この謎めいた58%を少しでも解明するために、3月末に再度調査を行いたいと思っています。今回は、土だけでなく、クロマツの落ち葉も集めることで、ちょっと面白い分析を行えればいいなと思っています(写真は落ち葉などを集めるためのリタ―トラップと呼ばれるものです)。
詳しくは、後日改めてご紹介します!

私は大学の博士課程に進学したため、あと2年ほど名取の海岸林で研究を行う予定です。少しでも今後の管理のお役に立てるような情報を発信できるよう、頑張りたいと思います。

引き続きよろしくお願いいたします!

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