新年のご挨拶と先々の展望を
あけましておめでとうございます。吉田です。海岸林担当として、近況や先々の展望を。
令和6年能登半島地震、羽田空港の事故、インドネシア・西ジャワでも地震があったようです・・・寝正月はあっさり終わり、お酒を飲むのも忘れました。犠牲になった方々のご冥福と、余震で2次災害が起きぬこと、そして復旧がガンガン進むことを祈るばかりです。
地震のその時は、大阪マラソンのトレーニング中で(肉離れで、ただ歩くのみですが・・・)、知るのが遅れました。能登・富山は、海沿いを何度か徹底的に見たことがあります。能登半島は陸の孤島と化すとまず思いました。富山・石川にはオイスカの会員もいます。富山では、入善町海岸防災林などを親しい北陸電力の役員さんがご一緒くださりました。滑川市の水野市長は、海岸林再生プロジェクトのために大阪マラソン2018を走ってくださった方です。この3日間、私はSNSを含む映像などをひたすら見るだけでした。いまごろ電力会社をはじめ東北の方たちの中には、恩返しの気持ちを胸に、現地で奮闘している人がいることでしょう。
1月27日(土)11時~12時、宮城県名取市の「海岸林再生プロジェクト第2次10ヵ年計画」の現場から生中継オンラインイベントを企画しています。内容的には、現場に来たことがない人にも伝わるように・・・と。僕らの復興支援は、まだ続いていることを知っていただきたくて。詳しくは下記をご覧ください。
https://oisca.org/events/e240127/
この日は、ボランティアやオイスカ外国人女性職員による「本数調整伐(間伐)」の模様を中心にお伝えします。林業のプロも近くで伐採をしているかもしれません。若い衆もいます。彼らの働きっぷり、重機やダンプの様子も見せたいですが、これはその日にならないとわかりません。
撮影:2012年6月
(約7m)
撮影:2023年12月
震災から10年の当プロジェクトの記録が書かれています
名取市の海岸防災林(全長5㎞×幅200m=100ha)の森林整備が理想的完成を迎えるのは2060年ごろと見ています。想定よりかなり早い成長をしていますが。葛との戦いは予想以上に過酷です。さらに、なによりの大仕事は、6回の間伐(伐採率各回33%)です。より低い位置から育つ豊富な枝葉、より広く、深く伸びる豊富な根、太い幹、高い樹高の「強い防災林」に仕立てるのが目的です。間伐によって、5,000本/㏊のクロマツが、最終的には樹高20m前後、800本/ha程度(最小の場合400本/ha)になると想定しています。
2011年以来、プロ10,000人以上、ボランティア約14,000人が従事したこの現場は、おかげさまで無事故を続けています。これが僕らの誇りの1つです。「地球沸騰化」した去年も、プロは約800人、8時間従事ボランティアも全国・海外から1,152人が様々な作業に当たってくれました。(私を含む数名はハチに刺されましたが)
この仕事は「最強の海岸防災林を作る」ことが目標です。おかげさまで、この目標を共有する輪は十分出来たと思います。ですが、将来世代にも理解され、愛される森にする広報啓発の努力は延々と続ける必要があると痛感しています。これが一番難しい仕事と感じています。まだまだ私たちの努力が必要です。
2020年まで大声で募金した8.5億円のご寄付で日々の運営をしつつ、一部を積み立てました。施業も順調で、生育率が極めて良く、想定外の低コストとなり、当初計画にはなかった大事業の間伐費用まで捻出可能となりました。2021年以降も寄付を継続してくださる企業・労組が予想以上に多く、いい意味で積立金取り崩し開始を先送りできました。ですが、この積立金が尽き果てた時が一応の区切り。もしオイスカは、このスタイルで2040年まで続けられたら本当にアッパレだと思います。ですから個人的には、まだプロジェクトは始まったばかりぐらいと思っています。
もし、まだ私たちが名取でクロマツを育てているときに、再度津波が来て、また壊滅してしまったら・・・と思わぬわけはありません。プロジェクトを始めるときに考えた最悪のシュミレーションの1つです。そうなったら、また淡々と、ゼロからやり直すのみ。能登の地震で、あらためてそう思いました。
1月27日のオンラインイベント、よかったらご参加ください!今年も頑張ります。
名取市海岸林2015年植栽地。
クロマツ林内の筋は、昨年の間伐の伐採列 撮影:2023年11月
この日は伐採準備のほか、排水溝づくりやゴミ拾いなど