中野悦子会長、永石安明専務理事の名取訪問

2016年1月21日( カテゴリー: 本部発 )

専務理事の永石安明です。
海岸林ブログに初めて寄稿させていただきます。
1月12日~13日、中野悦子会長に同行し視察しました。ご存知のように、オイスカでは
東日本大震災直後からクロマツ苗木を自家生産し、10年間で50万本、100haの海岸林再生を
目指す、という当時の状況から考えると途方もない目標を掲げて今年で5年目になります。
当初は専門家でさえ、危ぶむ声の中でのスタートでした。しかし、現場で既に植栽が終わった
26ヘクタールの植林地と、そこに隣接する新規植林予定地を見学し、そこで立派に育つクロマツの
幼木を見たとき、これは本当に日本だけではなく、世界にも誇れるものであると確信しました。
現場責任者の説明によれば、植栽されたクロマツ苗木は補植前時点で98%の活着率(2014年度)、
2015年度は99%以上と聞き、それを目の前にして、それが確かな事実と改めて分かりました。
また、 育苗場で生育中のコンテナ苗(抵抗性クロマツ)も発芽率も93%を超え、県内トップを
維持しているとのこと。これには地元の林業専門家も驚くほどの成果で、全国の自治体はじめ
各界の専門家の訪問も後を絶たないとのこと。寒風、潮風、栄養分不足などの過酷な
条件下としては驚異的なことなのだそうで、これを見て、やはり専門家の叡智と地元住民
現場担当者の熱意が、生き物であるクロマツに伝わったものではないかと感じました。

今にも雪が降りそうな天候でも、4時間もの実踏視察をしていただきました。

今にも雪が降りそうな天候でも、
4時間もの実踏視察をしていただきました。


今は亡き、池田広志フィリピン・ミンダナオ島エコテック研修センター所長が常々言っていた、
「植林とはただ木を植えるのではなく、人のやる気を植えなければ本当の森には育たないんだ」
という言葉が私の脳裏によみがえって来ました。これこそが、正にその言葉を地で行くプロジェクト
ではないかということです。 
現場視察の後は仙台森林管理署、宮城県森林整備課、若生宮城県副知事、佐々木名取市長などを
表敬訪問しました。訪問の目的は、昨年6月に新しく就任された中野悦子会長の挨拶と、海岸林再生
プロジェクトが6年目に入るのを前に、国民の記憶から大震災が薄れる中、「オイスカはこれからも
腰を据えてこのプロジェクトを実施していきます」との意思表示と、現地でお世話になっている
関係者への感謝の気持ちを伝えるためでした。会見の席上では、名取市海岸林再生の会代表の
鈴木会長も同席され、地元住民やオイスカ関係者の現場での血と汗の滲むような努力があって
今日に至っているので、継続的な支援をお願いしたいと訴え、これに対し、林野庁関係者、
宮城県、名取市関係者からは、プロジェクトを高く評価するコメントをいただくと同時に継続的な
支援の要請を受けました。
若生正博宮城県副知事を表敬訪問

若生正博宮城県副知事を表敬訪問

佐々木名取市長、三浦副市長、石塚副市長、熊谷生活経済部長、大澤 農林水産課長を表敬。

佐々木名取市長、三浦副市長、石塚副市長、
熊谷生活経済部長、大澤農林水産課長を表敬


オイスカでは設立当初から現場主義を唱え、1960年代のインドへの農業技術指導者派遣を皮切りに、
東南アジア各国へ農林業の指導者を派遣すると同時に、アジア太平洋、アフリカ、中南米からの
青年を日本へ受け入れ、農業を通じた人づ くりに携わってきました。
そして、1980年代以降は従来の活動と並行して、環境保全の一環としての植林活動を世界35カ国で
展開しています。途上国における植林活動を30年以上続けて導き出されたものは、現場地域住民の
理解・協力なくして プロジェクトは成功しない、ということ。それは、ただ単にお金だけの関わりに
止まらず、住民との固い絆・信頼関係があって初めて成り立つものです。そのような海外での
経験をもとに海岸林再生プロジェクトが実施されていることを改めて実感した訪問となりました。 

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