こんにちは!
東京都立大学に所属する大学院生の梶原です。

先月3月24日~27日の4日間にかけて,新たな調査を行いました。
(前回の調査報告はこちら 土壌調査  土壌調査その2

今回の調査は一風変わっています。これまでの調査では,「盛土の土壌特性がクロマツの生育状況に与える影響」を調べるものでした。
一方で,今回の調査では「クロマツの生育状況が盛土の土壌特性に与える影響」を調べることが目的です。立場が逆転しましたね。

そして,この目的を達成するために,リタートラップというものを仕掛けました.

そもそもリタートラップって何?という方に簡単に説明すると,「落ち葉や枝,種など,クロマツから地表面に落ちてくるもの(=リター)を集めるためのトラップ」になります!

百聞は一見に如かず!ということで実際に設置したリタートラップの写真をお見せします↓

プロットNo.8に設置したリタートラップ。白い布はおよそ3.6 m×3.6 mの大きさです。

だいぶイメージがつかめたかと思いますが,要は写真内にみられる白い布が敷かれている範囲に落ちてくるクロマツのリターの量を調べよう!ということです。

なぜそんなことをしているの?という話ですが….

理由は単純,「クロマツのリターによって栄養価の高い良い土ができる」からです。
“腐葉土“という言葉,多くの方が耳にしたことがあるのではないでしょうか。

腐葉土とは,土壌をより良い状態へ改善してくれる改良用土・補助用土のことを指します。
つまりは“良い土“ということです.

さて,この腐葉土ですが,漢字に着目すると「葉が腐った土」という意味になります。もうお気づきの方も多いと思いますが,私たちが日ごろ目にする落ち葉って,実は植物にとって栄養の塊なんです。

面白いことに,植物が育つための栄養って,植物そのものからきているんですよね.ある種、究極の自給自足なのかもしれません。

海岸林の盛土自体には,植物を育てるための栄養がほとんどありません。
盛土に植えられたクロマツが育ち,リターを供給することによって,盛土はどんどん栄養価の高い,豊かな土になります。

つまり,リタートラップによってクロマツのリターの量を調べるということは,「盛り土にどれだけ栄養が供給されているか」を明らかにする,ということに繋がるんですね。

“盛土そのものの土壌特性の違い“と,“クロマツから供給される栄養成分の量の違い“という2つの違いから,名取海岸林の生育環境を詳細に見ていければと考えています。

さて,おおまかに私の調査内容についてご説明したところで,ボランティアの皆さんへ1つお願いがございます。

今回の調査では,オイスカの皆さんで設置いただいているモニタリングプロットのうち,No.7南部,No.8,No.10の3プロットを対象に,リタートラップを設置しました。

このリタートラップですが,「特定の期間に,自然に落ちてきたリターの量をみる」ものですので,例えば誰かがトラップ内に入ってしまうと,靴の裏についていたリターが混ざってしまったり,入った際の衝撃でリターがトラップ外に出てしまったり…と,正確な量がわからなくなってしまいます。

つきましては,もしボランティアの作業中に写真1のようなトラップを見かけた際には,「白いシートの中には入らない」ことをご協力いただきたいです!(近くで見ていただく分には全く問題ありません!)

一応,現地には写真2のような注意書きも設置してありますので,遠くからでも視認しやすくはなっていると思います。

現地に設置したリタートラップの注意書き。これが見えたらご注意いただきたいです!

以上,よろしくお願いいたします!

長くなりましたが,今回のブログはこれにて終了です。
また新しい結果がでましたら,改めてご報告できればと思います!

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