吉田です。この夏は落ち着いて歩く余裕もなかったし、このあと1ヵ月現場に来れないので、9月17日にガッツリ全体を歩きました。その感想を何回かに分けて。

「地球沸騰の時代」と国連事務総長が警告したように、今年の酷暑は忘れることはないと思います。それに加えて、仙台管区気象台HPの過去の気象データで見た名取(仙台空港での観測データです)の降水量には驚きました。8月に仙台空港で雨を観測したのは、5日でわずか13.5㎜。「10㎜/日以下の雨は、雨とは言わない」などと佐々木統括が前に言っていました。5㎜以下の日が7月20日~9月3日まで44日も続きました。多湿が困るクロマツには良いのですが。
 
 9月6日には大雨があり、名取の一部にも避難指示が出たため心配しました。米が倒れている様子は目にしました。「オイスカの植樹祭に2016年に参加した」というタクシーの運転手さん(兼業農家)は、「あの大雨のあと、蔵王の麓(海から20km)のスギが潮風で赤く変色したらしい」と教えてくれました。

 名取の海岸林でも、ごく一部の葉が赤くなったと感じました。今年の夏は、気象データの風速を見る限りそれほど特徴的なことはないように見えるのですが。9月6日の後の台風13号は、降水量が少なくても潮風が強く吹く、いわゆる「風台風」だったのかもしれません。

 震災前の名取には、5㎞の海岸線全てに7.2mの高さで設置されました。潮風が陸上に直撃する位置はすこし後退したはずです。敢えて内陸側に配置してわずかに植えたアカマツは、クロマツよりも潮風に弱く変色しやすいと思いました。

 海岸林再生に関わって間もないころ、静岡の遠州灘のクロマツを勉強に行きましたが、海から見ると、葉がすべて枯れているように見えて驚いたことがあります。でも、浜風の風下から見ると青々して枯れていない。「これが本当の海岸林なんだな」と思ったものです。
 
 今日は、潮風の影響による変化などを写真レポートします。赤くなった葉でも、頂芽はしっかりしています。来春には何事もなかったように青々とするでしょう。私たちの名取の海岸林も、本当に潮風に向き合う一人前の高さになってきたんだなあと思いました。

 下の写真、まずは海側最前列の写真から。

 以下は、一歩内陸側のマツ林にて。

 下記は最内陸側にて。クロマツは順調な生長。そのおかげで潮害から守られ、海岸林最後列では実生の広葉樹の種類が増えました。

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