5月31日と6月1日、オイスカ富山県支部活動報告会に参加する出張の際、2012年12月に訪問して以来2度目の、入善町海岸防災林を再訪させていただきました。オイスカ緑化技術参事の清藤城宏先生、元日経新聞論説委員の小林省太アドバイザーもここを訪問しています。本数調整伐の伐採計画を検討する際、海岸林最前列のクロマツの直立具合(風の影響度合い)などからも、富山県の指標が参考になると考えました。入善町以外にも富山の水循環システムなどをご案内いただいた北陸電力(株)新川支店長で元オイスカ富山県支部事務局長の荒木さん、突然の電話質問にお答えくださった県職員のみなさまに御礼申し上げます。

 この地は、東京大学名誉教授でオイスカ顧問の太田猛彦先生が選定委員長となった「後世に伝えるべき治山60選」(林野庁)https://www.rinya.maff.go.jp/form/kouseinitutaeru.htmlに選ばれている場所でもあります。また、「日本三大浸食海岸」で、明治時代から1世紀で200世帯が移転せざるを得なかったという論文もありました。海岸近くまで田畑が張り出す形となり、昭和に入って潮害(塩害)にたびたび見舞われ、昭和60年(1985年)から海岸防災林造成(全長7㎞、林帯幅約30m、計21haの計画)が本格着手して今に至ります。海岸林が形成される前、「稲の平均反収の50%の収量」が、海岸林から30m~60m地点では「80%に回復」し、60m~90m地点では「100%に回復」したという論文もありました。目に見える成果を上げたことや、2014年の「世界で最も美しい湾クラブ」認定(富山湾)、東日本大震災で海岸林が再考されたこともあったのか、いまも海岸林の拡幅・拡張が続いていました。造成の途上で、農地に対するカメムシ害、冠雪害、2014年ごろをピークにマツクイムシ被害もあったようです。

 植栽から20~30年の海岸林はあまり見たことがありません。先を行く先輩を見に行くような気持ちでした。あまり長く書いてもいけないので、写真でご容赦いただくことに・・・10年前の、2012年撮影の写真も使い、植栽年度が新しい現場から順にお見せします。長い時間をかけて、継続されている事業だということがお分かりいただけたらと思います。

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