2016年植栽地の滞水対策
立て続けに3つの台風。今日は3つ目が宮城を通過した。
クロマツは乾燥には強くても、多湿に強いとは言えない。
8月中旬まで1か月の、雨らしい雨なしの状態から一転。
17日以降、全国の例にもれず名取は雨続き。
台風11、9、10号の影響を受けている。
2016年植栽地に限って、一部の場所では、クロマツの根元まで水が溜まり、
浸透のレベルを越えた排水路には、オタマジャクシとヤゴが住み着いてしまい、
カモがクロマツの間を泳ぐ場所すらある状態。
排水路に常時水が溜まる状態が良いわけはないと私は思うが、
まだ私は経験が足らず、意見の裏付けがない。
「排水路に水が溜まり続けても、根元が大丈夫なら…」という話も聞いたことはある。
今後の知見のために、枯れていく松のことも調べ、記録している。
今年度全体からすれば、枯損は大した数ではなく、補植を要する本数でもないが、
8月27日、2016年植栽地、枯損集中個所の、枯れマツ抜き取りを、
ボランティアの手で行った。
裸苗が集中的に枯れた個所0.48ha、2,448本のうち、全枯れが120本(枯損率4.9%)。
内訳として、植栽直後の6月以降の多湿で枯れ、「あっさり抜ける」モノが94本
根が張ったものの、ごく最近枯れたと思われ「力を入れないと抜けない」モノが26本。
枯れた理由は複合要因だが、第一の理由は根腐れと考えている。
一方、2017年以降の植栽地に関し、当局の「滞水」対策が本格化している。
20ha以上において、30m間隔で「縦暗渠(たてあんきょ)」を重機で掘り進めている。
横3m×縦6m×深3mぐらいの竪穴を掘り、透水性の悪い土壌を貫通させ、
海砂を入れ直して埋め、雨水の浸透・排水を行うものである。
また、2017年以降の植栽地の公共工事による排水対策の重機がいるうちに、
2016年の排水も追加していただくよう、私なりの意見をまとめ、提案したい。
抜本的改善にはならないかもしれないが、避難措置としての材料をまとめた1週間だった。
非常に簡単な改善策ではあるが。
当然、誰よりも現場を歩いているのだから、役に立たねばならない。
9月3日のボランティアの日、110人の申し込みがある。
彼らにも「土方」をお願いすることも考えている。
今までの溝切りとはレベルが違う。
草刈りもしますけど。
8月28日(日) 半日ボランティアの日活動レポート
28日、今年初の試みとなるボランティア活動を実施しました。
普段の“ボランティアの日”は朝9時から夕方5時までの活動となりますが、
今回は午前中半日のみの活動時間で、しかも対象は宮城県民のみ。
なぜこのような企画をしたのか?
昨年度実績で年間を通して1700名を超える方たちにボランティアにお越しいただきましたが
実は地元からの参加は少ないのが現状。将来にわたり海岸林に守られ、また海岸林を守っていく
関係にあるのは、地元の人たち。もっと多くの方に現場に来て汗を流してもらい、
クロマツたちに愛着を持ってもらえたら・・・・・・と思っていたのです。
地元の方々に聞くと、植樹祭ぐらいのボリュームの作業なら参加できるけど、1日作業するのは
体力的にきつい・・・といった声が聞かれ、それならと半日の活動時間を設定したのです。
「名取市海岸林再生の会」会長鈴木英二氏宅跡地に8:30集合という予定だったのですが
私たちが8時過ぎに行くともう数台の車がとまっていました。皆さん気合十分。
スタッフを入れて25名とこじんまりしたグループとなりましたが、その分作業前に自己紹介をしてお互いを知り合ったりと、よい雰囲気で活動が始められました。
オイスカ会員さんもいれば、掲示板のポスターを見たと初ボランティアに緊張しながら来てくれた学生さんもいたり、また市議会議員の方もインターンの学生を連れて飛び入り参加してくださったりとメンバーは多様。小学4年生のS君が最年少。最高齢は80歳超えのオイスカ宮城県支部のO事務局長でしょうか。
作業はツルマメ草の抜き取り。ツルの状態になる前の芽が出たての小さなものも徹底的に抜いてもらいました。
中にはこんなところも。わかりますか??
左はツルマメ草に覆われて姿が全く見えなくなってしまったクロマツ。
右はツルマメ草をはがしとった後。クロマツ、無事でした~!!
ここで目を輝かせて「これ、やりがいありますね~」とクロマツの救出に当たってくれたのはこの盛土を造成するための山砂を運ぶダンプを運転していたSさん。
昨年8月にボランティアに参加してくれてから、しばらく姿を見なかったのですが、それもそのばず。今年の1月から7月までは南三陸の現場に行っていたのだそう。
「普段のボランティアの日にも参加したいのだけれど、土曜日はお休みじゃないから……。日曜日にもやってもらえると参加できるんですけどね~」と。
また名取に戻ってきたので、時間があえばボランティアに参加したいと話していました。働き者のSさん。本当に感心します。
最年少のS君もツルが巻き付いたクロマツを助けようと、マツにチクチク刺され「痛い、イタッ」っといいながら、頑張ってくれました。お父さんが買ってくれたという青い長靴と麦わら帽子が何ともかわいい!!
「マツに攻撃されてばっかりなんだけど、僕この作業向いてないのかなぁ」と弱気になると、近くにいたおじさんが「好かれてるからマツが寄ってくるんだよ。大丈夫、大丈夫」と励ましてくれ、なんともほのぼのした気持ちになりました。
草が生い茂る場所では「荒地みたいになっちゃってるね」と心の底からクロマツを心配してくれていました。彼を連れてきたお父さんは、「自分が死んでからもこいつがこの海岸林のことを守っていってほしいなぁ」と。
大人の人たちの多くは「閖上のサイクルスポーツセンターに来たことがある」「若い頃ここの海岸に来たことがある」と多少は震災前の海岸林の様子を覚えていますが、ここで遊んだ記憶がない年代の子どもたちにももっともっと新しい海岸林に関心を持ってもらえるように取り組んでいかなければと思います。
今回は、休憩時間も楽しいものでした。持ってきた飴を交換している姿が見られたり、中にはリュックからマグカップを出し、瓶からインスタントコーヒーを入れ、ポットの暖かいお湯を注いで優雅な休憩タイムを過ごしている方も! 素敵!!
作業現場は2015年の植栽地でしたが、皆さんには2014年の植栽地を見てもらい、今日のような丁寧な作業をボランティアの皆さんで繰り返し行っていくことで、こんなにも大きく立派に成長するのだということを見ていただきました。
作業終了後に感想を聞くと「植えたら自然に育っていくものと思ってしまっていたけど、こんなにも人の手による管理が必要なのだということを知ることができた」といった声が聞かれ、やってよかったなと感じました。
中には「半日で充分疲れました」という声も・・・・・・。本当におつかれさまでした。
最後にもうおひとり参加者をご紹介します。
5月の植樹祭のチラシやパンフレットのイラストを手掛けてくださっているイラストレーターのico.さんがお母様と一緒に作業をしてくださいました。
震災後、拠点を東京に移して活動されてきたico.さんですが、つい先日名取に戻られたのだそう。
「いつも植樹祭にきて植える体験だけさせてもらっていて、草刈りなどの管理はしたことがなかったのですが、これからは現場に来る回数も増えると思います」とお話されていました。たくさん来てください!!ico.さんならではの視点で、プロジェクトのことをより多くの人に伝えていく絵をまた描いてくださいね!!
この日ももちろん最後に募金。
小学4年生のS君が天使のような笑顔で「募金に協力してください」と声をかけたらみんなお財布を手に募金箱に吸い寄せられてきてしまうのです。
S君、ありがとう。作業に募金に大活躍でしたね。大人になったらお父さんと一緒にこの海岸林を歩いてもらいたいものです。
最後まで車一台一台に手を振って参加者の皆さんを見送っていた姿もとてもかわいかった! また来てね。
皆さん本当にどうもありがとうございました。
参加者の方が、早速10月、11月の通常のボランティアの日の活動にお申し込みくださいました。うれしいです!
少しずつですが輪の広がりを感じています。
これからも皆さん、応援よろしくお願いします。