閖上①
沿岸部は未だ殺伐とした光景。
しかし、一歩一歩前進しているといつも感じます。
名取市海岸林の北端、閖上港の今を見ることができました。
5km南の名取市最南端から見えた光景も、ガレキ処理の水蒸気ではなく、
閖上港復旧にあたる数本の巨大クレーンに代わりました。
海に面した最前線の県有林・市有林などは、
震災直後から「名取市内のガレキ置場」として提供されていましたが、
関係者のご尽力で、数か月も前倒しで処理が見事に完了し、
港湾整備と海岸林盛土造成の準備がすすんでいます。
初めてここに行ったのは2011年4月21日の航空調査。
5月25日には陸上踏査を行いました。
見渡す限りの倒伏したクロマツ、2時46分を指したままの時計、
あらゆるものが散乱していたことを思い出します。
復旧が開始され、一瞬でクロマツは撤去され、サイクルスポーツセンターも解体。
名取市内の全てのガレキが集積され、西松建設JVが24時間稼働して白い蒸気が夜も上がっていました。
一度だけ、ガレキ処理現場を視察する機会をいただきましたが、
瓦礫と海水交じりの砂を分別するという特殊事情に対して、
プロ180人が最先端の機器で処理にあたっていたのが強く印象に残ります。
2011年9月に積み上げられた木質ガレキが、圧縮熱で火災が発生し、海水で消火したためです。
今回は、名取市海岸林最北端の基点も確認できました。
数年後は、ここも我々の現場になります。
「閖上」(ゆりあげ)という地名は、名取側の河口。
砂が寄せ上げられ、船舶が座礁したり、転覆することも多かったそうです。
元々は砂が寄せ上げられるの意味の「よりあげ」と呼ばれ、
転訛して「ゆりあげ」と漢字のない地名で表記されていたとか。
伊達家4代目の殿様がここを訪れ、御寺の門の向うに水が見えたから
門に水=「閖」という字を付けて「ゆりあげと呼ぶように」と決めたとか。