富山県・入善町海岸防災林造成事業見て歩き
緑化技術参事の清藤です。
7月9日にオイスカ富山県支部の報告会(総会)があり、「海岸林再生への挑戦」と題して講演を行ってきました。
「是非入善町の海岸林造成地を見てきてください」との吉田さんのアドバイスで、
翌日10日は、支部事務局の北森さんと、富山市から北東へ1時間の入善町に行きました。
前回吉田さんが報告していますので、重複を避けて感想を書きます。
http://www.oisca.org/kaiganrin/blog/?p=2505
現地では富山県整備課治山班長のご案内で回りました。
昭和60年から潮風害防備林として造成している場所で、計画では総延長7km、現在5kmが完成しておりました。写真でお分かりいただけるように、コンクリート壁を作り、そこに1mの盛土をし、県産杉材の防風壁を築いてその中に植栽しております。海岸に面した壁は現在東日本大震災の盛土に設置しているよりも1.5倍高く、また植栽内部にも北西の季節風にあわせてか、防風柵が置かれておりました。また防風柵の目は現在の東北の造成地と比べて随分密になっており、この防風柵の高さ、中敷設置・工法は学ぶべき点であと思いました。
植栽後3年目の生育状況を写真に示しました。植栽樹種は、ここではクロマツとタブノキで、苗木の生産は県では行わず新潟県から調達しているとのこと。5000本/haで、列状混植しておりました。肥料木としてアキグミを植えたということで点在しており、樹勢は旺盛で、年数の経った植栽地ではこのアキグミに覆われた植栽地もありました。クロマツは恐らく8割以上は活着生育しており、今年の伸びも40cmと順調でした。一方タブノキは1割には満たない生存率で、生育も不良でした。苗木には下刈時の誤伐を防ぐため支柱が立てられておりました。タブノキについてはどこの場所でも生存が低く生育不良ですので、最前線で初期導入は無理であることが分かりました。やはりクロマツに勝るものはないと確信しました。アキグミは点在混植させるより、最前面に植えその後ろにクロマツを植えていく方法も良いと感じました。やはり広葉樹はきびしい環境では困難であることを実感しました。