貞山(ていざん)運河を知っていますか?
宮城県南部の阿武隈川から宮城北部の旧北上川までの
海岸沿いにある運河で、「貞山掘」と呼ばれています。
江戸時代に貞山公・伊達政宗の命で掘られ、明治時代に完成した日本最長の運河です。
宮城の海岸に最初にクロマツを植えたのも伊達政宗でしたね。
貞山掘は流通路としての機能しただけでなく、農業用の排水路にもなりました。
海からの冷たい風や潮風を防ぎ、作物を守った海岸林と同様に、
貞山掘も仙台平野が有数の穀倉地帯に成長したことと大きな関係があります。
海に近い第一育苗場の近くにも貞山掘が流れています。
堀の土手には立派なクロマツの並木がありましたが、津波で被害を受けました。
育苗担い手農家のある人は昨年の津波を振り返って、
「まさか貞山掘を越えてくると思わなかった」と言います。
この地域では昔から「津波は貞山掘は越えない」と言われてきたようです。
育苗場の近くの貞山掘ではシジミ漁が行われていたり、東北大学のボート部が練習したりしています。
震災前にはサイクリングロードが通っていたところもあります。
地元の人から親しまれてきた貞山掘は、これからも大切にしたい風景の一つだと感じます。