2022年9月16日

訪日研修生OBの姿を求めて~インドネシアの小さな有機農業で広がるオイスカの輪~

  • インドネシア
  • 研修生OB・OG
  • 海外スタッフ
  • インドネシア駐在員の大垣です。

    8月29日から9月1日の日程で、オイスカインドネシア事務局長のサムシディンさんと一緒に中部ジャワ州に出張してきました。

    (前回の出張レポートはこちら↓)

    スマラン市での中部ジャワ州各県の政府関係者との会議に参加することが目的でしたが、その折に少し寄り道し、サムシディンさんの知り合いのオイスカ研修生OBの方々ともお会いすることができました。

    最初はスマラン市にて、中部ジャワ州7県の政府関係者の方々と、オイスカの年間活動計画に関する会議に参加しました。オイスカは国際NGOとしてインドネシアで活動する上で政府と協定を締結しているため、中央政府や地方政府と協働で活動を進めていく必要があります。会議では、予算計画や今後の活動拡大について活発な意見交換がなされ、何とか無事に終えることができ、駐在員としてはとても良い勉強になりました。

    その後タマングン市に向かい、日本のオイスカ研修センターで農業や地域開発を勉強したOBの方々にお会いすることができました。何年かオイスカで働いた後、地元企業で農業関係の仕事に就いている方々も多く、日本で学んだことを活かしながら活躍している様子に感銘を受けました。

    CFPの参加校を訪問中のサムシディン事務局長
    校長先生(右)とCFP調整員の皆さん
    CFP参加校訪問では、オイスカの活動紹介のほか、児童たちと木の樹種についてクイズ大会をしました。オイスカインドネシア事務所からの来客は珍しいため、学校関係者の皆さんも大変喜んでくださりました

    中でも、特に素晴らしい活動をされているのが、現在「子供の森」計画(CFP)のコーディネーターをされているデウィさんです。デヴィさんは2001年にオイスカ四国研修センターで女性生活改善コース(JICA受託プログラム)の研修生として学び、2007年に再び来日。有機農業を学びながら、今度は地域開発指導員のコースを修了されました。その後は、2011年より地元タマングン市でCFPコーディネーターとして活躍されています。日本語能力検定N2を取得されるなど、語学も本当に堪能です。

    デウィさんの有機農業農園での一枚。竹の葉を利用したマルチやコンポスト、作物管理等、日本で学んだことをフルに応用して有機農業を営んでいます

    また、オイスカ活動と並行して、オイスカで学んだ有機農業技術を地元で普及するために、ご主人と一緒に有機農業農園も営んでいます。田園風景を思わせる農園では、さまざまな作物が栽培され、デウィさんの活動や人柄に魅了された人たちがボランティアとして一緒に農作業に励んでいます。今では地元でも有名になり、学校の子どもたちやお母さんグループが訪れ、農業を通じた自然体験教室の場所になっています。農業学校の学生たちも理論だけでなく、農業実習の機会を求めて、デウィさんを訪ねてきます。どんな人でもあたたかく迎え入れるデウィさんの農園は、私が訪問した際も、まるで家族のような団らんで農業に励む人たちの笑顔であふれていました。

    有機農業を学ぶために農園を訪れたお母さんたちのグループ。有機農業の実践的な勉強だけでなく、近所の皆さんの憩いの場にもなっています

    本来なら、デウィさんご夫妻は給与の高い政府関係の仕事に就く機会もありましたが、オイスカの考えに賛同し、自らがオイスカで学んだことを他の人にも還元したいという思いで、懸命に故郷で活動に励まれています。多くの人にとってのお父さん、お母さん、そして人を惹きつける人柄の良さに私も魅了され、オイスカの宝はやはり”人”であると再認識しました。好きなことを続けている内に仕事になり、心が輝いているからこそ周りの人が魅了されるのだと感じます。私に対しても目を輝かせながら「有機農業をもっと広げたい。今度は農園をこうしたい!」と語ってくださり、率直になんて素敵な人なんだろう!と感動しました。

    インドネシアで農業を通じた人づくり。訪日研修後に自らの経験を後世に伝えるために活動されているご夫妻は素敵でした。「大地と人にもっとドラマを」。農園では今日も様々なドラマが紡ぎだされています

    オイスカで働いているとデウィさんご夫妻のようなボランティア精神が溢れ、人として魅力的な方々にお会いする機会が本当に多いです。仕事で日本のどこにいっても、インドネシアでも同じです。「オイスカの人」日本でのオイスカ研修後に大活躍されている大先輩の姿を見ることができ、本当に充実した出張になりました。また次回にインドネシアからOBの活躍の様子を届けていければと思います。

    アーカイブ