2022年7月21日

初めての「富士山の森づくり」

  • 富士山の森づくり
  • 本部スタッフ
  • 本部・啓発普及部 西巻です。

    コロナ禍真っ只中にオイスカに入り、本部事務所での業務に当たっていましたが、先日初めて「現場」の活動への参加の機会を得ました。ブログへの投稿も初めてですが、今回はその時の様子をご紹介いたします。

    ***********************

    7月9日土曜日、オイスカの「富士山の森づくり」ボランティア活動に初めて参加した。
    出発から昼食までの時間が長いので朝食はしっかり食べよとのこと。逆算して午前3時半の起床。えっ?3時半?と前日に少し憂鬱になっていたが、当日朝、無事6:20に永福町のオイスカ事務所を出発。車中爆睡。

    全員集合の「ふじてんスノーリゾート」駐車場に着いた。少しお手伝い。

    ヘルメットとお弁当やお茶を配り、大使館関係者にペタンコに折りたたまれたヘルメットの使い方(実は私も数分前に教わったばかり)を説明。

    9:30、開会式。インド大使夫妻やタイなどの大使館関係者、4企業からのボランティア、オイスカの研修センタ―や支部からの参加を含め総勢140名近い人が集った。

    開会式の様子

    簡単な準備体操の後、数台のバスに分乗し標高1600mの作業現場へ。

    バスから降りて林のなかの脇道を各グループが担当するサイトまで、ほんの数分の歩き。虫害で損なわれた森に健全な生態系を戻すべく、元々富士山の森に自生していたブナ、ミズナラ、カエデ、ヤマハンノキ、ヤマザクラなど広葉樹5種の苗木を植える活動が16年前に始まった。

    ところが、温暖化の影響や伐採後の日当たりでシカが食べやすい草や低木が豊富になったことで、シカの個体数が増えすぎたとか。植林された木々の新芽が食べられてしまい、せっかく植えた苗木も枯れてしまうのだという。

    このため、獣害対策ネットがそれぞれの苗木の周りに張られている。植林後の維持対策が大変なのだ。苗木の成長と風害でネットは歪んだり倒れたり。ある程度成長するまで毎年のようにネットのまき直しと支柱の交換をしてやらねばならない。

    各班の作業は2人一組で行う。あぶれた私は3人一組に。先ずはネットを外すのに、ネットを切るのか、本木の枝を切るのか、今後の成長のため、行く手を阻む隣木の枝を切り払うのか。状況に応じた対処とネットの設置方法を現地林業会社のプロから指導を受けた。

    手順は、ネットを取り外し、支えの竹棒3本を新しいものに取り換え、ネットを成長に合わせてまき直す。コロナ禍で昨年は実施されなかったため、木々は様々に成長し、網目から大きく枝を伸ばしたもの、隣の針葉樹の枝に阻まれて避けるようにネットごと倒れ込むように曲がって伸びたもの、網目にハマった枝がそのまま太くなり、ネットが食い込んだ、というより“ネットを食い込んで”もはや同化したもの。さまざまに成長の証を残している。

    のこぎりで枝を払い、周りの下草をカマで刈り、富士山頂側に新たな支柱となる竹棒(他の2本より30cmほど長い)をしっかり木槌で打ち込む。そこを起点にネットで木をぐるりと囲み支柱のところで3目重ねて上中下3ヵ所に箸を横に通して仮固定。上から下へ4ヵ所を針金で順次しっかり止めていく。最後は、残った竹棒2本を支柱の向かい側でかけ印にして富士山頂側にかなり傾斜させる形で円筒形のネットの両サイドを挟み、地面にしっかり突っ支い棒する。ネットの両サイドの竹棒を針金でしっかり固定したら仕上がりだ。なんだか苗木に愛着が湧いてきた。

    竹棒を打ち込む。写真は四国研修センターの研修生

    12時から40分間のお昼休憩。午後の部は霧が深くなってきたことで作業が30分くらいで切り上げられた。山の天気はすぐ変わる。雨が降り始め、面倒だなあと思っているうちに止んだ。「これだよ!」と急いで上下の合羽を着込んだ人。

    バスを降りた現場入り口に集合し閉会式。四国中部の研修センターから参加した十数名の外国人研修生は元気がいい。バンゴウ! イチ!ニ!サン!シ!ゴ!ロク!シチ!ハチ!・・???・・。一人だけテンポがずれる。3回目でようやく「イエーイ!」全員の気勢が上がった。インド大使を始め参加者の感想が述べられた後、参加者全員で記念写真を撮って終了。またバスに分乗し、ふじてんへ下山、順次解散となった。

    それにしても大変な下準備だ。参加者のとりまとめとバスなど輸送手段の確保、お弁当の手配、自治体や林業組合など地元関係者との連絡・連携や現場の下見、簡易トイレの手配・設置、ヘルメットや必要な備品の確認等々。

    目に見える部分だけでも私には疲れる。この裏で入念な確認と打ち合わせが何度も行われているのだろう。これを毎回やるのだから、すごいな。

    「来年“あの木(こ)たち”はどうなっているのかな」と思いつつ来たときのオイスカの車に乗り込む。そして爆睡。

    富士山の森づくり推進協議会Facebook

    アーカイブ