2022年4月28日

マングローブとカーボンニュートラル

  • 本部スタッフ
  • 海外事業部の森田です。
    専門でもないのに書くのは気が引けるのですが、とても問い合わせの多い今日のトピックです。

    マングローブはいったいどのくらい、空気中の二酸化炭素を吸収するのか?

    日本の場合、スギやヒノキなどの代表的な樹種で計算式が公表されていますので、それに従って計算していけば日本中どこでも、ある程度の値は一般の方でも出すことができます。しかし、まだまだ謎の多いマングローブ(そもそもマングローブという呼び名は熱帯地域の沿岸汽水域に生える様々な樹の総称であり様々な樹種があります。)ですが、地上の幹や地下の根はもちろんのこと、土中にもたくさんの二酸化炭素を吸収固定しており、森全体として捉えた場合、他の樹種の森の何倍もの二酸化炭素を吸収する力があると言われています。ところが、日本のスギやヒノキとは違い、各国、地域の樹種ごとの、吸収量の算定に必要な係数がほとんど算出されていません。したがって、この係数を調べるためには、実際にサンプルとなるマングローブを掘り起こして計測しなければならないなど、莫大な手間と経費が掛かり簡単ではありません。さらに、これまでに測定された値からも、場所によって吸収量に数倍のばらつきがみられ、正確な数値を出すには現地での植林間隔と本数、生存率などの測定、また今後吸収するであろう二酸化炭素の量も含めた予測も立てる必要がありなかなか難しいのが正直なところです。

    水面の下にも多くの二酸化炭素を蓄えるマングローブ林

    ただ、たくさんお問い合わせいただいているだけのことはあって、これまでの限られた調査から、吸収量が大きい陸上の熱帯林よりもさらにたくさんの固定量を稼いでいるであろうことが分かってきていますので、植林と育林、その保全については引き続き積極的に実施していくことにしています。

    気根が水中から空気中に伸びてさらに炭素を固定する種類(ヒルギダマシ)もあります

    オイスカのこれまでのマングローブ植林実績累計約8,500ha、3,330万本がどのくらいの二酸化炭素を固定したのか興味のあるところではありますが、ドローンなども活用していつかバーンと公表できたりするとインパクトは大きいだろうなぁと夢想しつつ、やっぱり無理かもと夢だけ見ています。

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