2020年3月12日

インターン生執筆記事その1 日本の技術を世界へ ~パプアニューギニアでのオイスカの挑戦~

  • パプアニューギニア
  • ボランティア・インターン
  • こんにちは、2020年2月から3月までオイスカでインターンシップをしている、中央大学1年の石塚と申します。初めて記事を執筆させていただくこととなりました。

    今回は、私自身が高校生の時に熱帯雨林の保全と人間の経済活動の両立の難しさを学んだこともあり、パプアニューギニアの農業を取上げたいと思います。ぜひ最後までお読みください。

    パプアニューギニアはオーストラリアの北に位置する国で、日本の約1.25倍の国土があります。液化天然ガス,コーヒー,木材,パーム油を輸出しています。コメは国外からの輸入に頼っています。インターネットで検索してみると、関連ワードに“人食い民族”の文字が……!!怖くなって一旦リサーチをやめてしまいましたが、昔のことだったので一安心。現在は多くの民族と動物が緑豊かな熱帯雨林の中で暮らしています。

    しかし、その熱帯雨林はどんどん姿を消し、生態系も崩れています。1972~2002年の30年間で約790万haが減少・劣化したとの報告があります(オイスカ月刊誌2016年8-9月号より)。主な原因は木材供給やプランテーションを目的とした企業による大規模な森林伐採、地域住民の業者からの圧力による森林売却、さらに人口増加に伴う農地獲得のための焼畑農業※です。
    ※焼畑農業…草地や林地を焼き払い、跡地を農地として利用する方法

    地域住民が土地を手放してしまう原因として、土地の登記をしていない、または登記方法を知らないことが挙げられます。この問題には、太平洋地域の独立が形式上の独立であるため、知識人不足で制度・循環型社会・基盤が整っていない背景があります。さらに、資金獲得が難しいため将来の利益よりも目先の利益を選び、土地を売り払ってしまうか、手軽でお金のかからない焼畑農業が主流になっているのです。

    このまま資源を無駄遣いしていては生物多様性が失われ、パプアニューギニアの国民にも被害が及びます。やがてその被害は、木材を輸入している日本にまで広がります。そこでオイスカはパプアニューギニアのラバウルに研修センターを設立したり里山づくりに着手したりするなど様々な活動をしています。

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    最も印象に残ったのは、『地球を耕す』という本の中にあった、私の大学の先輩でもある荏原美知勝パプアニューギニア駐在代表のエピソードです。
    日本の稲作を広めるために派遣された彼は、はじめは収穫量を上げようと化学肥料を使うコメの育て方を研修生に教えていました。しかし、化学肥料は農作物を守る代わりに品質を下げ、土地を駄目にしてしまいます。そこで、肥料は完全オーガニックの有機農業に切り替え、異国の地でおいしい米づくりを成功させました。その姿に感銘を受けた研修生は後を絶たず、“荏原メソッド”は延べ2000人の実習生に引き継がれました。

    その後、荏原さんは植林活動の際、村人たちから目的について尋ねられた時にこう答えました。「大地に緑が増え、たくさんの生物が息づくこと……。それが目的でいいじゃないですか。僕たち日本人は、高い植林技術を持っています。その技術を提供しますから、あなた方の山をもう一度、美しい森に生まれ変わらせてみましょうよ、僕たちと一緒に!」
    私はこの言葉から、オイスカの方々の思いや野望が伝わってきました。オイスカが目指している「すべての人々がさまざまな違いを乗り越えて共存し、地球上のあらゆる生命の基盤を守り育てようとする世界」を再確認できました。

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    『地球を耕す』 佐草一優

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    その2へ続く

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