2025年2月21日

【ネグロス養蚕普及プロジェクト】地域の信頼厚いベテラン農家さんの思い

  • フィリピン
  • 本部スタッフ
  • こんにちは! 本部・啓発普及部の倉本です。

    1月20~25日、フィリピンのネグロス島に行ってきました。

    オイスカでの2回目の海外出張(5年半ぶり!)、そして初めてのフィリピンということで、少し緊張しながらの渡航でしたが、滞在先のオイスカバゴ研修センターのあたたかい雰囲気に癒され、毎日元気に過ごすことができました。

    滞在中は、主にセンター内の養蚕普及プロジェクトの施設見学や、バゴ、ミノヤン、サンカルロスの3ヵ所の養蚕農家さんの訪問を行いました。日本の研修センターで勤務経験のある現地スタッフ、リッチーさんの協力を得て、現在養蚕をしている農家さんだけでなく、これから再開しようとする農家さん、新しく始めた農家さんそれぞれのお話を聞くことができました。

    どの農家さんのお話も印象的でしたが、ここではサンカルロスの山間に住むペドロ・ベリアシンショさんを紹介します。

    ペドロさんのご自宅は、車ではとても通ることができない山の中を、一時間弱歩いてようやく到着できる場所にあります。ここ最近は毎朝雨が降っているそうで、足元が滑りそうになりながら(実際に何度か足を滑らせながら……)なんとかたどり着くと、ペドロさんと奥さん、娘さん、お手伝いに来ている研修生がやさしい笑顔で迎えてくれました。

    にこやかに質問に答えてくださるペドロさん(左端)

    そんなペドロさんは長年の経験から、養蚕の技術も高く、通常、各農家さんは育てやすい大きさまで成長した蚕をバゴ研修センターから受け取って育てていますが、ペドロさんは卵の状態から受け取って育てており、この地域の農家さんは、“ペドロさんから”育てやすい大きさまで育った蚕を受け取っているそうです。(それぞれの農家さんが、毎月ペドロさんの自宅まで蚕を受け取りに来ているそうです)

    また、ほかの農家さんと意見交換の場も設けており、今回訪問した農家さんの中には、ペドロさんから話を聞いて養蚕を始め、その技術も教わったという方もいらっしゃいました。

    オイスカからも地域の農家さんからも信頼の厚いペドロさんは、今後の展望について「養蚕を広げ、自分でももっと多くの蚕を扱えるようになりたい」と話します。

    オイスカのネグロス養蚕普及プロジェクトは1989年に開始し、長い年月をかけて徐々に普及しましたが、その間に、蚕が病気になったり、繭の価格が上がらなかったりといった課題から、悩みながらも養蚕を辞めてしまう農家さんも多くいました。

    現地スタッフや研修生OBの存在もとても大きいですが、こうして、どんな時にも前向きに養蚕に取り組み、さらに広げていこうと実際に行動されてきたペドロさんのような方がいたからこそ、プロジェクトが続けられてきたんだなあと、お話を聞きながらとても心強く感じました。

    近年は繭の価格も上がり、養蚕普及プロジェクトもネグロスからフィリピン全国へと活動のスケールも広がりを見せてきています。

    養蚕がフィリピンの産業としてさらに発展し、農家さんが家族とともに生き生きと豊かに暮らしていけるよう、私もできることを続けていきたいと思います。

    帰り際、最後まで笑顔で見送ってくれたペドロさんご家族

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    この日、ペドロさんのご自宅でランチをいただきました!
    右にあるのは、バナナの花の揚げもの。
    まず「バナナの花って食べれられるんだ!」と驚き、食べて「おいしい!」とさらに感動しました。
    感動しすぎて、お持ち帰り用にもいただいて帰りました。
    ペドロさん、ご家族の皆さま、素敵な時間とおいしい食事をありがとうございました!

    左のお皿にあるのがバナナの花の揚げ物

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