みなさん、こんにちは。海外事業部の山本です。
10月16日に長野にお住まいの養蚕の専門家・宮澤津多登先生にお話を伺いに行きました。オイスカはフィリピンでの養蚕プロジェクトで長年、宮澤先生にとてもお世話になっています。
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今回、私は初めて宮澤先生とお会いしました。宮澤先生は90歳を超えていらっしゃいますが、養蚕について細かに明確にシャキシャキとお話してくださり、とても明朗快活な印象を受けました。
「ハイブリッドっていうのは、蚕から出た言葉なんだよ」と、親のいいとこどりをした一代交雑種がハイブリッドで、長野の松本でハイブリッド技術の実用化に成功したという養蚕の歴史的なお話を初めにしていただきました。
一方で、最近カナダでは、孵化させた蚕を、ちょうど良い大きさになったら、それに適した動物に与えているという話もお聞きし、繭をとって、糸をとるというイメージが強かった養蚕の新たな面についても教えていただきました。
さらに、「今、一番心配しているのがね」とお話されたのが、蚕のウイルスでした。ウイルスはアルカリに弱いから、アルカリ性の桑とか、アルカリ性の消毒とかいいんじゃないかなと、常にどうするのがいいか考えていらっしゃる様子がうかがえ、「このウイルスを解決できたらノーベル賞だよ!」とおっしゃっていたのも印象的でした。
縦横無尽な蚕のお話に加え、プロジェクトに取り組む姿勢についても学ばせていただきました。
養蚕指導に20数か国へいらっしゃった宮澤先生に、それぞれの地域での違いや特徴はあるのですかとお聞きすると、「基本は一緒」とおっしゃっていました。桑をあげる。室温を25度くらいに保つ。基本を守る。あとは、それぞれの地域で、たとえば標高が高かったり、気温が違ったりするから、それに合わせた工夫をする。ぶれない軸のようなものがあってこそ、さまざまなところで通用するのかもしれないなと思いました。
宮澤先生は「出すだけでなく、出したお返しをもらうようにしないとダメ。事業感覚は大事。投資したものは取り戻す感覚」とおっしゃっていました。NGOの活動は事業として成り立たなければ継続しない、といった話はこれまでも耳にすることがありましたが、宮澤先生のお話を聞いたとき、これまでと少し違った角度からその意味が私の中に入ってきました。
私が思ったのは、たとえば何か教えてもらったときに、それに対して自分がどう思ったかとか、何か反応を返すことで、相手への礼儀としてはもちろん、自分の成長にもなるけれど、何もフィードバックをしなかったら、自分の身にもならない、というのと似てるかな、ということでした。だから、宮澤先生のおっしゃった「お返しをもらう」ということは、相手が成長するということなのかもしれないなと思いました。
「昨日もお客さんが来て話したんだよ。今度、フィリピンのOBも日本に来る機会があるからうちへ来たいって言ってるよ」と引っ切り無しに人が訪れる宮澤先生。人とのつながりは一生ものだなぁと思いました。
最後に、「また来な」と言ってくださったことが、何よりもうれしかったです。
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