本部・海外事業部 人材育成担当の三谷です。
2024年8月6日の秋田を代表する夏のお祭り竿燈(かんとう)まつりに、マレーシアの技能実習生ファゼリが参加しました。
✴竿燈まつりとは?
竿燈まつりは、厄除けや五穀豊穣を祈願するお祭りで、江戸時代中頃にその原型ができていたと言われています。
竿燈は、竹のさお(親竹)に横に棒(横竹)を付け、その棒にちょうちんを結わえたもので、重さは50kg。46のちょうちんの中のろうそくに火を灯し、持ち手(差し手と呼ばれる)1人で支えます。
竿燈の竹竿がしなったり、ちょうちんが揺れる様子は、稲穂が揺れているようにも見えます。
熟練の差し手の方は、竿燈から手を離して肩や腰に載せる妙技を披露されます。
✴当日の様子
今回竿燈まつりに参加するのは、マレーシアから来た自動車修理の技能実習生ファゼリ君です。4年前から秋田ダイハツ販売㈱でお世話になっています。
竿燈まつりには39の町会が参加していて、1つの町会にはそれぞれ竿燈2~4本、お囃子の太鼓を載せた車1台、笛が2~4名ぐらいで構成されています。
秋田ダイハツ㈱は「上亀之丁」という町会を協賛されていて、その町会の中に秋田ダイハツ販売㈱の竿燈が1本あり、それを社員の方だけで上げていきます。今年ファゼリは、その一員に入れてもらったということです。
今年の開催は8月3日~6日まで4日間。
4日間とも晴天に恵まれ、私が訪れたのは最後の4日目でした。
初めての参加で全く勝手が分かりませんでしたので、技能実習生を担当している秋田ダイハツ販売㈱の佐藤氏にご案内頂きました。
会場は秋田駅から秋田市役所、秋田県庁へと続くメインストリート、竿燈通り。
中央分離帯に桟敷が設けられ、通りの歩行者通路側と桟敷から竿燈を見物できるようになっています。
また通りの上にはワイヤーが張ってあり、万一竿燈が倒れても、ワイヤーに竿燈が引っかかって見物人には当たらないようになっています。
17時30分ごろからオープニング
秋田ダイハツ販売㈱の佐藤氏がえらんだ桟敷に座るとすぐオープニングが始まりました。
オープニングは、秋田市で活動するさまざまな団体のパレード。ダンスやバトントワリングなど子どもさんや外国人の方もたくさんパレードに参加されていました。
18時過ぎから竿燈入場
オープニング終了後、町会が各々の竿燈を横にし、太鼓と笛の音に合わせて会場に入場してます。会社のゴロマークが入ったちょうちんを付けた竿燈も多くあり、半分ぐらいは企業協賛の竿燈のようにも見えました。当初、竿燈祭りは竿燈を持って練り歩くのかなって思っていましたが、そうではなく、その場所で竿燈の演技を披露し、一旦演技を終了し町内一行が場所を移動し、またそこで演技を行います。これを3回繰り返して終了となります。
全町会が所定の場所に着くと主催者挨拶等があり、その後合図に従って、竿燈263本が一斉に上げられます。ようやく暮れかかった空が一度に明るくなりました。その光景は、見物人をお祭りの雰囲気を一気に引き寄せた感があります。
差し手が交代しながら、持ち手の竹竿(継竹)をつないで竿燈をどんどん高くしていきます。高さは12メートルにもなります。その後めいめいの演技が行われました。
やはりバランスを取るのは相当難しそうで、少しの風でも竿燈は大きく揺れてしまいます。それを安定させるには熟練の技が必要なんだなと思いました。
3回目に秋田ダイハツ㈱の竿燈が来た。
3回目の移動で「上亀之丁」が私たちの前に来ました。秋田ダイハツ㈱の竿燈は、他の企業協賛の竿燈と同じく、ちょうちんは全部ダイハツのロゴマーク。それを持っている一人にファゼリがいました。見たところかなり疲れているように見えました。
ファゼリは4年前、初めて秋田ダイハツに派遣された日、まとまった雪が降って最初の実習内容は駐車場の雪かきになりました。雪かきが終わった時のファゼリの感想は、生まれて初めて雪かきをして楽しかった、でした。タフで疲れを知らない人間かと思っていましたが、竿燈は勝手が違ったようでした。
次の日、ファゼリに来年も竿灯祭りに出ますか?と質問したところ、右肩が痛いと言って、具体的な返事はありませんでした。力よりバランス、という竿燈の世界に触れて、簡単に見えることでも技能には何がしらの奥深さがあると感じてもらったなら、ファゼリにとって大きな財産をもらったことになると思います。
改めて秋田ダイハツ販売㈱の皆様に御礼申し上げると共に、日々の技能実習生の指導をよろしくお願いいたします。