2023年12月4日

ウズベキスタンの一番の緊急の問題とは?

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  • 海外スタッフ
  • ウズベキスタン沙漠緑化プロジェクトを担当しているOISCA College LTD.の冨樫智です。
    今春から本格的にアラル海での沙漠緑化プロジェクトがスタートしています。
    プロジェクトの進捗状況、ウズベキスタンの文化や人々などの内容はプロジェクト調整員の青山さんがブログで発信していますので、私からは、少し視点を変えて書きます。

    (青山さんの最新のブログ「サクサウール苗畑・薬草園の近況報告~第2弾~ @ウズベキスタン」)

    ウズベキスタンの一番の緊急の問題は何だと思いますか?
    植林をしようにも、水がなければ植林ができません。
    今年はサクサウールの苗畑を大学構内に作ったのですが、5月になっても時々しか水が来ませんでした。せっかく芽が出ても、水がなければ苗を育てることもできません。そのため、6月に大学構内に井戸を掘りましたが、その井戸水にもメーターが付けられて取水管理が行われています。

    今、真剣に水問題について考えています。
    なぜなら水問題が近い将来必ず起こるといわれているからです。
    ウズベキスタン カラカルパクスタン共和国のヌクスは、米どころの一つです。秋になり、落ち葉堆肥を作ろうと、原料の米ぬかをあちこち探しに回りましたが、なんと100円/kgほどの値段、籾殻でも30円/kgほどで、あまりの高さに驚きました。
    なぜ、そんなに高いのかを聞くと、米の新たな植え付けが禁止になり、米ぬかなどが少ないという話でした。米は1ヘクタールあたり3万立方メートルの水が消費されるため、これからはお米は海外からの輸入になるかもしれません。
    アムダリア川は、ウズベキスタンの2大河川の一つで、タジキスタンのパミール高原を源流としてアフガニスタンを通り、ウズベキスタン領内のカラカルパクスタンやトルクメニスタンへ流れています。かつてはアラル海まで注いでいた川であり、ウズベキスタンの母なる川です。

    しかし、現在、水不足のアフガニスタンの領内に灌漑のための運河を建設しています。コシュテパ運河の長さ108kmの1期工事が10月に完了しました。この運河は完成すれば、全長285km、幅100m、深さ8.5mで、毎秒650立方メートルの水がアフガニスタンへ流れます。少なく見積もって30万haから60万haの土地を灌漑するため、2030年までに少なくて100億~150億立方メートルの水が失われるという予測が出ています。これは、現在のアムダリヤ川の総水量500億立方メートルの1/3から1/4にあたります。

    コシュテパ運河
    運河が完成するとアムダリア川からの水の1/3から1/4がアフガニスタンへ流れるといわれる

    現在、両国はウズベキスタンがアフガニスタンへ電力を協力している関係もあり、友好的な関係にあります。水問題に対しても平和的に解決をしようと協力していますが、同時に完成までに不足分の水を何とか確保しなくてはなりません。そのためには、これからは灌漑パイプなどの普及を急ぎ、無駄に失われる水管理を見直して節水を進めるしかないのです。
    今後は水を多く使用する作物は禁止になっていくでしょう。また保水剤などの使用も奨励されてくると思われます。日本にいると、水が止まるということはほとんどありませんが、こちらでは水は油よりも貴重であり、日本の節水技術の導入が望まれるところです。

    プロフィール

    沙漠緑化プロジェクトの概要はこちらをご覧ください(3分22秒)

    1月20日まで「2023オイスカ冬募金」を実施しています。ウズベキスタンでの沙漠緑化活動をはじめ、世界各地でのオイスカの活動を冬募金を通じて応援してください。(詳しくは下の画像をクリック)

    冬募金

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