海外事業部人材育成担当の松野です。
現在展開している「2022オイスカ冬募金」では、日本での農業分野などの研修修了生や海外の現地研修センターでの研修修了生の活躍をフォーカスしています。技能実習生の受け入れを主に担当する私から、マレーシアのマラ公団から受け入れた技能実習生の活躍についてレポートします。
オイスカは、1967年にマラ公団と協力協定を結び、日本で 技能実習 制度が始まった1993年以前からマラ公団の職業訓練学校の卒業生を日本の企業で受け入れてきました。
その数は3,000人を超えます。
マラ公団は、技能習得はもとより、日本人の働く姿勢、規律などの価値観や起業家精神を学ぶことを目的にマレーシアの青年たちを送り出しています。
日本での研修修了生の中には、起業して社長となった人もいて、日本人の価値観や仕事観がマレーシアの国づくりに大きく役立っています。研修修了生のひとり、3年前に帰国したアビさんから近況が届きましたので紹介します。
(マラ公団:正式名称はMajlis Amanah Rakyat マレー人が中小企業の活動に参加することが可能となるよう奨励、訓練及び援助することを目的とした公団)
マレーシアのムハンマド・アビと申します。
マレーシアのマラ技能専門学校で土木を学び、2016 年から 2019 年まで静岡県浜松市の中村建設で 技能実習 生として研修しました。中村建設では道路舗装を学びました。最初の 1 年目は日本語もわからず現場で戸惑うことも多かったですが、徐々に仕事を覚えていき親切なスタッフに教えていただきながら無事に 3 年間の実習を終えることができました。
帰国後、「日本道路マレーシア株式会社」に就職し、現在も日本で学んだ経験を生かして道路舗装や補修を行っています。重機の操作や安全対策にも携わっています。
日本で学んだことで一番役に立ったことは、安全確認です。
日本では重機を扱うとき安全確認について厳しく管理されていますが、マレーシアではそれほど厳しく管理されていません。作業中に日本のように声を出して安全確認をおこなったりしませんので、重機の周りに作業員がいて危険な場面もあります。
また日本では各自仕事の役割がありますが、マレーシアでは作業分担がなく、まだまだマニュアル通りに作業がすすみません。作業員は外国人労働者も多いので毎回のように指導が必要です。指導を怠ることは事故につながり大変危険ですので、この点は特に気をつけています。これからも各作業員が責任をもって仕事に従事できるようにサポートをしていきたいと考えています。
もしチャンスがあれば将来、建設関係の会社を作りたいと思っています。
私は、オイスカ開発教育専門学校での勤務時、マラ公団からの実習生の日本語などの基礎研修を担当していました。アビさんのように、日本で学んだ技術を活かして母国の発展に貢献できる人が一人でも多く出て来てくれることを期待しています。