本部・啓発普及部の藤目です。
BBS(Business based solution/ビジネスセクターとのパートナーシップ&ソーシャルビジネスによる社会課題の解決)分野におけるオイスカの活動を、企業を中心にPRする業務を行っています。
うだるような暑さが続く毎日ですが、振り返ると、オイスカに入ってから、暑い日も寒い日も本部事務所まで毎日通いはじめて6年になります。
このオイスカ本部事務所への通勤路に、水道局が管理する雑草の広場があります。毎日の行き来に眺め、楽しむこの空き地広場を、小生は「雑草のサンクチュアリ」と名付け、四季おりおりさまざまな種類の雑草を観察、楽しんでおります。
自然の変遷に6年という時間は長いのか、どうか不明ですが、この期間でも、その年に旺盛に繁茂する主役の雑草が変わることに小さな驚きがあります。最初の2年程の期間はクズが優勢に繁茂し、一面を覆うように勢力を拡大しましたが、3年目頃からは、クズからイタドリに主役が変わり、夏の除草後にもすぐに、次の若いイタドリが芽を出すほどで、その生命力に驚いた記憶があります。今年はそのイタドリの勢いも衰えたのか、写真のとおり、アレチノギクが隆盛を極めており、この種の天下がいつまで続くのか興味あるところです。
アイオワ州立大のディットナー教授が興味ある実験の記録を報告しております。
―中公新書「ヒマワリはなぜ東を向くか」― 小さな四角い箱をつくって、その箱の中に砂をいれ、1本のライ麦の苗を育てた。水をやりながら数ヵ月育てると、小さな四角い箱の砂と水だけの世界のなかからライ麦が育ってくる。数ヵ月たって箱をこわし、きれいに砂をふるい落とし、どれだけの根が土のなかに張り巡らされているかを物理的に計算した。1本のライ麦は30cm 四方、深さ60cmの箱の中に産毛のような根も全て全部足し合わせると、実に約1万1200kmの根を張っていた、という。
たった1本の苗のひょろっとした命を支える為に1万km以上の根を砂のなかの隅々まで張り巡らして、そこから必死の思いで水分とか、土の養分を吸い上げている。
この水道局の「雑草のサンクチュアリ」もその土のなかでは、気の遠くなるような、それぞれの植物たちの根が、凌ぎあい、せめぎあいしながら、自らの命を守る戦いをしていることを想像させます。
なお上記で度々「雑草」と書きましたが、植物に造詣深かった昭和天皇の言葉に「雑草という草はない」との名言が残されており、また養老先生(「バカの壁」の著者であり解剖学者)に「雑草」という言葉の定義として、「こんなものは植えた覚えがない」草との説明をつけています。
日々この小さな自然の変化を楽しみつつ、多様性溢れる地球という大きなサンクチュアリが未来にわたり守られるよう、オイスカ活動に引き続き取り組んで参ります。