本部・人材育成担当の萬代(まんだい)です。
ブログを初めて書きます!少し長くなりますが、お付き合いください。
今月6日、7日の2日間にわたり、愛知県にある中部日本研修センターと豊田市内のJAあいち豊田ホールにて、第2回「オイスカ支援連携サミット」を開催しました。
開催の是非は直前まで悩みましたが、「今後5年、10年後に向けた人材育成事業を示していくうえで、不要不急ではない」と判断しました。
国内4研修センター、それを支援する4支部会長、そして本部がオンラインではなく一堂に会する人材育成をテーマにした大きな会議の開催は初めてのことでした。人材育成事業に関する次期10ヵ年計画に関し、「基本的に方向性としては正しいと思う」「現場で考えていることと本部の考えは近かった」という声を聞くことができ、正直言ってホッとしました。本部では、かれこれ1年かけて検討してきたことなので。
まず、オイスカを取り巻くアジア情勢の変化への対応や、オイスカそのものの運営課題、今後の農業研修のあり方等について話し合いが行われました。これまで農業研修生の受入れは政府補助金やJICA等の資金協力に頼っていました。しかしそれが無くなり、またアジアの急激な経済発展により、農業を選択する若者が減少しています。そうした実情を受けて、オイスカの研修はどうしていくべきかが議題の主なポイントでした。
農業研修の減少に対しては、以前から各研修センターの特徴を活かした環境保全型有機農業や女性の生活改善研修などが提案されており、各センターも改めてその必要性を認識することができたようです。財源対策では研修の有料化も提案されましたが、そのためには派遣国側の理解と研修内容の充実が求められますので、今後その対応に向けた取り組みが課題としても取り上げれました。また、今回、特に技能実習生受入の拡大とオイスカ式によるブランド化が新たに示されましたが、これについては関西研修センターの清水所長から「自ら寝食を共にしながら基礎研修の2ヵ月間、常に父親の心境で研修生の指導に当たっていること」や、受入先にオイスカの人づくりの意義をはっきりと説明し、理解が得られない場合は実習生の受入中止措置をとるなどの分かりやすい実例紹介もありました。
翌日午前中は、それぞれのセンターと支部の今後の方向性について発表していただきました。センター所長からは、ほとんどが前日の各提案に概ね同意したうえで、生産収入増による財源確保や啓発のための地元住民との交流などが発表されましたが、中にはそれらを実施する上でも適正な人員配置について指摘がありました。続いて支部会長からは研修生の存在こそが組織の維持につながっている。だからこそ、研修生の受入とセンター運営のための財源確保についてはセンターと常に連携を密にして積極的にバックアップしていく旨の言葉があり、改めてセンターと支部との一体感を感じつつ無事会議を終了しました。
翌日午後は、会場をJA会館に移して「国際協力のカタチを考える」と題し、134名の参加をいただいて公開シンポジウムを開催しました。真夏の酷暑の中での駐車場整理をはじめ、シンポジウム準備にご協力いただいた愛知県支部・豊田推進協議会の皆さまに、心から御礼申し上げます。
基調講演は、親子2代で研修生・技能実習生を30年間受け入れ続けて下さっている、トヨタファームの鋤柄雄一社長にお願いしました。帰国後の活躍を願い、熱く厳しく指導し、海外現場での指導をいただいている「真の技能実習」が十分に理解できる報告で、涙を拭く聴講者の姿もありました。講演の最後には、コロナ禍と内政の混乱で帰国を果たせず実務習得を続けるミャンマーの実習生がスピーチをしました。鋤柄社長は彼らのことを「明治時代の日本人のようだ」と言います。我々職員も目を見張る日本語で、訪日研修への感謝と帰国後の抱負を力強く述べてくれました。帰国後の活躍が今から楽しみです。詳しくは、朝日新聞Web版をご覧ください。同紙をはじめ、中日新聞、日本農業新聞、矢作新報、新三河タイムスがそれぞれしっかり報道してくれました。
最後に、今回出張した本部職員は、毎朝、研修センターのスタッフらの指示を受け、野菜の収穫・出荷、鶏舎での卵の収穫・餌やり作業を手伝いました。
農場に出る機会にも恵まれ、少しは現場との距離が縮まったかもしれません。今年になって本部職員が短期でセンターに出張して業務を手伝っていますが、これも少しでも本部とセンターが良好なキャッチボールができることを目的にしているものです。その成果も徐々に出てきていますので、今後も希望者を募って継続していきます。