2021年8月24日

あの有名オンライン講座でマングローブ植林プロジェクトがNature-based Solutionsの好例として紹介

  • 本部スタッフ
  • 四国センターから大垣です。
    ここ最近、雨続きですね。国内でも自然災害のニュースが報道され心配です。

    そんなときに私の頭に浮かぶのが生態系を利用した社会課題・自然災害対策アプローチ、オイスカが取り組みに力を入れているEco-System-based Solution(EBS)です。EBSの定義は以下のようなものです。

    社会的な課題に対し、自然の力を活用し人間を含むあらゆる生命にとってプラスとなるよう配慮しつつ、自然の保全、回復そして維持管理を通して、並びに自然が本来持っている力を活用しての環境に配慮した持続可能な産業の開発・実践を通して、これを解決していこうとするアプローチであり活動。またこうした活動を実践できる人材を育成する活動。

    上記のEBSに類似している概念にIUCN(国際自然保護連合)が推進するNature-based Solutions(NBS)があります。NBSは、生態系サービスを活用して自然災害へのリスクを軽減するといった点では同じですが、オイスカのこれまでの取り組みは、植林事業に加えて、人材育成、「子供の森」計画を通じた地域コミュニティの生計向上・住民のエンパワメントを図るといった観点から、より広義な活動範囲を含むEBSを採用しています。

    私は最近、EBSとNBSの違いをしっかりと理解してオイスカ活動で実践していくためにも、edX*と呼ばれる無料オンライン講座で、Nature-based Solutions for Disaster and Climate Resilience(NBSを活用した気候変動へのレジリエンス向上)のコースを受講しています。

    勉強していて驚いたのですが、同講座のNBSケーススタディのモジュールで、東京海上日動様がオイスカとパートナーシップで実施されているマングローブ植林プロジェクトが取り上げられていました。

    Unit 6 course video 5:25~(視聴にはedXへの登録が必要)

    https://learning.edx.org/course/course-v1:SDGAcademyX+NBS001+3T2020/block-v1:SDGAcademyX+NBS001+3T2020+type@sequential+block@30ee83fd154445c5a8a1c814f7fdc901/block-v1:SDGAcademyX+NBS001+3T2020+type@vertical+block@8bae08c2eb2142d7ae9cb0c6a68bd135

    以下、講師発言:

    In Japan, Tokio Marine, an insurance company, is undertaking mangrove restoration, which they promote as ‘insurance for the future of the Earth.’ The project has generated an estimated $1 billion in natural services since its inception in 1999, 40 percent of which is related directly to disaster risk reduction. Such initiatives not only have the potential to increase protection against disaster and climate risks, but can also generate goods such as sustainably managed timber, water and fruit and sustainable economic activities such as tourism.

    (意訳:日本では東京海上日動火災保険株式会社が、“地球の未来のための保険”としてマングローブ植林を行っています。1999年にプロジェクトが始まって以来、換算すると10億円に相当する生態系サービスを生み出し、活動全体の40%が直接的に自然災害軽減に貢献しています。このような取り組みは、自然災害や気候変動の脅威を軽減するだけでなく、持続可能な木材や水の利用、観光といったサステイナブルな経済活動を生み出します。)

    私自身、オイスカ本部にいたときに、長部長(調査研究担当部)の下で、東京海上日動様からご支援をいただいて実施しているマングローブ植林の報告書作成補助業務をさせていただいたことがあります。

    海外現場の現地担当者から送られてくる報告書を読む中で、その規模や生み出されるインパクトの大きさに驚かされました。とりわけ、植林活動だけに留まらず、エコツーリズムをはじめとしたマングローブ植林に付随する産業を創出することで、地域住民の生計向上に寄与している点が印象に残っています。

    マングローブの森のおかげで魚がたくさん取れるようになったそうです。フィジー ビチレブ島サイオコ村
    マングローブの森のおかげで魚がたくさん取れるようになったそうです。フィジー ビチレブ島サイオコ村

    なにより、コロナ過においても、オイスカの研修で育った研修生OB達が現地でリーダーシップを発揮し、現地の若い人材を巻き込みながら、包括的に地域発展に貢献している点がポイントだと思います。

    腰まで泥に浸かりながら作業をするスタッフの皆さん。 インドネシア 中部ジャワ州パティ県
    腰まで泥に浸かりながら作業をするスタッフの皆さん。 インドネシア 中部ジャワ州パティ県

    NBSだと自然災害軽減のみに焦点が当たられがちですが、“人”に焦点を当て、自然と調和しながら生態系を活用して国際協力活動を実践しているのがオイスカの強みです。

    世界中の2400万人の利用者がいるedXで紹介されるのは、マングローブ植林が世界的にも注目されている証拠です。今後、オイスカが掲げるEBSがどう世界課題の解決に風穴を空けていくのか、ますます期待が高まりますね!

    *edX(https://www.edx.org/)は世界中で2400万人が利用する無料のオンライン学習サービス。ハーバード大学やオックスフォード大学をはじめとした数多くの有名大学が参画し、質の高い大学レベルの講義が受講可能。

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