海岸林再生プロジェクト担当の吉田です。
現場スタッフを中心に7ヵ国16名によるEco-DRR研修
10日間が終わりましたので、総括します。
「2018年~2020年中期計画」の主要項目として掲げられた、
「ポスト海岸林の立案」に基づいています。
始まりは、昨年9月のオイスカタイと福岡での会合。
12月には現場を2週間かけて歩き、
本部でもEco-DRR研修の構想について話し合いを始めました。
今年3月には乾季のフィリピンの北部ルソンを20年ぶりに訪ね、
そこで現場の実力が強烈に向上していることを再認識するとともに
通年の多重災害が膝元で起こっている様子を目の当たりにしました。
海外事業部の長部長や、アブラTCのデルフィン所長、
ヌエバビスカヤのロペスさんは、この現状を繰り返し「戦い」と言います。
私も出張の所感は、闘争心に火が付いたことに尽きます。
津波の後とまったく同じような。
今回の研修メンバーも、序盤からこの感覚で結束した気がします。
研修シナリオを考え始めたのは今年6月。
10月1日のシンポジウムや、オイスカインターナショナル国際理事会、
名取のボランティアの日を組み合わせ、
SDGsやEco-DRRの趣旨への深い理解を促すことと、
闘争心に火をつけるシナリオづくりに腐心しました。
先日、東北大学災害科学国際研究所の今村文彦所長と初めてお話しするチャンスがありました。
「災害対策は歴史から学べる」と言っておられましたので、個人的には今回の研修において、
世界で使える日本の伝統的Eco-DRR技術をもっと伝えたかったのですが、
それは最優先事項ではないため、次の機会としたことが小さな悔やみです。
その一方で、SDGsとは何か、オイスカはSDGsとどう向き合うべきかを考えました。
普段からアドバイスいただいている太田猛彦東大名誉教授と
喫茶店や電話などで意見交換を重ねた後、
本部職員向けに講演いただき、本部内の機運を醸成しました。
私たちの現場最前線には、SDGsの真の趣旨は届いていないことが研修序盤に分かりましたが、
シンポジウムでの太田先生の熱弁に端を発し、研修中に日に日に浸透する様子が見えました。
「SDGsにはレジリエンスと言う言葉が、どの項目にも重ね重ね出てくる。
Eco-DRRと大いに関係がある」
研修の大目的を一言だけで言えば、われわれはSDGsをどう考えるべきか、
それを限られた各国ではありますが、最前線メンバーと意見を交わすこと。
そして、この期間中に何らか次の一歩を掲げること。
我々はECO-DRRにおいても、SDGsの期限と同じく
2030年までの世界目標・各国目標を立てること
また、映像による見える化を図り、報告義務を徹底遂行することを決めました。
「7人の侍」という映画もありましたが、まずはこのわずか16人から伝播するはずです。
進捗は引き続きブログで続報いたします。
*ECO-DRRとは「(森林など)生態系を活用した防災・減災」のこと