化学総連さんから感想が届きました!
2019年6月26日( カテゴリー: お助け隊員の声 )
化学総連では6回目となる公益財団法人オイスカ様の海岸林再生プロジェクトのお手伝いに
6月14日(金)~15日(土)と参加してきました。今回は化学総連加盟組織18単組総勢54名に加え、
14日(金)は例年同様に全積水労働組合連合会の皆さんと合同で総勢98名の大所帯となりました。
14日(金)の初日は、まずオイスカの吉田様・浅野様と合流し、津波に被災した鈴木さんの家を見学しました。
鈴木さんは、津波の悲惨を語り継ぐために被災した自宅をそのまま残しているとのことです。
建物の一階部分は津波によって大打撃を受けており、二階はかろうじて残された柱の上に乗っているだけで、
ひと目で津波の脅威を感じ取ることができます。
このような場所で、吉田様より津波の脅威、海岸林の歴史や意義についてレクチャーを受けました。
参加者の皆さんは被災した自宅に圧倒されながらも、吉田さんの話に熱心に聞き入っていました。
レクチャーを受けた後は、いよいよ作業です。
作業場所を移動して、作業内容の説明を受けます。今年の作業は昨年と同じ「溝切り」でした。
元々の作業予定も溝切りでしたが、実際に「溝切り」という言葉が告げられると、
リピーターの方々から「ええーっ?!」「マジかー…」などと歓喜とため息が混じり合った声が上がりました。
初参加の方々はその声に「どれだけ大変な作業なんだろう」とおののいていました。
現場に到着し、指導員の佐々木さんからこの溝切り作業の必要性や重要性について説明を受け、
リピーターの方々は再認識し、初参加の方々は真剣な顔つきに変わっていきました。
溝切りは、その名の通り溝を切る作業です。クロマツは厳しい環境でも育つ樹木ですが、多湿には弱く、
また地下水位が高いと深くまで根を張ることができません。
海岸林として機能させるためには深くまで根を張ってもらう必要があるので、その対策の一つとして
水がはけるための水路を一定間隔ごとに設ける作業がこの溝切りです。
ひたすら穴を掘って水路を作るという重労働でありながらも、クロマツの成長を左右する大変重要な作業です。
作業してみると確かに重労働ではありましたが、作業が終わった後、辺りを見渡してみると、
我々が掘った溝が辺り一帯に広がっていました。作業時間は休憩時間を差し引くと
2時間もなかったように感じますが、「全員で力を合わせれば、こんなにも溝を掘ることができるのか」と
私自身、とても感心してしまいました。
作業終了後、充実感と達成感(そして疲労感?)の中、集合写真を撮影しました。
集合写真の縦に3本走っている溝が、今回我々が作成した溝の一部です。この溝を縦横無尽に
走らせることによって、クロマツが成長しやすい環境を実現することができます。
我々が行った溝切りによって、多湿に苦しみ成長が止まっていたクロマツが成長を再開して、
大きく育ち、海岸林として機能してくれることを願うばかりです。
15日(土)の二日目は、あいにくの雨で作業することができませんでした。
ですが、作業の代わりに震災遺構「荒浜小学校」をご紹介いただき、全員で見学させていただきました。
アポイントなしで訪問したのですが、バスを降りるなり係員の方が近づいてきて
「幹事の方はいますか?この施設についてぜひ説明したいのです!」と声を掛けてきました。
こちらとしては願ったり叶ったりの申し出なので「ぜひお願いします!」と即答し、説明していただくことにしました。
係員の方が熱心に説明する姿や、「ぜひ説明したい」という姿勢を目の当たりにして、
津波の被害を受けたこの場所で生活される方々の熱い想いを強く感じた次第です。
この震災遺構「荒浜小学校」では、被災した校舎がありのままの姿で保存されており、
いたるところに津波が残した爪痕が鮮明に残っている他、被災直後の生々しい写真等も展示されており、
津波の脅威や悲惨さを痛感すると同時に、津波にも負けない海岸林を再生することの意義を改めて強く感じました。
私自身は今回初めて参加させていただいたのですが、正直言いますと、何気なく生活している中で
震災や復興はつい遠い昔のことのように感じてしまっていました。
しかしながら、震災のあった場所で生活される方々にとって復興は遠い昔のことではなく、
今現在の日常だということに改めて気付かされました。その復興に対して、我々の活動が少しでも
お役に立てたのでれば幸いですし、組織としても個人としても海岸林再生を始めとした復興に
関わっていきたいと想いを新たにしました。今後も引き続き、よろしくお願いいたします。
(化学総連 事務局次長 白石雅秀)