「名取市海岸林再生の会」視察研修に同行して

2012年11月12日( カテゴリー: 本部発 )

 お久しぶりです。本部・啓発普及部の池田です。
 今回は、10月30日~31日にかけて、海岸林再生プロジェクト担当 Y課長の代理として同行した秋田県の海岸防災林視察研修についてブログさせていただきます。
 「一燈照隅・萬燈遍照(いっとうしょうぐう・ばんとうへんしょう)」…この言葉、ご存知でしょうか?
 先ず自分が居る場所を明るく照らせる人間と成れ。おのおのそれぞれが一燈となり、この一燈が萬燈になり、遍く(あまね)世を照らすようになれば、一国否、世界の国々も変わっていく、という意味なのですが、有難い事に私の周りには、この言葉を実践していらっしゃる方が、数多くいらっしゃいます。
 昨年3月11日、1000年に一度と言われる未曾有の大地震と津波に襲われた東北太平洋沿岸地域(海岸林全被害面積:3,660㏊)ですが、とりわけ宮城県においては、1,750㏊の海岸防災林が失われ、住民の方々の生活を脅かしていることは、皆様ご存知の通りです。      
 そこでオイスカでは、宮城県内でも甚大な被害を受けた仙台平野南部・名取市の人々の海岸林再生活動支援を機関決定し、各方面から継続してご支援ご協力いただいております。
 実質的な活動1年目である今年は、春のクロマツ播種に始まり雨が少なかった夏の水遣り他、視察者の対応や各種会合での説明など、非常に忙しい現場だったそうですが、作業が落着いたこの時期に、海岸防災林の先進地の一つ、秋田県を視察することとなりました。
 一日目の30日は、米代西部森林管理署の方々に案内いただき、能代市の「風の松原」を視察しましたが、立派に育った松原を目にして、参加者からは植林後の維持管理に市民がどのように関わっているのか、多くの質問が寄せられていました。(林帯幅は0.4 ~ 1.2㎞)
 

  二日目の31日は、甚大な松枯れ被害に遭った由利本庄市の海岸防災林について由利森林管理署の方々から被害の状況やその後の対応、そして現在の取組みについて説明していただきました。
 以前は、クロマツと広葉樹を混植していたそうですが、クロマツ以外は、ほぼ枯死してしまったため、現在はクロマツの植樹とマツクイムシの防除に力を注いでいるそうです。
 また、視察当日の午前中に地元の小学校児童を中心としたグループがクロマツを植樹した直後だったことが分かり、参加者一同、海岸防災林再生への想いを強く抱かれたようです。


 上記二ヶ所の視察が今回の研修の主な目的でしたが、同じ秋田県内の象潟(きさかた)の視察も、非常に有意義な内容だったように思います。
 その昔、「奥の細道」で有名な俳人・松尾芭蕉を始めとして多くの文人墨客が訪れ、「東の松島、西の象潟」と呼ばれたように、かつては松島同様無数の小島が浮かぶ入り江でしたが、文化元年(1804年)の大地震(象潟地震)で干潟に変わったそうです。

 昨年の東日本大震災でも地盤沈下や亀裂が発生し、未だ傷跡が癒えない地域もありますが、同じような体験をした先人が、多くの困難を乗り越えて、現在の美しい象潟の地を築いたことに大きな感銘と刺激を受けると同時に、再生の会の皆様の決意を感じた研修でした。
 尚、インターンの秋山君については、改めて記す予定ですので、楽しみにお待ちください。

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