2020年7月8日

JICA草の根技術協力事業 本邦研修報告会 自然と共生しながら豊かになる!インド・ガンジス河流域の農家による竹炭を活用した農業への挑戦【6/16実施レポート】

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  • 6月16日、「JICA草の根技術協力事業 本邦研修報告会 自然と共生しながら豊かになる!インド・ガンジス河流域の農家による竹炭を活用した農業への挑戦」を開催いたしました。

    この報告会では、2023年に開始した「ガンジス河流域村における水・土・森の自然資源共生型農業技術普及による持続可能な生計向上支援プロジェクト(JICA草の根技術協力事業)」の事業地であるインド・バラナシの3つの村の農家の代表メンバーが、村の暮らしやプロジェクトへの思い、今後の抱負を発表しました。

    3村の農家の代表メンバーと、彼らと協力しながらプロジェクトを推進するスタッフは、今後の活動をさらに発展させることを目的として、6月9日~17日まで日本での研修に参加しており、日本滞在中にこの報告会を開催しました。

    ≪報告会の概要≫
    日時:2026年6月16日(火)18:30 ~ 20:00
    会場:JICA東京センター内 セミナー室
    プログラム:
    ▸開会挨拶 公益財団法人オイスカ 常務理事・海外事業部部長 森田           
    プロジェクト概要の説明 公益財団法人オイスカ 海外事業部 山本           
    ▸現地プロジェクト責任者からの挨拶 オイスカ北インド総局事務局長 リトゥ・プラサッド      
    ▸プロジェクトメンバーからの発表       
     テーマ① 村の紹介
     テーマ② プロジェクトで取り組んでいること
     テーマ③ 日本を訪れての感想と今後の抱負
     現地プロジェクトスタッフからのコメント
    質疑応答       
    ▸閉会挨拶 オイスカ・バラナシ支局会長 V. N. シン

    報告会のアーカイブ動画はこちら

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    ▸プロジェクト概要

    インド・バラナシのガンジス河流域のラムナ村、ムスタファバード村、チャドプル村という3つの村において、本プロジェクトを実施している。
    プロジェクト目標を達成するため、具体的に目指すことが、下の3つとなる。自然資源の活用として、本プロジェクトでは、土壌改良や化学肥料の使用を減らすことを目的に、竹炭を農業に取り入れている。
    この3つの達成のために、具体的には次のような活動に取り組んできた。
    左上:現地住民とのミーティング。開始直後はプロジェクトの説明を重ね、徐々に協力する住民が増えてきた段階では、住民同士や専門家も交えた意見交換を行い、改善をしながら円滑に活動が進むようにしている。
    左下:住民自らで竹炭をつくることができるよう、炭窯づくりから着手。日本の専門家の指導のもと、現地住民が協力しながら炭窯づくりを行い、3つの村に1基ずつ炭窯が完成。
    中央上:炭窯が完成したら、炭焼きを実施。繰り返し指導を受けながら炭焼きを行ったことで、現地住民だけで炭づくりを行うことができるようになってきている。
    中央下:つくった炭を畑に撒く。現在、20軒以上の農家で竹炭を活用した試験栽培を行っている。
    右上:試験栽培作物の生育状況確認。比較栽培で効果を検証するとともに、専門家から栽培方法に関する指導を行っている。
    右下:セミナーの実施。取り組みに対する住民の理解を深め、知識の向上につながるよう、自然環境と農業の結びつきや、竹炭の効果、作物の販売戦略などに関する講義を行っている。
    今後、さらにプロジェクトを発展させていくために、今回3村の農家の代表メンバーが日本を訪れ、山梨、愛知、東京で研修を行った。山梨では森林の多面的機能や保全、木材や竹炭など農産林の加工や流通について、愛知では持続可能な農業の取り組みや農産物の販売などについて学んだ。

    プロジェクト期間の終盤に向けては、竹炭を活用して栽培した作物の販売手法を検討していく。引き続き、環境保全と持続可能な農業技術の知識・理解を高めながら、住民自身による取り組みを活発で持続的なものにしていく。

    ▸プロジェクトメンバーからの発表       
     テーマ① 村の紹介

     (1)ラムナ村

    •ラムナ村は、「人々に救いをもたらす川」として知られるガンジス川のほとりに位置しています。
    •朝にはガンジス川から吹く心地よい風と鳥たちのさえずりが聞こえ、穏やかな時間が流れています。
    バナラス・ヒンドゥー大学(BHU)の近く
    •ラムナ村は、アジア有数の総合大学であるバナラス・ヒンドゥー大学(BHU)の近くにあります。
    •村の人々は教育とのつながりが深く、伝統的な生活を大切にしながらも、新しい考え方を取り入れています。
    •ラムナ村はガンジス川の近くにあり、非常に肥沃な土地に恵まれています。
    •農業が主要な産業です。
    •主な作物は小麦、からし菜(マスタード)。また、季節ごとの新鮮な野菜も栽培されています。
    左:ニガウリ 右:ジャガイモ
    左:フラットビーンズ 中央:ササゲ(ヤードロングビーンズ) 右:トマト
    左:ヘチマ 中央左:トマト 中央右:キュウリ 右:ニガウリ
    •フラットビーンズやニガウリなどの野菜は、インド各地へ出荷されています。
    日本の「協働」の精神と同じように、ラムナ村でも収穫や祭りの際には村全体で協力し合います。
    地元の寺院で行われるキルタン(宗教歌)やガンジス川で行われるガンガー・アルティは、村の人々の日常生活を支える大切な存在です。
    左上:パンチャーヤトと呼ばれる村役場
    中央上:学校
    右端:ショッピングモール
    左下:保健センター
    中央下:雑貨店

     (2)ムスタファバード村

    ・ムスタファバード村はガンジス川流域の平野部に位置しています。
    ・この地域の土壌は非常に肥沃で、さまざまな作物の栽培に適しています。
    気候条件に恵まれており、ラビ作(冬作)、カリフ作(雨季作)、ザイド作(夏作)の3作を行うことができます。
    ・一年を通して農地は緑に覆われています。
     ・ムスタファバード村では、伝統的な主食作物とともに野菜の集約的な栽培が行われています。
    ・雨季には稲、冬季には小麦を栽培しています。
    左:稲
    右:小麦
     ・ムスタファバード村は野菜の一大生産地です。
    ・主食作物に加えて、多くの野菜が栽培されています。主な野菜は、青唐辛子、トマトです。これらは地域市場を支える重要な農産物です。
    左:青唐辛子
    右:トマト
     ・ムスタファバード村には竹も豊富にあります。
    ・プロジェクトで活用している竹炭の原料となっています。
    ・ムスタファバード村は、おいしいグアバとパパイヤの産地として知られています。
    ・パパイヤ、グアバ、マンゴーが広く栽培されています。
    有機農業への取り組みとして、ミミズ堆肥の活用、循環型農法の推進をしています。果樹園の化学肥料への依存を減らし、より環境にやさしい栽培を目指しています。
    左:パパイヤ
    中央:グアバ
    右:マンゴー
    ・ムスタファバード村では、ほぼすべての農家が酪農を行っています。
    ・酪農は重要な収入源であるだけでなく、自然農業に必要な堆肥の供給源にもなっています。
    ・毎日約4,000リットルの牛乳が協同組合を通じてバラナシへ出荷されています。
    牛ふんや牛尿を活用した循環型農業を実践しています。
    ・ムスタファバード村はバラナシの近郊に位置し、豊かなサナータン文化と自然保護の精神を受け継いでいます。
    ・チャト・プージャなどの祭りを通じて、水・太陽・自然への感謝を表しています。
    ・年間を通じて行われる地域の祭りは、地域の協力・社会的な調和を深めています。
    左上:アムリット・サロワール(貯水池)
    中央上:学校
    右端:郵便局
    中央下:ごみ集積所
    左下:パンチャヴァティ庭園
    ・季節外れの降雨や気候変動から農作物を守ることが大きな課題です。
    ・雨季にはガンジス川の水位上昇によって洪水が発生し、農地の約50%が影響を受けます。
    ・地下水位の低下により、より効率的な灌漑技術が必要になっています。
    化学肥料の長期使用によって土壌に影響がでています。
    ・今後の目標として、持続可能で環境にやさしい農業の推進を目指しています。

     (3)チャドプル村

     
    ・チャドプル村は、ジャガイモ、ダイコン、青唐辛子、キャベツ、トマトの生産が盛んな村です。
    ・聖なるガンジス川の平野部に位置しています。
    ・ガンジス川の近くにあり、川が運んできた豊かな土のおかげで、農業に適した土地になっています。
    チューブ井戸や用水路などの灌漑施設が整備されています。
    主に稲(左)と小麦(右)を栽培しています。
    チャドプル村は、以下の作物の生産で知られています。
    ジャガイモ(左)、ダイコン(中央)、青唐辛子(右)、キャベツ、トマト
    村民の約90%が畜産に従事しています。
    生産された牛乳はバラナシ市内の主要な乳業会社へ出荷されています。
    家畜のふんから高品質なミミズ堆肥を生産しています。
    ・有機的で持続可能な農業の推進に取り組んでいます。
    ・チャドプル村はバラナシの近郊に位置し、深い信仰心と地域の結びつきを大切にしています。
    ・デー・ババ寺院とシヴァ寺院は村の団結と調和の中心となる場所です。
    チャト・プージャ、デヴ・ディーパワリ、ホーリー祭、ディワリ祭といったお祭りを盛大に祝います。
    ・自然への信仰として樹木や水源を守ることは、私たちの大切な伝統です。
    左上:給水施設
    中央上:学校
    右上:保健センター
    左下:公衆トイレ
    中央下:体育館
    右下:パンチャーヤトと呼ばれる村役場
    左上:ジュース店
    中央上:卵店
    右上:サモサ店
    左下:菓子店
    中央下:サトウキビジュース店
    右下:ロンラタ(インドの伝統菓子)


     テーマ② プロジェクトで取り組んでいること
     (1)竹炭窯づくり

    ・日本人専門家の指導のもとで建設を行いました。
    ・完成までに10日間の集中的な作業を行いました。
    ・地元の作業員と農家が協力しながら技術を学び、実践しました。
    ・竹炭窯を設置するための場所を慎重に選定しました。
    ・窯の大きさに基づき、地元の作業員が穴掘り作業を行いました。
    ・適切な深さを確保することは、窯内の高温維持と熱漏れ防止に重要です。
    窯内の高温を維持し、地面からの水分の影響を防ぐため、複数の層を設けました。
    第1層:砕いたレンガ
    第2層:小さな砂利
    第3層:大きな砂利
    第4層:砂
    第5層:レンガ
    ・窯本体の建設にはレンガと粘土とモルタルを使用しました。
    ・日本人専門家が各工程を丁寧に確認しました。
    竹を完全に炭化するためには、窯内で400~800℃の温度を維持する必要があります。
    ・二重壁構造と粘土コーティングによってしっかり断熱できるようにしました。
    ・竹を燃やさずに炭化するためには、空気量を適切に調整する必要があります。
    ・そのため、窯の下部に開閉可能な空気の通り道を設置しました。
    窯の後方には煙突を設置しました。この煙突は煙を排出するとともに、窯内の空気の流れを維持する役割を果たします。
    ・窯全体を密閉するため、ドーム型の天井をつくりました。
    ・外側全体には湿った粘土と藁を混ぜた材料を塗り、不要な空気の流入を防ぎました。
    ・日本人専門家の支援により、竹炭窯づくりの技術を習得することができました。
    ・また、この技術を村の農家にも伝え、多くの人が竹炭づくりに取り組めるよう指導しました。
    ・今後は、より多くの農家が竹炭窯を活用し、この技術の恩恵を受けられるよう活動を続けていきます。

     (2)竹炭づくり

    (たけ)(すみ)製造(せいぞう)には(やく)12(12)15(15)(にち)かかります。
    日本人(にほんじん)専門家(せんもんか)指導(しどう)のもと、窯(かま)への(たけ)詰め方、温度(おんど)管理、空気(くうき)調整、煙(けむり)分析などについて実践的(じっせんてき)研修(けんしゅう)受けました(うけました)
    現在(げんざい)では、(たけ)(すみ)製造(せいぞう)経験(けいけん)積み(つみ)(たけ)炭づくり(すみづくり)プロセス(ぷろせす)全体(ぜんたい)理解(りかい)しています。
    指導を受けた後、窯(かま)への(たけ)投入(とうにゅう)から火入れ(ひいれ)までの全工程(ぜんこうてい)を、自分(じぶん)自身(じしん)実施(じっし)しました。
    (かま)3(3)(かい)使用(しよう)し、充分(じゅうぶん)品質(ひんしつ)(たけ)(すみ)をつくることに成功(せいこう)しました。
    ・現在(げんざい)地域(ちいき)のコーディネーターとして、ラムナ村の農家への技術指導・普及活動に取り組んでいます。
    (たけ)(すみ)有機(ゆうき)肥料(ひりょう)とともに使用(しよう)することで、土壌(どじょう)(ほ)水性(すいせい)向上、土壌(どじょう)団粒(だんりゅう)構造(こうぞう)通気性(つうきせい)向上確認(かくにん)されています。
    小麦(こむぎ)野菜類(やさいるい)において、(ね)生育の促進、葉(は)(しょく)濃く(こく)健全(けんぜん)成長、品質(ひんしつ)収量(しゅうりょう)向上見られました(みられました)
    化学(かがく)肥料(ひりょう)への依存(いぞん)減らすこと、地下水(ちかすい)汚染(おせん)防ぐことにつながっています。
    (たけ)(すみ)利用(りよう)によって、土壌(どじょう)水分(すいぶん)保持、土(つち)(なか)有機物(ゆうきぶつ)増加進んで(すすんで)います。
    (たけ)(たけ)(すみ)価値(かち)への理解(りかい)深まりました(ふかまりました)
    ・竹(たけ)(すみ)活用(かつよう)により、農産物(のうさんぶつ)品質(ぶつの)収量(しゅうりょう)向上(こうじょう)し、農家(のうか)収入(しゅうにゅう)向上(こうじょう)につながっています。
    化学(かがく)肥料(ひりょう)への依存(いぞん)減らし、河川(かせん)周辺(しゅうへん)地域(ちいき)環境(かんきょう)保全(ほぜん)促進(そくしん)します。

     (3)試験栽培

    ・農業専門家の指導のもと、竹炭の効果を確認するため試験栽培を行いました。
    稲や小麦の播種前に竹炭を施用する畑を決めました。
    ・竹炭を施用していない畑も決め、比較調査を行いました。
    ・毎週、両方の畑の写真を撮り、生育状況を記録しました。
    ・竹炭を使用した畑の作物は、より健康に生育し、葉の色が濃く、生育密度も高いことが確認されました。
    ・竹炭を使用した畑から20株、竹炭を使用していない畑から20株を採取して比較しました。その結果、竹炭を使用した畑の方が、茎の数・葉の数ともに多いことが確認されました。
     ・竹炭には細かな穴が多数あり、土壌中の水分を保持します。そのため、灌漑用水の使用量を減らすことができます。
    水や酸素が土の中を通りやすくなります。根の成長を促進します。
    竹炭の細かな空間は、有益な細菌・健全な菌類などの微生物のすみかとなります。これらの微生物が土壌の健全性向上に役立ちます。
    ・竹炭を使用した畑では、収量が30~35%増加しました。


     テーマ③ 日本を訪れての感想と今後の抱負

    ※実際の報告会では時間の都合上、発表できませんでしたが、ここでは、プロジェクトメンバーの感想を抜粋してお伝えします。

    ・今回の研修を通じて、日本では人々が協力し合いながら活動していること、清潔な環境が保たれており、自然や資源を大切にしていることが分かりました。私たちも村でこのような良い習慣を取り入れ、人々の意識向上や地域の発展につなげていきたいと思います。

    ・今回の研修では、日本の人々が環境保全に非常に高い意識を持っていることを学びました。また、森林保全やリサイクル、竹炭の活用など、環境を守るための様々な取り組みについて知ることができました。これらの活動は地域社会の発展にも役立っており、人々の生活向上にもつながっていると感じました。帰国後は、今回学んだ内容を村の人々に伝え、環境保全活動や竹炭利用の普及に役立てたいと考えています。

    ・日本で見学した中で、特に印象に残ったのは、炭の活用や作物の栽培手法の工夫によって、環境保全と調和した取り組みをしていたことです。私たちは日本で学んだことを、自分たちの畑や農業活動に活かし、また他の人々にも伝えていきたいと思います。

    ▸質疑応答

    質問1
    Q:竹炭を活用して育てた作物は、マーケットでより高い値段で販売することができているのか?

    A:今回のプロジェクトはモデルケースであり、これから普及段階となる。まだ販売の段階にはなっておらず、作物は自家消費をしている。現時点では、収量を確認するテストができたところであり、今後、販売にも踏み込んでいきたい。

    質問2
    Q:日本での視察を通して、自身の村でも取り組んでみたいと感じた印象的なことがあったら教えてもらいたい。

    A:とにかく緑が多くて、きれいな国という印象。研修で訪問したリサイクルセンターでは刈枝や刈草などを堆肥化して販売していたが、そうした持続可能な取り組みが参考になり、こうしたシステムを持ち帰りたいと思った。また、車が非常に整然と走っていて、慎み深く譲り合って運転しているが、そういった精神からも学びが多く、ぜひ自身の村の人たちにも伝えたい。
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    当日ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。
    これから、さらなるプロジェクトの発展に取り組んでまいります。

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