実施日:2025年9月6日(土)
実施団体:いすゞ自動車株式会社
活動:シカ害対策ネット補修、除伐
今年で14回目を迎えたいすゞ自動車の森林保全活動には、本社・工場・販売会社・企業内学校など、全国・海外から83名に参加いただきました。昨年を上回る参加者が集まり、活気に満ちたスタートとなりました。
開会式では、最初に広報部・相川部長が「2008年からプロジェクトに参画し、従業員参加の企画として進めている。お子さんを連れて参加してくださっている人もいますが、次世代に繋いでいくという意味もあるので、ぜひ活動に触れていただき記憶に残してほしいです」と挨拶され、長年続けてきた活動が、社員やその家族にとって“未来へつなぐ経験”になっていることが参加者の皆さんに伝えられました。
また、山梨県富士東部・林務環境事務所 岡部県有林課長は「自然は複雑なバランスの上に成り立ち、人間が完全にコントロールすることはできません。森林を管理するとは、知恵と力を出し合い、自然に寄り添い、自然の力をうまく引き出していくことだと考えています」さらに活動開始から約20年を迎えようとしていることに触れ、「植えた木、自然に芽生えた木、多くの生命の働きによって森は順調に回復しています。これは皆さんの長年の活動の賜物です」と、山梨県を代表して参加者へ深い感謝が述べられました。
いすゞ自動車 広報部 相川部長
山梨県富士東部・林務環境事務所 岡部県有林課長
最後に「富士山の森づくり推進協議会」会長・東京農業大学の佐藤教授が、森林が持つ多面的な機能について解説。「森林は木材生産だけではなく、水を育み、土壌を安定させ、文化とも深く関わる存在です。その大切さを伝えるうえで、皆さんが参加してくれることは本当に嬉しいことです。」さらに、「木を植える以上に“育てること”は長く、そして重要です。今日の活動を通じて、森林が皆さんにとって身近な存在になることを願っています」と述べ、継続的な森づくりの大切さや意義を参加者へ伝えました。
「富士山の森づくり推進協議会」会長・佐藤教授
作業班の班長さんたちが、自己紹介
いすゞ自動車さんでは、これまでの参加回数や作業経験、体力などに応じて 初級・中級・上級に分かれ、それぞれ班編成を行っています。
今回は活動地までの道のりが長く、到着する頃には早くもひと汗かくほど。それでも、山道を歩きながら自然の空気を感じるなど、参加者同士の会話も弾み、良い?ウォーミングアップとなりました。
作業地に到着すると、まずは指導員から作業内容や注意点について丁寧な説明があり、参加者の皆さんは真剣に耳を傾けていました。その後、いよいよ各作業ペアが思い思いの作業場所へ向かい、作業がスタート。
作業が進む中、参加者に話を伺うと、「新入社員です。山が好きで、自分から参加しました!」と語るその表情には、意欲が満ちていました。今回が初めての参加ということもあり「これは何の木ですか?」「倒れた木も起こしてあげると、また生き返りますか?」と、自然や作業に関する質問が次々に飛び出し、積極的に学ぼうとされる様子が印象的でした。
初参加の方は他にも多く、慣れない作業に苦戦する様子もありましたが、時間が経つにつれペアの相手と声を掛け合いながら作業を進めたり、道具の扱いに慣れてスピードがぐんと上がったりと、チームワークが育まれていく様子がわかりました。
昨年に続き2回目の参加となった方からは「去年よりスムーズに作業できました。斜面で支柱を固定するのは難しいですね」という声も。一方、リピーターで“上級者”の皆さんは、さすがの安定感。「順調、順調!」と声を弾ませながら作業を進め、急斜面にも積極的に入り、手際よく作業をこなす頼もしさが際立っていました。
お子さんの参加も。今回で2度めの活動!
ネットの整理、運搬は一番体力を使う作業です・・・
少し斜面のきつい現場ではありましたが、参加者の皆さんは時間どおりに作業を完了してくださいました。作業後は、使用しなくなったシカ害対策ネットの回収や、道までの運搬作業にも協力いただきました!
体力を使う工程が続き、皆さんからは思わず「フーフー」と息が漏れる場面も見られましたが、それでも最後まで手を抜くことなく作業くださり本当ありがたかったです。
作業が終わったら、木の陰で班ごとにお弁当。山で食べると一段と美味しいですね!!
地元で作られたお弁当を堪能
閉会式では、オイスカ山梨県支部を代表して田中会長代行より「広葉樹の森づくりは国内でも例が少なく、始めてからその難しさを知りました。来年で20年を迎えますが、ここまで広葉樹が育っている場所は珍しいと先生からも評価いただいています。倒れかけながらも生き続ける木、倒れても起き上がろうとする木の姿に再生の力を感じます。「100年の森づくり」は長い道のりですが、皆さんとともにこれからの成長を見守り、森の再生を続けていければと思います」と挨拶させていただきました。
活動の感想として、いすゞ自動車が支援するフィリピン自動車整備学校の出身で、現在は技能実習生として働くジェコンさんは、「15年前、父と山へ行きココナッツの木を植えました。その木は今も父が実を収穫しています。今日の活動を通して、今育てているものが次の世代に繋がっていくということを強く感じました」と自身の経験も踏まえて話していただきました。
また、首都圏白井SCセンター長の川井さんは、「ボランティア活動は初めてで、とても貴重な経験になりました。木を育てるのも人を育てるのも、時間も手間もかかり、大変なことが多いと改めて感じました。一本一本の木を諦めずに育ててきたように、人も諦めず可能性を信じて育てていこう、と今日決意しました」と仕事と重ね合わせながら貴重な気づきを共有してくれました。
フィリピンからの技能実習生・ジェコンさん
首都圏白井SCセンター長 川井さん
活動の最後には、事務局より「いすゞ木製玩具シリーズ」の取り組みについて紹介がありました。

「植えて・育てる」活動に加え、「木材を使う」森林資源の活用にも積極的に取り組んでいること、「運ぶでつなぐ森の循環」をテーマにオリジナル木製玩具を制作していること。またその玩具が横浜市の学童クラブなどに寄贈されていることなどが参加者に伝えられました。より大きな森林循環の実現を目指した活動であることが共有され、参加者からも関心が寄せられていました。
参加者それぞれが植樹を通して自然と向き合うだけでなく、様々な想いも共有していただき、あたたかな活動となりました。
今年度のボランティア活動は、いすゞ自動車さんが最後の活動となりました。
活動に参加くださった皆様、そしてご協力・ご支援いただいた関係者の皆様、本当にありがとうございました!