「つみ木でつながる」
8月26日、27日、28日と、福島県郡山市で「元気なこおりやま 夏のキッズフェスタ」が開かれました。同、イベントは5月に初回が開催され、今回は第2回目。オイスカも「森のつみ木広場」開催の依頼を受け、1回目に引き続き参画させていただきました。
福島県では、震災から5ヵ月が経過した今もなお、放射線被爆による不安な生活が続いています。これは、そんな状況の中で「子どもたちを守ろう!!」と立ちあがった「郡山市震災後子どもの心のケアプロジェクト」のメンバーが、子どもたちに夏休みの楽しい思い出を作ってもらいたいと企画した、遊びのイベントです。オイスカは最終日(28日)だけの参加となりましたが、会場の中央部に大きなスペースをいただき、約1万個のつみ木を準備して子どもたちを迎えました。
入口には開場を待たずしてすでに行列ができており、このような場を多くの家族が求めていること、そして楽しみにしていることが伝わってきました。なんと28日だけで1680名の親子が来場されたそうです。
「森のつみ木広場」にも、開始から終了まで途切れることなく沢山の親子が遊びに来てくれました。なかには午前中から終了まで遊んでいった男の子もおり、お母さんが「お昼ごはんも忘れてやってるんですよ……」と苦笑する場面も。
また、その日初めて会場で出会った子どもたちが、つみ木を通じて友達になっている場面も見られました。最初は別々に作品を作っていましたが、最後には一緒に線路や街を作りながら「壊さないでよ~」「ねぇ、これ見てよ!!」と大盛り上がり。すっかり意気投合し、仲良しになっていました。つみ木がとりもった仲です。
そして今回は、嬉しいできごとがありました。1回目の開催時に「森のつみ木広場」に遊びに来てくれていた親子との再会です。「前も来てくれたよね?」と声をかけると、向こうも覚えていたようで、本当に嬉しそうに頷いてくれました。帰り際に、見えなくなるギリギリまで何度も何度も振り返り、手を振ってくれる姿に少々感激し、私もブンブン手を振りました。
一緒に行っていたスタッフは、「私たちスタッフにとっては繰り返し開催する「森のつみ木広場」の一つだが、参加してくれた子ども一人ひとりにとっては、そのたった1回がつみ木の思い出として胸に刻まれていく。そんな当然のことに、子どもたちの心に関わることへの責任の重さを改めて感じた。仕事が作業になることのないよう、そして子どもたちが後々思い出すたびに笑顔になれるような楽しい思い出となるように、1回1回と真摯に向き合わなければと思った」と、その出来事を振り返っていました。その言葉を聞いて、私自身も身の引き締まる想いでした。
今回アンケートを実施したところ、保護者からは「友だちと競いあったりして、ひさしぶりに子どもたちが皆で楽しんでいました。ありがとう」「福島は今、大変な状況で子どもを安心して遊ばせられるのは屋内のみ。大規模な知育広場として定期的な開催があれば…」などのコメントがよせられ、子どもたちからは「こんなにハラハラしたのは、ひさしぶりでした!!(高いタワーをつくって)」とか、ひとことだけ「つづけてください」と期待とも願いともとれるようなコメントを書いてくれているものもありました。
保護者の方々は子どもの夏休みを楽しいものにさせるため、色々な工夫や努力をされておられるそうです。この活動がその一助になれたなら、本当に幸いです。「森のつみ木広場」で広がる縁を大切にしながら、たとえ小さくとも継続した活動を行っていきたいと思っています。
(報告:本部啓発普及部・長野純子)