「つみ木と一緒に寄り添うこと」
6月25日、前日に「森のつみ木広場」を実施した清野学園の清野理事長を通じて、宮城県牡鹿郡女川町にある避難所、女川町総合体育館で、つみ木を行う場を提供していただきました。同避難所は女川町内で最も大きい避難所で、6月25日現在、600人以上の方が避難生活を送っている場所でした。高台にある体育館に向かう道は、津波で流された建物が少しずつ撤去され、元の街の姿を想像することはできないほどでした。
私たちが「森のつみ木広場」を実施したのは、同体育館の廊下のスペース。小さなスペースですが、無機質な廊下に赤い絨毯を敷くと、一気に明るさが生まれ、通りかかる人たちが「何をするの?」と声をかけてくれます。早速飛び込んできたのは仲良し二人組の女の子。つみ木を広げると、「津波~!!」とつみ木を押し寄せ「津波でお家が流されてしまいました~」と、津波ごっこを開始。「じゃあ、つみ木でお家をつくり直そう!」と提案すると「うん!つくろう!」と、一緒になってお家づくりを始めました。つくりながら「津波が来た時はね」「お家の周りはね」と、当時の様子や自分が感じたことを話してくれました。一生懸命話してくれることを一生懸命に受け止めながらつくり続けていくと、完成したお家に大きな笑顔がこぼれました。「今度はお城をつくろう!」と、女の子たちはいつの間にか津波の話もなくなり、自分たちで楽しく遊び始めました。
そんな子どもたちを眺めながら、絨毯の横では、「即席つみ木のマッサージ」を実施。おじいちゃん、おばあちゃんとお話をしながら、マッサージを通して木の香りや感触を感じてもらいます。「俺もやってみるか!」と、つみ木のタワーつくりを始めたおじいちゃんは、楽しそうな子どもたちを見ているうちに、つみ木をやってみたくなった様子。子どもたちとおじいちゃんのタワーの高さ比べが始まりました。「おじいちゃんガンバレ~」「○○ちゃん、おじいちゃんに負けるな~」と盛り上がる会場。グラっとするたびに挙がる歓声、一段高くなるたびに起こる拍手に、会場はどんどん一つになていきました。高く高く積んだタワーが崩れた時は、みんなから励ましとねぎらいの言葉がかけられ、本当に温かい雰囲気のつみ木広場になりました。
つみ木は遊びの道具ですが、つみ木と一緒に寄り添うことで、つみ木がその場にいる方のいろいろな感情や言葉を引き出すことができて、その思いが人と人とをつないでくれる――そんなことを感じることができた一日でした。
(報告:本部啓発普及部 石原真弓)