- 70歳の女性(右から3人目)の案内で、世界遺産の棚田を視察
環境再生保全機構地球環境基金は、環境保全に携わる日本のNGOスタッフ育成を目的に、「海外派遣研修・実践手法スタディコース」を実施しています。毎年異なるNGOが企画と運営を委託され、アジア各国の環境保全活動の現場の視察、関係者との意見交換などを通じて、国際協力について高い意識を持った環境NGOの担い手を育成しています。
平成21年度はオイスカがこの海外研修を受託し、2009年11月30日から12月13日まで、フィリピンで研修を実施しました。
環境破壊や地球温暖化への対応が急がれる今日、地域住民の意識向上という根本的な部分への働きかけとして、環境教育の重要性がますます高まっています。そこで今回の研修では環境教育をテーマとし、オイスカをはじめフィリピンで活動しているいくつかのNGOの活動現場を視察しました。
環境教育というとオイスカでは「子供の森」計画がその代表格ですが、そもそも環境教育とは環境問題解決のために行動する人材を育成することが目的であり、老若男女を問わずさまざまな人を対象としています。「子供の森」計画も、中心である学校から生徒の親、地域住民へと活動の輪が広がっていくことを目指しています。今回の研修では「子供の森」計画参加校を訪問し、環境教育の授業を実際に視察したほか、生徒や先生など関係者と環境教育普及についての意見交換を行いました。
またオイスカ以外には、ルソン島北部のイフガオ州で棚田保全を行うNGOや、環境に負荷をかけず住民がお互いに支え合うコミュニティ「エコビレッジ」づくりに取り組むNGO、ルソン島南部ラグナ州の森林保護区にて持続的な森林保全を研究・実施している団体などを訪問。環境教育や参加型の環境保全活動について学んだ参加者からは、「普段、日本でどんなに活動をしていても、実際に現場へ来てみないとわからないことがたくさんある。現地でのプロジェクトの実施体制などを知ることができてよかった」との声が聞かれました。
さまざまなNGOが多様なアプローチで環境問題に取り組んでいる中、今回の研修のようにNGO同士が互いに学び合うことは、環境保全分野の協力活動を促進するとともに、日本の国際協力全体の底上げにつながると期待されます。