地球温暖化の一因とされる炭素を多く貯留することでその進行を抑制し、また自然災害時には減災効果を発揮するなど、存在の大きさがあらためて認識されつつあるマングローブ林。フィリピンでは、オイスカは1980年代後半から試験的にマングローブの植林を行ってきました。以来、台風被害が多く報告されているネグロス島やレイテ島をはじめ各地で植林を実施、ルソン島の北カマリネス州においても、東京海上日動火災保険㈱の支援を得て2004年より「南ルソンマングローブ植林プロジェクト」を進めています。
同州の沿岸一帯は通常11月から翌年1月頃が雨季となりますが、台風は4月から12月にかけて襲来します。多発する時期には住民は生業である漁に出ることができず、中にはマングローブを伐採し炭にすることで生計を立てるといった状況も見られます。そういった地域の課題を解決するために、住民への環境教育とマングローブ林の再生を進めることが非常に重要になっています。
長年にわたる活動により、プロジェクト対象地域ではマングローブ林が台風の風雨から村を守り、また魚やカニなど海に生きる生物が増え住民の生計が向上するなど、成果が目に見えるかたちとなって表れてきました。一方で、植林を必要とする声はあるものの支援の手が届いていない地域が同州にも多く存在しています。現地のニーズに応えていけるよう、今後も活動を進めていきます。