スリランカでは、訪日研修生のOB(以下、OB)たちが中心となって、「子供の森」計画(以下、CFP)を主とした活動を展開しています。
2016年1月からの2年間は、トヨタ自動車㈱の「トヨタ環境活動助成プログラム」による「多様性豊かな『ふるさと』を守り育む苗床づくりと環境教育の推進」事業を実施。学校の自主的な活動を引き出すために、郷土樹種を中心とした苗床づくりの指導や、活動を牽引する存在となってもらえるよう、教師向けのセミナーにも力を入れました。
最初は消極的だった教師たちも、研修を重ねるごとに、子どもたちが生き生きと取り組む様子や、苗木が育ち緑化が進む様子を目の当たりにすることで積極性が見られるようになりました。 担当する教師が責任を持つことで、学校での苗木の管理や農業実習といった自主的な活動も広がっています。
また、現地でのファンドレイジングを目指し、支援組織「TOMO CLUB」を設立して活動を進めています。その一環として、17年12月、あるCFP参加校で、母親たちの協力を得てスープをつくり、学校前の国道で販売を試みました。子どもたちが大声で呼びかける姿に、近隣住民や観光客らが足を止め、 活動に共感した人たちからの寄附が集まりました。このように新たな手法で活動資金の調達や活動の普及に取り組んでいます。また、複数のOBが職員として勤務していることもあり、農業省との連携を深め、CFP参加校でのセミナーへの講師派遣といった協力も得ています。
こうした活動の拠点となっているのが、北西部クルネーガラ県ワリヤポラにある研修センターです(以下、センター)。もともとはコロンボに事務所を構えて活動を進めてきましたが、環境教育や農村開発の拠点としてセンターを建設したいとの情熱を持ったOBたちが、愛知県を中心とした会員の方々の支援を得て、07年に用地を購入。国内外から少しずつ資金を集めてセンター建設を続けてきました。
訪日研修生の送り出しを休止していた同国では、今後の活動を担う人材育成が急務となっており、研修施設としての最低限の機能が完成した17年1月、試験的に研修生の受け入れを開始しました。国立青少年施設審議会(National Youth Services Council)と連携し、同審議会の研修を終えた青年を半年間受け入れ、農業実習やCFP活動の補助などの研修を行っています。現在は2期生が研修中で、久しぶりに若い世代が集まったセンターは活気にあふれ、農場の整備も進んでいます。
半年間の研修を終え、オイスカの活動に対して意欲を持った研修生の中から1名が選抜され、18年度の研修生として来日することになりました。地域や現地政府との連携を強め、若いパワーが育ちつつあるスリランカの今後に、期待が寄せられています。