ミャンマーでは農業を中心とした研修と同時に、地域の開発に直結する活動も進めています。拠点であるDOA*-OISCA農林業研修センター（以下、センター）では研修修了者の自立支援を主な目的に農業・畜産を対象にローン事業を実施しており、ローン利用者は、センターのあるイエサジョ郡内48村1338名（2012年度）に広がっています。同国では資金を持たない農民が農作物を栽培する際、仲買人や民間業者から高金利のローンを利用する以外ほとんど選択肢がないのが現実です。一方、オイスカのローン事業は低金利に加え、農業の技術的な助言や指導を受けられ、生産性の向上を図ることができると好評を得ており、その返済率は100％となっています。
　また、センターでは食品加工施設を有していることから、近年ミャンマー国内のNGOなどから食品加工スタッフの出張指導要請が相次ぎ、13年度は年間100日間にも及ぶ出張が計画されています。各NGOの活動拠点近隣で、現地の食材を使ったパンやケーキなど付加価値の高い食品をつくる技術の指導・普及が行われています。
　開放政策が進む中、農村部の住民が労働力として都市に流れる傾向が出てきており、周辺国同様、都市部と農村部の格差がますます広がることが懸念されます。センターでは農村部を活性化させる活動を研修活動と並行して展開していくことで、同国のバランスのとれた発展に貢献していきたいと考えています。

※DOA：Department of Agriculture and Irrigation （農業灌漑省）