2021年6月30日

【国内ニュース】「海岸林再生プロジェクト」 試験地で本数調整伐138本を試験伐採 ほか

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     試験地で本数調整伐138本を試験伐採

    予想以上の重労働だった伐採木の運び出し

    今年度から第2次10ヵ年計画の活動がスタートした「海岸林再生プロジェクト」(宮城県名取市)では、コロナ禍でボランティアの受け入れが予定通りに開催できないなど、影響は受けているものの、宮城中央森林組合、松島森林総合、名取市海岸林再生の会のプロによる業務は、計画通り進んでいます。

    当プロジェクトでの取り組みと同様に、東日本大震災で被災した東北の海岸林再生の現場では、これまで行ってきた下刈りなどの管理作業に、本数調整伐が加わります。5月17日には、今秋から本格的に始まる予定の本数調整伐に向け、昨秋設定された試験地0・12haでプロチームによる138本の伐採が行われました。プロジェクトを担当してきた本部・啓発普及部の吉田俊通も作業に加わり、「どのように伐採を進めるかは、行政や専門家にとっても一つひとつが未知の世界。実際にやってみて、伐採木の林外への搬出の大変さなど、多くのことが分かった。オイスカの現場の本数調整伐は、東北で先陣を切って行われる。ここで得た知見をほかの現場でも役立ててもらえるよう、データの蓄積も行っていきたい」と話しました。昨秋に実施した樹高や胸高直径などの基礎データ計測と同様に、今年の秋にも伐採後初となる計測を行い、データ比較を行う予定です。なお、伐採したクロマツは、現状では産業廃棄物として処理し、最終的にはバーク堆肥として活用されることになっています。

    また、プロジェクトでは、オイスカ独自の成長モニタリング調査を29ヵ所で継続実施しているほか、7年間にわたり、林野庁による生物多様性調査の対象地となっており、数々の調査が行われている点で、ほかの海岸林再生の現場とは一線を画しています。さらには、森林総合研究所が行っている土壌根系調査については、この夏には論文化されるとともに、オイスカが持つクロマツ成長の基礎データを活かし、名古屋大学・東京都立大学も加わって調査が継続される予定です。地中レーダーや衛星画像も使った多角的かつ、広大な調査地として、南海トラフ対策など、将来の知見となることも期待されています。

    ※現在、1haあたり5千本が植えられているが、段階的に伐採を繰り返し、最終的には800本程度にする

    緑の募金クラファン 目標金額達成で漢方薬栽培開始!

    砂漠化を防ごうと立ち上がったホンガリ村の牧民たち。右端が冨樫

    国土緑化推進機構が進める「緑の募金」の取り組みとして、3月から5月にかけてクラウドファンディング「SDGs達成への使途限定募金」が実施され、オイスカも「内モンゴルの砂漠緑化と肺炎症状を緩和する漢方薬栽培」への支援を呼びかけて参画しました。内モンゴル・阿拉善のホンガリ村で砂漠化防止のための植林を10ha実施するのと併せ、新型コロナウイルス肺炎の症状緩和に効果があるとされる、漢方薬を育てるための採種園1haにおける栽培費用として、148万円を目標に設定。この活動が、SDGsの「目標3:全ての人に健康と福祉を」「目標13:気候変動に具体的な対策を」「目標15:陸の豊かさも守ろう」の3つの目標達成への貢献につながることをアピールして募金に取り組みました。

    同地を訪問したことがある方をはじめ、多くの会員・支援者の皆さんにご協力いただき、目標を上回る約180万円を達成することができました。プロジェクトの調整にあたっている海外事業部の長宏行調査研究担当部長は、 「ありがたいことに、本当に多くの会員の皆さんが募金をしてくださった。現地で活動する冨樫智オイスカ阿拉善砂漠生態研究研修センター所長も喜んでいる」と話し、協力者への感謝の意を述べました。

    今回の募金では、緑の募金からのマッチングで支援金が加算される仕組みになっており、合わせて320万円の資金でプロジェクトが開始できるよう、現地では活動の準備が進められています。

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