東日本大震災の発生とその長期復興支援活動である「海岸林再生プロジェクト」の立ち上げから7年目を迎えます。オイスカは従来通り「名取市海岸林再生の会」と連携し、2017年度はクロマツ苗15万本の生産と7万本の植栽を実施します。
14年にオイスカが国、宮城県、名取市と締結した森林整備協定の対象面積は約100haですが、生物多様性に配慮した植生エリア、作業道、防風垣、盛土法面などを除くと植栽可能面積は65ha前後となる見込みです。これまで約37haに植栽を終えていることから、17年度で75%に当たる約50haへの植栽が完了することとなります。これは東日本大震災におけるほかの被災地での海岸林再生事業と比べ格段に早い進捗状況であり、98%を超える活着率とあわせ行政や林業関係者から高い評価を受けています。また、4年連続で大阪マラソン寄附先団体に採択されるなどプロジェクトに追い風が吹いており、11年秋のプロジェクト公式発表から5年半で寄せられた支援は5億円に到達しました。
今後は3月中旬からクロマツの播種と植栽の準備のため育苗場は最繁忙期に突入し、4月下旬に播種・苗の出荷・植栽が並行してスタート。5月下旬には4回目となる植樹祭を地元名取市民、宮城県民約500名を対象に開催の予定です。全国からのボランティアの受け入れは、6〜9月を中心に前年度と同様の2千人を想定しています。この時期は、全長4㎞に及ぶ植栽地にクロマツの健全な成長を阻害するツル性の草やニセアカシアなどが繁茂します。これらを繰り返し駆除するためボランティアによる作業が欠かせません。プロジェクト担当部長の吉田俊通は「植栽後の保育にボランティアの力を借りて万全を期すことは、将来のクロマツの成長を促し、補植などの必要性がなくなり、将来のコストの削減にもつながる」としながら、「名取市の海岸林再生を確実なものとするために、引き続き〝一人でも多くの方から少しずつ〞協力いただき、残り5億円の募金目標を達成したい」と語っています。募金は、20年の植栽終了後も続く下草刈りや除伐といった、ボランティアの力だけでは及ばない作業の森林組合などへの委託や、将来にわたり海岸林を守り育んでいくための母体となる「名取市海岸林を守る会」の立ち上げと地域住民による活動継
続にも活用の予定です。
プロジェクトでは今後も育苗から植栽、育林までの一貫施業とそれに伴う雇用創出の継続を通じ、復興の一端を担っていきます。