2011年5月28日

「富士山の森づくり」 植栽最終年を盛況に終了 新たな展開の可能性も

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    快晴に恵まれ、富士山の山頂も間近に見えた
    快晴に恵まれ、富士山の山頂も間近に見えた

     2007年度から多くの企業、団体、行政、研究者などとともに取り組んできた「富士山の森づくり」は、今年度で予定していた植栽を終了しました。引き続き5年間は、オイスカや山梨県を含めた24の企業・団体で構成する「富士山の森づくり」推進協議会(以下、 協議会)で、苗木の生長を見守りながら、さらに多くの方に活動の意義や手法を広めていくための場所として活動を展開していきます。 

     今年の植栽は、まず5月28日にオルビス㈱と㈱ニコンの社員が参加して行われました。両社合わせて約150名が参加し、活動の区切りとなる植栽に汗を流しました。続いて6月4日には、オイスカの会員や支援企業、関係者が参加して植栽と、シカの食害を防ぐために、07年度に植栽した場所でシカ害対策ネットの取り付けを行いました。

     今年は、オイスカが海外で取り組んできた地域開発などで関係のある在日大使館からも大使を含む7ヵ国37名の参加があり、合計272名となりました。開会式では、植栽地を管理する山梨県・森林環境部技監の安富芳森氏が挨拶に立ち、山梨県の恩賜林がご下賜100周年にあたる節目の年に、本活動のような継続した取り組みがなされていることへの感謝の意が示されました。また、山梨県が所有する富士山を含めた県有林全域で取得しているFSC認証の説明もなされました。 国際森林年である今年は、山梨県内でFSCサミットも開催される予定です。 

     また、6月1日には「富士山の森づくり」の新たな活動として、地元山梨県甲運小学校の3年生を対象に環境教育を行いました。これは、昨年名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)でも同様の取り組みを行った㈱ニコンと協働で実施したもので、環境教育を専門とする講師の協力を得て行いました。カメラを1台ずつ持った子どもたちが植林地で講師から与えられたテーマのもとに、 生物のつながりを意識しながら自由に写真を撮影。その姿からは、 自然とのつながり、生物多様性を理解するきっかけとなったことがうかがえ、今後の植栽地を活用した取り組みのヒントを得ることができました。 

     植栽を終えた「富士山の森づくり」の取り組みは、植栽後の苗木の管理、環境教育の可能性の模索など活動の広がりを見せています。また、山梨県が行うFSCサミットへの協力などに見られるように、多様なセクターとの協働で作られたつながりから新たな取り組みが生まれるなど、今後もさまざまな展開が期待されます。

    *恩賜林
    明治末期、大水害が相次いだ山梨県に下賜された元御料林の通称。下賜された御料地は約16万4千haあり、県土の約3分の1を占める。

    *FSC認証
    FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)は、世界中の全ての森林を対象とし、環境保全の点から適切で、社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理を推進することを目的としている。このような森林管理がなされているかどうかを信頼できるシステムで評価し、適切な管理がなされている森林を認証する制度。

    順調に育つ植栽した木に新しいシカ害対策ネットを取り付ける
    順調に育つ植栽した木に新しいシカ害対策ネットを取り付ける

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