球春 ~県立名取北高校野球部~
3月23日、選抜高校野球は今日開幕。その日に楽しみにしていた若い衆。
県立名取北高校「野球部」27名と監督さん・部長先生・教頭先生。
「高野連からも地域活動に参加しようという勧めがあり、教務主任の先生に
相談してみたら、よくある活動と違い、しっくりくるものだった」と監督。
学校からの最短距離の閖上に作業場所を設定し、教頭先生と待っていると、
復旧工事が進む荒野の向こうに、乗車予定の市内巡回バス、それを追いかけ、
「蔵王おろし」に乗って爆走の自転車組。勢いがある。
閖上植栽地で集合。チームとしての動きのテンポもいい。
指示する前に自転車は横に倒して駐輪。風で倒されるのが分かっている。賢い。
「なにこれ?」「ひっでーな」
名取市民の森の前、大人が捨てていったグレープフルーツをまざまざと見る。
「海に来たのは2年ぶりです」と2年生。
今日も蔵王おろし。二つのカンプウ(寒風・乾風)。砂煙も雪も舞う。
「詳しいことは後回し。仕事場所はここから500m先。マツの間を歩いてきて。
枯れてるのを見つけたら抜いてみて。理由は後で。作業の目的に関係あるから」
最初は恐る恐る歩く。しばらくすると走りだす。
作業は、3月16日のボランティアの続きの溝切り。抜群の見本がある。
(最初だけは)恐る恐るスコップをふるう。「豪快に行こうぜ」と見本を見せる。
言いたいことが通じた。作業が大胆になった。
おっきな声でガンガン歌いだす。音楽もかける。完全に筋トレ。
「お前ら渋いな。ラインナップが俺らの世代」(Queenとか)
「昔から作業は歌いながら、楽しくやるんだ。手が動けばいい」と監督。同感。
「野球と同じだぞ。声かけあって、邪魔しないよう、効率的で安全な距離を
取って、溝のレベル・幅を見ながら、狭いところ、浅いところを攻めるんだよ」
元々コミュニケーション力がある。1年生は黙々と。2年生に引けを取らない出来。
チーム全体は、「休憩終わり」と言わなくても仕事を始める。
「月1回、チームで来たいんですけど、いいですか」(何回も言われました)
「甲子園に出てからね」「野球が優先」(何回も言いました)
彼らは午前中は練習、午後は移動と実質2時間みっちり。40m完成。見事な仕上がり。
恒例の「黄昏タイム」。蔵王おろしを背に、砂浜ダッシュ。走りながら一人脱いだ。
何人も脱いだ。男はやっぱこれだよね。寒くないね。
「地域のために何か役に立ちたい」と主将。
監督さんに言われて、嬉しかったこと。
「私、生物の教員なんです。説明を聞いていて、授業で使えることがたくさん」
活用を考えてみたいと。野球部発、生物の授業着。嬉しい偶然。
実現したら、教科での活用は9年目にして初。菌根菌、土クラゲ病の話もしました。
あの監督さんと一緒、生徒さんと一緒に考え、研究し、管理にも役立てたいです。
不法投棄とか、山火事防止(花火・BBQ禁止)などのアイデアが湧きました。
今年は、ボランティアの宮城県民率が増えることは確実。5割は超えるでしょう。
名取市区長会連合会や、東北随一の自動車整備学校からも、お申し出あり。
部員全員と握手して別れました。
都合がついたら、夏の予選、応援に行きたい。
JR名取駅写真展は、3月29日(金)午前中まで開催
JR名取駅東西ギャラリーでの8回目になる「写真展」に立ち寄りました。
展示物の準備は、本部の鈴木和代さんと、地元出身のイラストレーター
icoさんの力作。設置作業は、地元オイスカ会員の大槻さんが浅野さんと。
どう考えてもインパクトのある展示。
筆に気持ちが込められた手書きの文字、写真以外にもイラストがたくさん。
私は3回見に行きましたが、いつも足を止めてくれる人がいる。
先日、「木を植えるときにしか人が来ない」「市民に親しまれる方法が
浮かばない」というような会議での発言を聞きました。気持ちはわかります。
ですが、誠意を込めて努力を続けるしかないとあらためて思います。
展示は残り数日。29日(金)午後、いつものように大槻さんが
我々に代わって撤去してくださります。
月曜日もう一度、各方面に連絡しまくって、なんとか見てもらおう。
広報室の林です。
先日のボランティアの日、お昼ご飯を食べていたAさんの
おにぎりがファミリーマートのものだったのを見逃さなかった私。
すかさず「ベルマークがついているのでください!」と声をかけました。
オイスカではベルマークを回収し、海外の子どもたちの
森づくりを支援しています。年間100万点ほど集まります。
1点=1円ですから100万円!
コツコツ集めることが大事。
生茶にもついているため、生茶のペットボトルを持っている
ボランティアさんを見かけると声をかけさせてもらっています。
そんな私がこの日見つけたベルマークがもうひとつ。
それは、ゴミ拾い作業終了後。
それぞれが拾ってきたゴミを分別している際、
ありました! ファミリーマートのおにぎりのパッケージ。
わかりますか?
221円の左に半分破れかけのベルマークがついているのが。
2点ゲット!
コツコツこれからも集めていきます。
ベルマークを見つけたら
「ベルマークください!」と声をかけさせてもらいますので
ご協力ください!
広報室倉本です。
少し前のことになってしまいましたが、先日15~16日にかけて、久しぶり(国際協力ボランティアで来て以来半年以上ぶり)に名取の現場を訪れました。
それでもまだまだ記憶に新しく、名取駅に着いた時もむしろ、帰ってきたなあ…!という気持ちになりました。そしてさらに、駅でまず目についたのは、連絡通路で開催中の海岸林再生プロジェクトの写真展。本部事務所ですでに一部見ていましたが、展示されている様子を見ると、迫力あります!

反射で見づらいですが、一面にドーンと海岸林コーナーが広がっています
↓特にこの手形のマツ!↓
このブログでも度々この写真展について紹介がありましたが、みなさまはもうご覧になりましたでしょうか?展示は今月29日(あと数日!!)まで行われていますので、お近くにお越しの際はぜひご覧ください!
そして翌16日朝。少し風はあるものの比較的暖かく過ごしやすい気候の中、今年初のボランティアの日がスタートしました。

念入りにストレッチしてから、いざ溝切へ!
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緑化技術参事の清藤城宏です。
日本には森林学会があり、100年以上の歴史を持ち、2500人以上の森林に関わる会員で
構成されています。毎年3月末には、森林に関係する学部のある大学が持ち回りで森林に
関わる、造林、経営、遺伝、生態、立地動物、防災、利用などの研究発表の大会が
行われています。今年は3月20日~22日までの3日間、森林総研や新潟大学の運営で
130回目の大会が開かれました。
私もかつて10年ほど前に「富士山の森づくり」プロジェクトにおける植栽木の生育に
関する共同発表をおこなったことがありますが、恐らくオイスカとしては森林学会発表
2例目でしょう。今回は企画シンポジウムに、森林総合研究所の招待を受けての発表。
このセッションは、津波に対する減災を目的とした「多重防御」の一躍を担う海岸防災林
造成のための生育基盤盛土の現状と課題のテーマのもと、下記の5題の発表者の一人として
海岸林担当部長の吉田さんが発表したものです。
クロマツは深根性の樹種であるが海岸林の地下水位が高いがゆえに根が深く張れず、
津波で倒れた反省から、皆さんご存じの通り3m高の盛土基盤整備をおこない、
そこに植栽していますが、その盛土が締め固まり植栽後の生育、健全な根の成長の確保に
対して影響が与えているであろうことが懸念されています。
話の中心は土の堅さと根の発達ですが、林野庁東北森林管理局の市川さんは、土壌堅度のみ
重視している「常識」の中で、土壌中の滞水について問題提起したことは痛快でした。
吉田さんは我々の事業の現状を述べ、2014年植栽来の場所による生長の違い、また根に
ついても触れ、とくに滞水を問題視し、ボランティアによる排水路作りによる成長阻害回避に
ついて述べました。土壌が柔らか過ぎる場所の稚樹は、風雨があると倒伏しやすいことも。
実際の復興現場でおこなわれていることをオイスカが話題提供したことは、
研究者たちへ大いに刺激を与えたようです。
実はココだけの話ですが、新潟に向かう新幹線の中で吉田さんが用意した発表PPTを見せて
くれました。ところが誤操作で突然消えてしまい、復元に手間取り、結局数枚のみ復活、
後は削除状態という悲しい事件がありました。最新のデータとはいかなかったものの、
なんとか繋ぎ合わせてギリギリ発表に間に合わせた次第。そんなハプニングがありました。
皆さま、データはこまめにバックアップを録りましょう。
【観察日記】あれれ??
随分とあたたかくなりましたね。
海岸林担当の鈴木です。
あれれ?
もうないはずの苗がまだここに・・・!?
先週の月曜日から木曜日までお休みをいただいていたのですが、その間に苗木たちは吉田の運転の車に揺られて名取に行っているはずでした。
が、金曜日に出勤したときにはまだありました(^^;)
車に積み忘れて行ってしまったのだそうです。
東京育ちの苗木たちにとっては名取はまだ寒いので、もう少し暖かくなってから連れて行って欲しいのかな?
1年生苗たちがお兄さんお姉さんたちに行って欲しくなくて引き留めたのかな?
きちんと見送りしてもらわないと行きたくないのかな?
クロマツたちの何等かの意図が働いたのかも!?
そんな妄想をしてしまいます。
今日の東京は気温20度を超えるようです。
このあたたかさで頂芽が伸びたくてウズウズしてるかな?
と思い、見に行ってみましたが、昨日と変わりませんでした(^-^;
もうしばらく2年生苗たちの成長を楽しめそうです♪
国ボラ海岸林体験記 その③

蔵王がよく見えます
皆さまこんにちは。国際協力ボランティアの加賀瀬です。
3/15(金)に準備を行って、いよいよ3/16(土)は、今年第1回目の海岸林再生プロジェクトのボランティア活動日です。
長期予報では雨が心配されていたのですが、予報は日に日に雨→曇りと良くなっていき、蓋を開けてみれば青空の広がる天気になりました!きっと日頃の行いが良いんですね(笑)
当日は約30名のボランティアの方が集まりました。
参加者の年齢の幅が広く(最年少は中学校を卒業したばかり)、関東方面からもたくさん参加いただいていて、すごいな、と思いました。
この活動には、それだけ色々な人を引き付ける何かがあるんですね。

今回の活動は、主に植林地の溝切りとゴミ拾いです。
乾燥を好むクロマツにとって、水は大敵です。しかし、場所によっては水はけが悪く、水が溜まってしまっている場所もあるのです。
そういう場所では、溝を掘って水が流れるようにしていきます。

溜まっている水を流します。ボランティアの皆さんからは歓声が!
シャベルやツルハシで地面を掘って溝を作る作業は、なかなかハードな肉体労働なのですが、30人超のメンバーで取り組むと早いこと早いこと。みんなで力を合わせて作業することの大切さがよくわかります。
ゴミ拾いも、びっくりするくらいたくさんの量を拾いました。
タバコの吸い殻がいっぱい詰まった空き缶とか、発泡スチロールのトロ箱とか、大量のグレープフルーツの皮とか・・・
残念なことですが、こうして地道な努力を続けていくしかありませんね。

みんなで掘れば早い!

水が流れると、大人でも大興奮です(笑)
相変わらず風は冷たかったですが、しっかり身体を動かして作業をしたので、日が出ていると暑いくらいです。
リピーターの方も多くて、作業はスムーズに進み、溜まっていた水をかなり排水することができました。
達成感と、心地よい疲れとともに、夜のお酒も進んじゃいました(笑)
今回、初めて名取の海岸林再生プロジェクトに参加して、そのスケールの大きさ、活動の意義や、参加する人々の思いなどを肌で感じることができました。
この先、何10年もかけて育てていく海岸林。多くの人が関わりながらプロジェクトが続いていくといいな、と思います。
国ボラ海岸林体験記 その②
皆さま、こんにちは。国際協力ボランティアの加賀瀬です。
第2回目は、3/14(木)。いよいよ名取の海岸林再生の現場に入ります。
午前中は、仙台森林管理署と仙台市の自動車学校を訪問。
詳細は省きますが、印象に残ったことをいくつか記しておきたいと思います。
「Eco-DRRって、保安林だよね」
Eco-DRRとはEcosystem-based Disaster Risk Reductionの略で、「生態系を活用した防災・減災」と訳されています。
近年注目されている考え方ですが、すでに日本では明治時代から、自然災害からの防備・水源の涵養・海の生態系の保護などを目的とした「保安林」という考え方があったということです。
保安林もまた、より古い時代から経験的に知られてきた「森林を守ることの大切さ」を制度化したものであり、「昔からの知恵」というものは、いつの時代にも繰り返し注目されるものなのだなと感じました。
自動車学校では、整備士課程で学ぶ学生たちに海岸林ボランティアの経験をさせたいという、ありがたいお話をいただきました。
宮城県だけでなく東北各県の若者100名が近々、海岸林の整備に来てくれるようです。楽しみですね。
午後からは、ついに名取市の海岸線再生プロジェクトの現場に足を踏み入れました。
想像以上の広さ!
行けども行けども、クロマツの若木たち。
まだまだ冷たい風が吹く中、青々と葉っぱを茂らせていました。
動物たちも海岸林を生活の場としており、約30種類の鳥類や、キツネ・タヌキ・ネズミなどの哺乳類がいるそうです。
この日は、ツグミとヒバリをたくさん見かけました。
上空に飛び上がってさえずるヒバリの歌を聞くと、春の訪れを感じますね。

仙台空港に着陸する飛行機が見えます
この日はとても風が強くて、寒かったのですが、クロマツの若木がどこまでも広がる海岸林の壮大な光景と開放感から、2時間近くかけて現場を歩き回りました。
マツが小さい場所では踏まないように気を付けて。
マツが私の背丈を超えるほどに大きく育っている場所では、掻き分けるように進みます。

防潮堤にも登りました
3/16(土)の、今年第1回目のボランティア活動日に向けて、現場の下調べは万全です!
国ボラ海岸林体験記 その①
皆さまはじめまして。加賀瀬と申します。
昨年10月より、国際協力ボランティアとしてオイスカの活動に参加しています。
3/13(水)~17(日)に、初めて名取市の海岸林再生プロジェクトの現場に行ってきました。
その時に見聞きしたものや感じたことを、このブログで皆さまにお伝えできればと思っています。
どうぞお付き合いください。
1回目は、3/13(水)。東京を出発して、福島を経由して、宮城に入ります。
1年間のオイスカ西日本研修センターでの研修を終えた研修生たちが、それぞれの母国に帰るのを見送ったのも束の間。
「明日から名取だから、予習しておいてね~」ということで、まずは資料の読み込みからです。
思い返せば、海岸林再生プロジェクトについては、昨年10月の初め、国際協力ボランティアのオリエンテーションで説明してもらったきり。
海岸林とは何か?何のために必要なのか?オイスカは名取で何をしているのか?といったことを、しっかりと予習・復習しておきます。
東京を発ち、常磐自動車道を北上して、東北を目指します。
途中で高速道路を降りて、福島の浜通り、国道6号線を通ります。
2年前にも車で走った道ですが、かつて電力業界にいた身として、ここを通ると胸が痛みます。
2011年の震災・原子力災害の当事者ではなかったものの、あの影響は非常に大きかったことを思い出します。
私自身が災害ボランティアに行くことはなかったのですが、会社からは電力復旧の応援のために、多くの社員が派遣されました。彼らの東北応援の報告会で、現地の状況を写真と共に伝えられ、本当に強い衝撃を受けました。
さらに北上したところで6号線を離れ、さらに海岸線寄りに進みます。
そこで同行の吉田さんが発見したのが、マツの巨木。「泉の一葉マツ」と呼ばれる、樹齢400年を超えるクロマツの大木で、県の天然記念物にも指定されています。
あの津波にも耐え、今もここ南相馬でしっかりと立っています。
海岸の若木たちの大先輩ですね。
他所の海岸林再生の現場も見学しながら、海岸沿いの道を進みます。
印象に残ったのは、広大な面積に設置された太陽光発電パネル。
そして、風力発電の風車です。
この後、宮城県内に入り、一泊。
次回は、いよいよ海岸林再生プロジェクトの現場へと向かいます。