ボランティア10,000人と安全

2019年6月17日( カテゴリー: 現場レポート )

じつは、6月14日の化学総連と全積水化学労連98人の中に、
いつのまにか、2013年に開始した公募ボランティア10,000人目の方がいました。
では、ボランティア一人目は誰?というと、公募前に遡り、
2011年津波直後からプロジェクト立案に向けた情報収集を
無償でしてくれた、プロ中のプロ、佐々木勝義さんです。

化学総連&全積水化学労連98名に指導する佐々木さん

化学総連&全積水化学労連98名に指導する佐々木さん


「クロマツ苗木生産の資格を持ち、経験実力があるのは何人?」
「林業種苗法とは我々にとってどういうこと?」
たくさんの「一級情報」を私に授けてくれました。
5月24日の初陸上調査隊はもちろん、プロジェクト案件形成一切に関わってくれました。
2012年は、ボランティア受入の試験的実施を、何度か育苗場で行っています。
2013年は、育苗場の除草作業のみ。はぐれ白鳥が近寄ってきて、女性のお尻を突っついた。
2014年は、植栽地16haの下刈をボランティアのみ、プロ抜きで完了出来ました。
2015年は、植栽地が27haになり、プロとボランティア併用の下刈を始めました。
2016年は、県立名取北高校の生徒が、初めて来てくれました。宮城県民率も4割に。
2017年は、リピーターで普通救命講習受講。20歳前後の若い宮城県民が増加。
2018年は、年間ボランティア約2,300人。
育苗場に一匹でよく来た、はぐれ白鳥

育苗場に一匹でよく来た、はぐれ白鳥


昨日、98人と別れたあと、佐々木勝義さんに言われました。
「10,000人も安全に受け入れ続けていることを労働監督署が知ったら、絶対に表彰される」
涙が出そうになるほど、たぶん忘れられない一言となりました。表彰されなくていいですが。
名取事務所の佐々木廣一統括も、安全に対する釘を刺し続けてくれています。
勤めていた神奈川の林業会社、サトウ草木の佐藤社長は、雨の日を出勤扱いにして
実践的「安全衛生講習」をしてくれたことを思い出し、ちょっと寝れなくなりました。
名取に来るプロも、ケガも事故もしていません。
ボランティアリピーター育成を重視する戦略を立て、2012年から受け入れをはじめ、
リピート率4割に達しているいま、リピーターが円滑な運営のみならず、
全体の安全にも目を配ってくれていることにも感謝しています。
重視する理由は「安全配慮義務」の一環なのです。
それにしても、こんなに大勢来ていただけるなどとは、まったく考えていませんでした。
私たちにとってはうれしい日でした。プレスリリースとか、記念品とか一応考えました。
この中で私が一人だけ選んでいいなら、この人と思う人もいます。
ですが敢えて、そういうパフォーマンスはすべて止めました。
まだ道半ば。単なる通過点ですし。
こうやって、無事にみんなで終われるように頑張ります

こうやって、無事にみんなで終われるように頑張ります

6月14日、化学総連&全積水化学労組連合会の計98名が、
例年通り来てくれました。
次の日は雨。男性が多い。リピーター多数。
草刈りか?溝切りか?どちらを先にするかと言えば、答えは簡単。
2018年植栽からまだ1年、決して強くない苗木を、一刻も早く多湿から解放したい。
「名取の海岸林では、降った雨の8割を、即、根元の外に排水する」これが我々の目標です。
3月以降のボランティア450名の手を借りてきた、2018年植栽地の多湿地約4haの溝切りに。
このうち我々の力で解決できるのは約2ha。残る2haはサイクリング道で囲まれていて
手出しが出来ません。

右側が頑張れば必ず改善できる多湿中の多湿0.6ha。撮影:植付直後の2018年5月

右側が頑張れば必ず改善できる多湿中の多湿0.6ha。撮影:植付直後の2018年5月


「今日は、1stステージが終わるとイイなぁ」と思っていました。
1stとは手出しができる2haのうち0.6haの最多湿ゾーン。
サイクリング道からも水が流れてくる低い場所。
排水先から見ると最上流。「遊水池」から最長500mほど距離があり、排水は難儀。
去年は大雨になると池になり、水鳥がマツの横を泳ぎ、土壌及び根系調査をする
研究者の方は、50㎝穴を試掘しただけで水が湧いて唖然としていました。
濃い水色:最多湿地、水色:多湿地、黄色:遊水池、赤線:3月から550名の成果

濃い水色:最多湿地、水色:多湿地、黄色:遊水池、赤線:3月から550名の成果


完成予想図 今年中の完成を目指します!ほかにも、まだたくさんあるので(笑)

完成予想図 今年中の完成を目指します!ほかにも、まだたくさんあるので(笑)


8班に分かれ、長さ10m~40mのLサイズ「枝溝」を、怒涛のように合計18本(補修を除く)。
少なくとも1,200本以上のクロマツに、直接的環境改善したことになります。
帰るときには、「これ以上無理」という姿、申し訳ないと思うぐらいの表情でした。
黄ビブス:化学総連17労組、青ビブス:全積連のみなさん

黄ビブス:化学総連17労組、青ビブス:全積連のみなさん


3月からのボランティアによる溝切りは、我々にとって当然一連の流れ。
バトンリレーのようなものです。遊水地への応急処置的水路は完成済み。
全体改善は、少なくとも10月までかかるとは思いますが、
今夜の雨で早速、ガンガン水が流れる事でしょう。
懇親会に招いていただきました。
ジンギスカンとビールの飲み放題・食べ放題で、皆さん、別人のよう。
予定通り、さっきと同じ人たち?という感じで。
私もホッとしました。皆さん、本当にありがとうございました!

広報室の林です。
先日、九州のオイスカの会員さんたちがボランティアにきてくださいました。
80歳越えの方もいらっしゃる、シニアメインのグループです。
もう4回目!とおっしゃる方も……。シニアといっても本当にお元気。
特に女性たちは本当にお元気。
雨が降る寒い中、作業に取り組んでいただきました。

全国の会員さんが来られるとき、お世話してくださるのがIさん。
宮城県にお住いのため、いつもボランティアに参加してくださり、
会員さんたちのお世話もあれこれしてくださいます。

左がIさん。溝切りもプロ級の腕前!

左がIさん。溝切りもプロ級の腕前!

福岡県の筑後市から参加された方は、ANAのメンバーの中に
筑後市出身者がいることを知り、大喜び。こんなところでね~と。

その元気なお姉さんたち。
最後に防潮堤の上で撮影をしたのですが、足腰がつらくて
防潮堤に上るのが大変という数名もちゃんと隅に載せてねと。
はい、下にいたお姉さんたちも載せましたよ。
CIMG5008
企画してくださったKさんが「来年は宮城じゃなくて、富士山のボランティアに
行くことにするかも……」と話しているのを聞いた何名かは
「個人でも参加するから。Iさんも手伝ってくれるしね」と。

皆さん毎年ありがとうございます。
来年もお待ちしています!

ボランティアに何度か来ていただいている皆さんにはおなじみの
ツルマメ。とうとう今年も繁茂してきました!

栽培しているのかと思うほど、一面ツルマメエリアになっているところも。
目が慣れている人は小さな時に出もすぐ発見してくれますが、
慣れていない方はほかの雑草の中から見つけるのが難しい様子。

これからボランティアに来られる皆さん、
この葉っぱ、ぜひ覚えておいてくださいね!!
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広報室の林です。

ボランティアの前日、活動地を下見している際、
茶色い毛の何者かが死んでいるのを発見!

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死骸を撮影する吉田

色を見てタヌキ?とも思いましたが、
実はこの現場、キツネの巣穴のすぐ近く。
サイズからすると子ギツネではないかと。

翌日、ボランティアさんたちが「ぎゃあ~~~~!」となっては
いけないので、埋めてあげることにしました。

浅野がお墓用の穴を掘っているすぐ下にも巣穴が見えます。
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お花を手向けます。
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恐らく巣穴から出てくるところを猛禽類か何かが
狙っていたのではないかと……。

しかしここで新疑惑。
手前にある巣穴を覗き、キツネを狙う浅野の姿が!
CIMG4882
ああ、あの子ギツネ、浅野にやられちゃったんだ……。

カラスの獲物を横取りする吉田に、子ギツネを狙う浅野。
浅野はツルマメの種子をまいているのではないかという疑惑も持たれています。

どうでもいい話ですが、子どもの頃に飼っていたうさぎが死んだ日、
家に帰るとすでに埋められていたので私はその姿を見ていなかったのですが
「今日は満月だから、うさぎは月に帰ったんだよ」という祖母の言葉を
翌日学校で話すと「そっか、うさぎ食っちまったのばあさんか……」と
友だちにいわれたのを思い出しました。

あらぬ疑いは、どこで降りかかってくるか分かりませんね。

広報室の林です。

いつもは土曜日のボランティアの日だけ現場に入る私ですが、
今回は翌日の動きが複雑になりそうなこともあり、前日入り。

金曜日の朝からの現場の様子を見ることができました。

少し雨が降っていたため天気の回復を待ち、
お茶を飲みながら打ち合わせをする皆さん。
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前の週に来ていたスリランカの「子供の森」計画子ども親善大使
持ってきたお菓子を皆さんにご賞味いただきました!

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↑こんなふうに何が書いてあるのかよく分からないパッケージ。
どんな味なのかもわからないため、甘いもの大好き千葉くんに
まずは食べてもらい、皆さんはその反応を見てから。

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おいしいと嬉しそうに食べる千葉君を見て、食べてみたベテランさん。
「五家宝をもっと甘くしたみたい」と悪くなさそうな反応。
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チョコレートがおいしいと2つ目を食べようとしていた千葉君の前に
みなさん自分のゴミを集め、彼が一人でいっぱい食べたかのような
絵面をつくろうとしているところをパチリ。

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あんまりにもおいしそうに食べるから、
「CMに使ってもらえるんじゃないか」と撮影したのがコチラ。
いい笑顔!!

CIMG4850

しっかりエネルギー補給をした皆さん、
プロジェクトの北端あたりから下刈り。

お見事!
CIMG4894

ちょっと気になったのが、何人かの足元。
緑色のスプレーをかけたかのよう。

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聞いてみるとナイロンコード(左)を使うとこうなってしまうのだそう。
右が普段私がよく目にしているもの。

CIMG4891CIMG4893

休憩時間も仮払い器のメンテナンスについて
あれこれ意見交換をするみなさん。

右の男性がエプロンのようなものを付けているのは、
この緑の粉が作業着につくのを防ぐためなのだそう。
作業を終え、車に乗る前には、洗車用のブラシで
草の粉を払っている姿も見かけました。
大変だなぁ……

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午前中の作業を終えて撤収していく皆さん。
カッコイイ!
CIMG4903
ボランティアさんによる作業とこうしたプロによる作業で
海岸林のクロマツたちはすくすくと成長していくのです!

皆さんいつもおつかれさまです!

ケガにご注意!

2019年6月10日( カテゴリー: 現場レポート )

こんにちは、浅野です。
植栽地に来たことのある方なら見たことのあるこれ。
CIMG4869
風よけのためのハードルフェンス。
前もブログに書きましたが、植栽当初からあるものは傷みが進んでいます。
なので、見学中や休憩中に乗るときは気を付けて登ってくださいね!
見た目で分からない時は…
D
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こんな感じで思いっきり蹴って確認するのもいいかもしれません。
ストレス発散にもなりそうですよ!
ただ、劣化が進んでいるものについては思ったよりもバキッ!といきやすいので
その際にケガだけはしないように気を付けてくださいね。

松ぼっくりの不思議

2019年6月9日( カテゴリー: 現場レポート )

こんにちは、浅野です
この前、植栽地を歩ていたら松ぼっくりを見つけました。
マツ林ですから松ぼっくりが落ちているのは当たり前なのですが…。
今回見つけたのはこれ。
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松ぼっくりは開いている印象が強いと思います。
中には「なんのために開くんだろう?」「どうやって開くんだろう?」と
疑問に思った方もいるかもしれません。
調べてみると、
【松ぼっくりは、湿度によって開閉する】
ということが分かりました。
湿気が多いと松ぼっくりの「かさ」は閉じ、湿度が低ければ開く。
松ぼっくりは、【種】を1番いいタイミングで飛ばす仕組みをちゃんと備えているようです。
湿気を含んで重くなった種は遠くには飛びませんし、雨にも流されてしまいます。
松ぼっくりは種を遠くに飛ばせる湿気のない時にだけ、「かさ」を開きます。
太陽が照って湿度が下がり、「かさ」が開きはじめると、
間に挟まれていた羽のついた松の種子が外に顔を出し、風に乗って羽根は舞い地面にヒラヒラと落ちていく。
これが天気のいい、湿度の低い、1番いいタイミングで起こるようです。
自然の仕組みはすごいですね。

6月8日はボランティアの日。
前日に天気予報を見ていると「東北南部 梅雨入り」の文字。
まだ九州北部・四国・中国・近畿は梅雨入りしていないのに…。
雨雲レーダーを見ると夜中から明け方にかけて土砂降り。
次の日も雨はしとしとと降り続いていましたが、続々集まる参加者の皆さん。
カッパに長靴という完全装備で約90名のボランティアの皆さんが集まりました。
この日の作業はつぼ刈りと溝切の予定でしたが、
雨で足元がぐちゃぐちゃだったことと、ツルマメが結構出てきていたため、
つぼ刈りとツルマメの抜き取りとなりました。

皆さん、手にツルマメを握っています

皆さん、手にツルマメを握っています


完全にマツが隠れているところもあります

完全にマツが隠れているところもあります


もう1つ珍しい作業は雑草の抜き取り。
まだ名前がわからないので、分かったら報告しますが
今年はこの雑草が繁茂していて森林組合の方たちと相談した結果、
ボランティアの手でできる限り抜き取ることが決まったのです。
根がしっかり張っていたため、抜くのは大変でしたが皆さんに頑張っていただきました。
抜き取り後

抜き取り後


抜き取り中

抜き取り中


今回は1日で約2haのお世話をしていただきました。
次回のボランティアは6月14日、化学総連・全積連の皆さんが来てくれます。
その後に京セラ労組、凸版印刷労組、バイエルクロップサイエンス㈱、ボランティアの日と続き、
今月だけで約300名のボランティアが全国から来てくれる予定です。
皆さん、よろしくお願いします!

広報室倉本です。
 
昨年に続き、6月3日~5日、パプアニューギニアとスリランカから「子供の森」計画の子供親善大使(各国それぞれ子ども2名、通訳・引率大人2名の計8名)が宮城県を訪問しました。
特に3日には、メイプル館にて震災当時の名取市の様子を映像で学んだ後、海岸林再生プロジェクトの苗場や現場を視察。
苗場では、苗が再生の会によってどのように育てられ、生長していくかについて説明を受け、子どもたちは苗に触れたり、コンテナを持ち上げてみたりなどしながら説明に耳を傾けていました。
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その後現場では、メイプル館で見た震災時の映像を思い出しつつ、大きく生長したマツが、防風、防潮、防砂、また防災など面などにおいて、どのような役割を果たすかなどについて学びました。
DSCN6254DSCN6248
通訳・引率で訪れたパプアニューギニアのオイスカスタッフ、パトリックさん、ディーさんから、海岸防災林の考え方やマングローブとの違い、なぜクロマツか?という点などについても質問が出る中、子どもたちの関心が高かったのは、やはり植栽地上空を飛び交う飛行機。
DSCN6260
IBEXさん(5日に訪問させていただきました)の飛行機を見つけて、大きく手を振りつつ意識はすっかり空へ。嬉しそうに仙台空港へ降りていく飛行機を見送っていました。
DSCN6281そして、締めはやっぱり海。離岸流が発生するため、震災以前から遊泳が禁止されていたという説明を聞き、スリランカの引率で来日したオイスカランカの事務局長コーンさんからは「確かに波がちょっと荒いですね」という感想も聞かれる中、子どもたちやその他大人たちも大はしゃぎ。走り回ったり、海辺に友達の名前を書いたり、ウミガメの骨を見つけてはしげしげと眺めたりしていました。
 
子どもたちにとってこれらの体験は楽しいものだったかと思いますが、環境や防災への取り組みという視点から、震災時の映像、マツの特徴、植栽地、海の様子など一つひとつの学びを繋げて考えられるようになった時、どんな感想を持つのだろうととても楽しみです。特に今回の最年少は6歳(スリランカのサユミさん)とすぐに理解するのは難しいところもあるかと思いますが、帰国して、家族や友達に体験を話す中で、彼・彼女たちの中で何か発見が持てるのではないかと思います。
 
 

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