アドバイザーの小林です。
名取の海岸では12日から今年も春の植栽が始まりました。
一番南の、かつて北釜集落があったあたりの1.57ha、7,850本の苗を16日までの5日間に数人の職人さんたちが
植えていきます。予定地は思ったより広い印象でしたが、一年に15haの植えつけをやっていたことを考えれば
ほんのわずか。秋に2.2haを植えれば、名取の海岸林の植えつけは終わり、ということになります。
今回の植栽地は、もともと松林だったわけではなく、震災前には乗馬クラブや住宅があった場所が含まれています。
つまり、ちゃんと成長すれば震災前より海岸林は大きくなり、その分防災機能も強まることが期待されているわけです。
植栽初日朝の例年の光景ですが、現場責任者の佐々木廣一統括が、集まった職人さんたちに植栽の技術的な
ポイントをはじめ、マツの性質や現場の気象条件などを詳しく説明します。
毎年口を酸っぱくして強調するのが作業中の事故防止のための心得。
佐々木統括は最近、宮城県警や仙台地検の求めに応じて林業中の事故の責任の所在などについての考え方を
アドバイスをしたそうです。今回はコロナ対策を含め、長い時間をかけて職人さんたちの頭に事故防止に
必要なあれこれをたたき込んでいきました。
一方で、育苗場では名取市海岸林再生の会のメンバー5人が苗木の出荷に追われていました。これも毎年の光景。
コンテナポットから苗を引き抜き、よほど育ちの悪いものはよけて20本ずつ袋につめていきます。
今年の苗は、去年夏のちょっとした手入れの加減で伸びすぎてしまい、根鉢がもろいものがあるということでした。
植栽現場では、佐々木統括が見本を見せた後、作業が始まりました。ことしは職人7人のうち3人が新人。
みなプロとして木を植えるのは今回がはじめてだそうで、鍬のふるい方がおかしい、穴が浅すぎる、深すぎる、
植えたマツの列が曲がっている……さまざまな叱正を受けながら、縦横1.4m間隔で苗を植えました。おさらいですが、
この間隔で正方形のように植えていけば、1haあたり5000本になります。(100÷x)²=5000 X=√2
ざっと1.4mというわけです。他の地域の海岸林には、縦横2mと1mの長方形のように植えているところもあります。
これでも1ha5000本です。
植え方が、活着するかどうかだけでなく、今後の成長や木の強さにもかかわっていくからこそ、
プロの技術が必要です。マツとともに、新人さんたちも成長していくということでしょう。
はじめて若い女性が一人いたのは時代でしょうか。
現場の盛土工事は昨年行われたばかりで、砂も均質、造成当初はふわふわした感じだったのですが、
もう、場所によっては足跡もつかないくらいに固くなっていました。
「見た目より固い!」「雨降って地固まる、だね」「まるで日干しレンガだ」。そんな声も飛び交っていました。
さまざまな土質に対応しながら、効率よく作業を進める技術もプロには求められます。
みなさんの生活圏で普段目にするマツがあると、この時期、先から薄茶色の芽(頂芽)が空に向かって
伸びているのが分かると思います。盛夏には成長が止まるクロマツにとっては、今まさに成長の真っただ中。
海岸でも、ボランティアの人たちが格闘したツルマメクサなどマツの成長を妨げる草は目につかず、
むしろマツの勢いが印象的でした。
もう一つ、現場の大きな変化は秋に再建されてオープンするサイクルスポーツセンターでしょうか。
ことしの植栽地とは反対に、海岸の一番北側、閖上地区で工事が着々進んでいます。
吉田部長のブログにもありましたが、サイクリングロードの舗装は終わり、柵も完成していました。温泉があって
宿泊もできるメーンの建物も外観を現しました。フットサルコート、バスケットコート、スケートボード場もあります。
震災前にはプールがあったのですが、これまた時代なのでしょうか。
ico.さんのフリーペーパー
こんにちは
鈴木です。
今日は夏を思い出させるような暑い日です。
そういえば夏ってこんなに暑かったんだよな・・・と、秋を迎え、冬を越す間に夏のうだるような暑さを忘れてしまっているのです。
プロジェクトのパンフレットやチラシなどのイラストを手掛けていただいているico.さんと、先日やり取りしていたところ、
「暇つぶしにフリーペーパーを作っています」
ということでした。
完成したら送りますねと言っていただいたので、楽しみに待っていたところ、
数日前に、届きました!
ico.さんは、「molico」というプロジェクトを支援くださるオンラインチャリティショップを運営してくださっています。売上の50%をご支援くださるので、運営することで赤字になってしまわないか心配になるほど。
新商品が出た!夏用のTシャツ!!
ずっと愛用している一筆箋がそろそろなくなってしまうなぁと思っていたところです
(隣の席の浅野と一緒に、Tシャツと一筆箋を早速購入しました!)
「molico」のページはこちら
フリーペーパーの内容は「molico」だけではありませんでした。
なんとなんと!!
「東日本台風記」4コマ漫画ががおまけに付いていました。
吸い込まれるように読み入ってしまいました。
ico.さんは東日本大震災の津波で家を流され、去年10月の台風19号の濁流で浸水し、家の中の物ほとんどが流され、2度もほぼすべてを失った経験をお持ちです。
被災の話は、文章にすると重いので・・・とおっしゃるように、マンガであればとっつきやすくはなります。
とはいえ、日本全国どこでどのような自然災害が起こるかわからない状況なので、被災経験を共有していただくことはとてもありがたく、大切なことです。
子ども達も読み、「台風・・・大変なことだね・・・」と感想ひと言。でも、台風が、自分の身に迫る危険と隣り合わせであることを少しは感じたのではないかと思います。
StayHome週間中は私は趣味の洋裁を楽しみ、これは完全に自己完結なのですが、
ico.さんのように、何かを表現して多くの人に目や心にに留まる物をつくる時間の使い方もあるのか・・・と思い、フリーペーパーを私の手元で止めてしまわないように、こうしてブログを書くことにしました(*^-^*)
外出自粛が続きますが、今だからできること、今だから楽しめることを見つけていこうと思います。
急遽、今日15:30頃~ラジオ関西に電話出演
震災以来、何度出演させていただいているか、15回は下らないと思うんですが。11年も続いたという「時間です!林編集長」で長くお世話になってまいりました。
今回の番組名は「Push」。
15:30~10分ほど つながる神戸から(火・不定期):日本各地の防災の情報や災害復興支援の情報をご紹介する、災害支援や防災・減災について考えていくコーナーで、以前に引き続き林真一郎さんとのトークです。
「コロナウイルスの中、ボランティアが足を運べない中、どういう体制で仕事しているのか?」
という点を軸に、当プロジェクト立ち上げの時に考えた「4つの最悪のケース」とか、「分業」「チーム」など話してみようかと。じつは、今日から植栽が始まっています。放送時間の頃は、宮城中央森林組合のみんなは、「あと30分で終わり!」とテンションが上がっているころでしょう。ですが、私は東京で在宅勤務。植栽に立ち会えないのは初めてです。海岸林のすべての仕事においてどの仕事でも、私が欠けたら止まってしまうというのは、とうの昔に卒業しています。
兵庫県外でも「radiko」で聞くことも出来ます。1週間ほど。よかったら試してみてください。
【観察日記】場所取り
海岸林担当の鈴木です。
暑くなってきたので、土が乾燥しているだろうなと思い、出勤早々、苗たちを見に行きました。
えーーーーーーーー(*_*;
なぜなぜどうして??? 目が点
なんと、クロマツのコンテナがコンクリート、しかもマンホールの蓋の上に乗せてあるではありませんか!
マツたちはコンテナ下の土から、水分や養分を吸い上げているのに、下がコンクリートではさすがのクロマツも枯れてしまうではないですか
よく見ると、クロマツを置いてあった場所にバジルとシソの苗が植えてありました。
こちら側には落花生も
誰かがクロマツのコンテナをどけて、そこに植えたようです。
土が少なく、植物を植えられる場所が限られているため、バジルやシソにとっては邪魔だったのでしょうね
慌てて手前の土の場所に戻し、たっぷりと水やりをしました。
バジルやシソ、落花生には罪はないので、こちらにも水を
交代制勤務の今、だれの仕業かわかりませんが、バジルやシソが収穫期を迎えたらいただいちゃおうっと!(^^)!
久々の登場、広報室の林です。
浅野同様、私も現場には半年近く行っていません。
早く行きたい!!!
それは、マツの成長が気になるからではなく、
それを阻害するかもしれない“ヤツら”の成長が気になるから。
外出自粛が続く中、朝早く目が覚めた日は
まだ人が少ない時間帯に散歩をしている私。
先日、新宿の高層ビルの間から、昇ってくる太陽を見ながら
住宅地を抜け、かつて吉田が大阪マラソンに向けた
練習をしていた公園(陸上トラックがあるのです)まで
てくてく歩いていった時のこと。
気になってしまったのは、これ!
↓
分かりますか?
カラスノエンドウの勢いが!!
昨年の今頃は、吉田が
「今年のトレンドはカラスノエンドウ」
などというタイトルのブログを書いています。
カラスノエンドウがマツを覆っていないか
気になって、気になって……。
そのうちツルマメたちも勢いよく伸びるのだろうなぁ。
クロマツたちには、ボランティアの皆さんが
救出に行くまで耐えてもらうしかありません。
早く現場に行きたいなぁと、
そんなことを考えてばかりの外出自粛生活です。
緊急事態宣言の延長…
こんにちは、浅野です。
ステイホーム週間、ゴールデンウィーク終わりましたねー。
私はとことん家にいました。笑
最後に名取の海岸に行ったのが11月のボランティアの日なので、
約半年名取に行っていないということですね…。
こんなに行かなかったのは初めてなので、身体がなまってしょうがないです。
ゴールデンウィーク中に発表のあった緊急事態宣言の延長。
特定警戒都道府県以外の県では、各市区町村の判断で外出自粛を緩和する地域もあるそうですが、
依然、県境を越えての外出は控えるように、ということは変わらなさそうです…。
今の状況が続くようであれば6月のボランティアも難しいかもしれません。
ただ、宮城県はすでに緩和を表明しており、小規模イベントについては感染防止策を徹底したうえで
開催をしてもいいということを県民向けに発表しています。
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/791180.pdf
もちろん、だからボランティアができますいうことではありませんが、
宮城県民限定のボランティアの日の設定など、ちょっと希望が出てきたかなーと思っています。
現時点では6月以降は未定ですが、5月14日の専門家による再評価を受けてから
再度検討し、18日の週の早い段階でホームページ・ブログでお知らせします。
早く名取で皆さんに会えることを祈っています。
くれぐれもご自愛くださいね。
東京本部苗の観察日記 ~播種から2年~
育っていくのに伴って、チラホラ見られるようになってきたのが、「枝おろし」とか「裾払い」と言われるもの。
上から見ると枝と枝が接して「鬱閉」、林内に入るのは確かに難渋します。私は慣れてるので何とも思いませんが。枝がなるとスッキリ感とか、やった感があるのかもしれません。
オイスカと再生の会としては、裾払いする考えはありません。しかし、名取の内陸防風林(共有林)でごく一部の地主さんが、ビニールハウスの通気性が悪いからだと思いますが、進めてしまいました。暑くてたまらなかったのだと思いますが、断りなく伐るのは、厳密にいえば森林法上の問題もあります。しかし私たちにとってのもう一つの問題は、鋸を入れる位置。
「幹際から歯を入れる杉・ヒノキと違い、マツの場合は幹から20㎝は離さないと、腐りが入る」と佐々木統括から何度となく聞いています。杉とヒノキも同じではありません。したがって、死に節をつくらないためにマツならではの切断位置があるはず。専門家の方は「20㎝?!」と驚いていました。「日本海側では積雪の影響があるので裾払いしたい理由は納得できる。宮城は雪がない」とも。マツの死に節については、造園業の方に聞くと良いかもと言われました。昔、宮城も岩手も、裾払いという工種はなかったはずです。津波のとき、「倒伏」ではなく、岩手などは根元での「幹折れ」が大半だったそうですが、高い位置での幹折れ個体には腐れが入っていたそうです。
以前、静岡県内で、まだ2mにもならないマツが裾払いされていました。市役所に訳を教えてもらってみると、「我々も驚いたんです。地元の方が勝手にやってしまって。見栄えが悪いと言って・・・。その方も反省してました」と。
とにかく、無駄な仕事はしたくない.
育苗場で卵を産むの?
4月上旬の育苗場。手前の砂利と雑草のあたりに10日間ずっといたのが・・・
↓ どこでしょう?
さらにズーム。
コチドリと言うそうです。
「ハマチドリとか、勝手に命名してました」 (吉田)、「スズメだと思ってた~」(再生の会Kさん)
この下の写真は、去年、一昨年撮った写真。作業道のど真ん中で子育て・・・(親はよく「擬態」を見せてくれます)

以前、海岸林の現場で撮影
でも名取事務所は、例の「新入り」(黒猫)の行動範囲。ダメだろうな。
ちなみに、4月26日読売新聞朝刊によると、この鳥、8月頃、中国・台湾の水田などで羽を休め、越冬地として「フィリピン南部の田んぼ・畑・果樹園など」に渡るという研究結果が科学誌に掲載されたそうです。「(日本での)産卵では人が入りにくい川沿いなどを選ぶのではないか」と書かれていましたが、名取では僕らの目の前の、変な場所を選んでいます・・・名取事務所とか、作業道のど真ん中とか。堤防の向こうのどデカイ砂浜がいいんじゃないの?