吉田です。今日は、広葉樹9年を振り返りながら、所感を箇条書きしてみます。
【総括】

  • 海岸防災林「再生地」への樹種選択として、荒野と化した吹き曝しの土地では、広葉樹では枯損率が高く、生長も極めて遅く、そもそも不適。
  • それでも広葉樹を選択するなら、クロマツの10倍以上のコスト・労力を要する。養分のある土を完全に客土し、防風対策の付属品をつけ、クロマツより伸長が遅いため年2回の下刈が長く続き、もちろん施肥を毎年続けるなど、コスト度外視の覚悟がいる。
  • 植栽位置は、波打ち際から少なくとも400m以上離れている必要がある。海岸防災林の造林の考え方ではなく、造園の考え方・予算の出処で公園等で局所的に植栽する程度が望ましい。
  • 宮城沿岸部は、5月下旬~11月上旬までは海からの塩分を含む東風が主風、それ以外の期間は「蔵王おろし」と呼ばれる寒風・乾風害を伴うこともある強風が吹く。土壌環境のほか、気象が広葉樹への大きなリスクとなる。
  • 先端枯れ、根元からの萌芽更新、先端枯れ、萌芽更新を何年でも繰り返し。上方生長できない負のスパイラル。

【樹種選択・育苗】

  • あえて宮城沿岸の適正樹種を言うなら、落葉高木:ヤマザクラ、オオシマザクラ、ウワミズザクラ、ケヤキ、コナラ、クリ、エノキ。戦後の治山木として植えられた高木のハンノキも適。常緑低木:ツバキ(ただし、半日蔭が出来る先の話)。常緑高木のタブノキは砂には刺さらない。常緑低木でトベラ・マサキなどは宮城の寒さに不適。なお、当然のこととして、特別な事情がない限り採種地は宮城県産であることが望ましい。
  • クロマツと同じ育苗場で育てたが、そもそも、海沿いであること自体が気象環境的に無理があり、数的ロスが多かった。
  • 常識的には、育苗期間1年、草丈を優に超える1m程度の苗で出荷するはず。しかし、苗高が必ずしも高く苗のほうが、風当たり面積が少なく有利ではないか。
  • 某県沿岸部の有力育苗家(直播・裸苗)に諸々習ったが、門外不出の「根切りのタイミング」がある模様。

【植栽】

  • 宮城沿岸では、春植え不適(成績不良。1年後生存率17%)、秋植え(9月末~10月中旬)が適。11月の植栽では遅い。
  • 仮植した苗、4ℓ以上の培土と、液肥・給水ポリマー・水を混ぜて大きなビニール袋に1本一本入れた「泥付き苗」で出荷・植付。植穴は40×40×40cm以上となる。
  • 冬越しし、5月に無事開葉したとしても、6月~7月に葉が蒸散不能の症状を見せ、やがて植栽後まもない苗はほぼ100%「先端枯れ」を起こす。いわゆる「大苗」(育苗期間2年以上)も同様。先端枯れ、根元からの萌芽更新、先端枯れ、萌芽更新を何年でも繰り返す。上方成長できず、クロマツを仰ぎ見ながらの負のスパイラル。

【保育】

  • 上方成長が極めて遅いため、下刈は樹高が草丈に勝るまで年2回が必須。秋以降の寒風害対策として、枯草は防風柵でもあるため、全面刈りではなく、つぼ刈りとしている。
  • 当地の盛土仕様の土壌では、施肥は少なくとも草丈に勝るまで、毎年継続が必須。1本1本の樹勢から判断し、根の先端を予測して施肥穴を3ヵ所掘り、オール8を50g×3穴/本行っている。施肥穴の位置が適切でないと、効果がゼロである。
  • 高さ1.6mの防風垣を越え、風に吹き曝されたとき、どうなってゆくか注視し、引き続き管理を継続したい。なお、これまでのところ、害虫、獣害などの被害はほぼ受けていない。
  • 当地の海岸防災林の最内陸部は、最終目標林型として高木クロマツ、中木広葉樹、低木常緑広葉樹などという複層林を目指します。広葉樹植栽671本は、そのための「母樹」の位置づけ。将来に本数調整伐をした後などに人の手で「樹下植栽」(林間植栽)しても、生長不良で「もやし以下」と襟裳岬の実証実験結果から学んだ。あくまでも、鳥類やタヌキの糞に期待して、実生で育ってきたたものを大切に確保して育てたい。
  • 今後の戒めとして、クロマツも万能でないことを忘れてはならない。マツクイのリスクがある。したがって、クロマツが壊滅した場合に沿岸が完全裸地化しないためにも、海岸防災林最内陸部は複層林化を最終目標林型としてゆきたい。

【その他】

  • クロマツと広葉樹を「混植」した組織が見られたが、「海岸防災林」再生の目的をはき違えていた。その後も、下刈・追肥をせず、枯損・植栽後の上方生長皆無。ところどころにクロマツが立っている「風通しの良い防風林」と隣接地に畑を持つ農家が言った。
  • とにかく震災後は「植林至上主義」が跋扈したが、植栽後管理を非常に怠り、コストもろとも地主に押し付けている。だから、植林ボランティアはプロから嫌われ、陰口を叩かれる。植栽実面積と法面・作業道を合わせ、境界まで管理する「常識」も心得ず、指導されても黙殺する。突如11月に業者に下草刈りをさせたと思ったら、翌日大勢のスーツ族が来たのも見た。11月に下草刈り・・・2回見たことがある。
  • 「広葉樹を・・・」と言った組織や、一部の専門家・報道は、広葉樹のその後を検証せず、忘却の彼方。沈黙している。

 
【余談】
先日「タブvsクロマツ」というブログを載せました。
モニタリング調査対象の2016年10月植栽タブノキ(樹高40㎝)の根元から、実生のクロマツが伸びてきていて、タブと同じぐらい高さになっているのを林久美子広報室長が発見。去年根元で発芽したのか。気付かなかった・・・では、これをどうすべきでしょうか? 教科書的な答えは単純。マツを伐ります。なぜなら、①抵抗性クロマツという保証はない(残存木のマツ傘から風で飛んできたにしては遠い?。500m南に離れている。植栽した抵抗性マツの種子の可能性もある)。②植栽したのはタブ。③しかも調査対象。④その上、数少ない生存個体。
海岸防災林のクロマツvs広葉樹論争は、とうの昔に、現場の結果で決着がついたと思います。ですがよりによって、オイスカしか見てない変なところで再燃・・・ともかく、先に伸びるのはクロマツでしょう。放置すれば、数年後にはタブノキを根元から引き抜いて持ち上げるかもしれません。植栽後4年も経って、やっと葉の枚数が微増傾向に上向いたこのタブノキの根張りは、大目に見てもまだせいぜい50㎝程度でしょうし。しかも、ここのタブノキは蒸散機能が悪化し、毎年夏にたくさん葉を落とします。このクロマツは今年の夏、光をたくさん得るでしょう。
それにしても、わが社の女子の「現場で気付く眼・感性」は凄い! やっぱり現場百篇ですね。

広葉樹植栽地の写真報告

2020年7月12日( カテゴリー: 広葉樹 )

潮のストレスを極力回避するために、波打ち際から400m以上離れた、海岸防災林最内陸部に植えています。今日は写真報告。これまでの経緯は、海岸林ブログカテゴリー「広葉樹」 

ますは、盛土仕様書に合致した「山砂」の個所(名取2区・国有林部分)

3回目の補植。皇居産広葉樹4種を含む10種類。育苗期間2年半をかけた「大苗」。撮影:2016年10月15日

3回目の補植。皇居産広葉樹4種を含む10種類。育苗期間2年半をかけた「大苗」。撮影:2016年10月15日


最後の補植から4年目。下刈(つぼ刈り)&施肥作業中。撮影:2020年7月3日

最後の補植から4年目。下刈(つぼ刈り)&施肥作業中。撮影:2020年7月3日


4年生き抜いているが、上方成長まではまだ時間がかかりそう。撮影:2020年7月3日

4年生き抜いているが、上方成長まではまだ時間がかかりそう。撮影:2020年7月3日


先端枯れ、萌芽更新、先端枯れ、萌芽更新・・・を毎年繰り返す。

先端枯れ、萌芽更新、先端枯れ、萌芽更新・・・を毎年繰り返す。地中の根の先端に追肥されるよう、3ヵ所に有機化成肥料オール8を50gずつ。そして土で埋めます。撮影:2020年7月3日

次に、粘土が混ざる箇所。土壌は湿。(名取1区・国有林)。イネ科の雑草が多い。

プロとボランティアとで力を合わせ、必勝を期して植えたことが懐かしいです。撮影:2016年10月15日

プロとボランティアとで力を合わせ、必勝を期して植えたことが懐かしいです。撮影:2016年10月15日


支柱(目印)に水色のスプレーをかけてあるのが2016年最後の補植木。まだ草に埋もれているものが多い。ほかの大きい苗は2014・2015年に活着した木。撮影:2020年6月27日

支柱(目印)に水色のスプレーをかけてあるのが2016年最後の補植木。まだ草に埋もれているものが多い。ほかの大きい苗は2014・2015年に活着した木。撮影:2020年6月27日


草をかき分けて救出。まだ枯れる可能性が十分ある。撮影:2020年6月27日

草をかき分けて救出。まだ枯れる可能性が十分ある。撮影:2020年6月27日

最後に、粘土が非常に多い個所(名取9区・市有林) 毎年、蚊がとても多い・・・

3回目の補植。撮影:2016年10月19日

3回目の補植。撮影:2016年10月19日


やっと「森林」らしくなってきたが、防風垣がない高さに育つと、強風による幹折れ、塩の影響による先端枯れを起こすと思います。撮影:2020年6月26日

やっと「森林」らしくなってきたが、防風垣がない高さに育つと、強風による幹折れ、塩の影響による先端枯れを起こすと思います。撮影:2020年6月26日


雑草もすごい。その中に・・・

雑草もすごい。その中に・・・


大きく育っているのは2014・15年に根付いて、やっと伸びてきたものです。撮影:2020年7月4日

2016年の補植木はまだこんなもの。草に埋もれます。上の写真の大きく育っているのは2014・15年に根付いて、やっと伸びてきたものです。撮影:2020年7月4日

東京大学名誉教授の太田猛彦先生が「山林」6月号(大日本山林会)に「平成時代における治山事業の変遷」と題して執筆されました。平成30年間の治山事業を総括した形ですが、治山など森林の権威の太田先生が矢面に立った「3つの小さなバトル」として、①海岸防災林の再生と植栽樹種問題、②三保の松原など全国におけるマツノザイセンチュウ対策、③先日の豪雨で大災害となった球磨川の上流、「川辺川ダム」建設をはじめとする「緑のダム」機能に関する論争について書かれていました。当プロジェクトは①に関するクロマツvs広葉樹論争に否が応でも巻き込まれました。震災後3か月ぐらいから約3年にわたり、全国の市民からご意見や質問、あらゆる要望、希望、申し出を受ける立場にあったという点で、最前線に立っていました。事実は、小林省太さんの「よみがえれ!海岸林」(8月発行のvol.12)に譲るとして、今年は震災から10年目。広葉樹植栽から6年目。現場での結果を総括する時期だと思っています。

初植栽から1週間後。左の茶色の苗木が枯れた広葉樹。右の緑の苗木はクロマツ。

初植栽から1週間後。左の茶色の苗が枯れた広葉樹。右の緑の苗はクロマツ。撮影:2014年5月26日


「あんな海沿いで広葉樹を植えても無駄」「吉田君の趣味」と地元農家の名取市海岸林再生の会のみなさんから「しづられ」(からかわれ)ました。育苗場では散水もしてもらえない時がありました(笑) 植栽後、プロに追肥を頼んだら、わざと??忘れられたこともありました。私たちは「蔵王おろし」の寒風、寒風が吹く荒野のど真ん中、しかも海沿いで、広葉樹がダメなのは最初から分かっていました。しかし、新聞でよく取り上げられるほどの「論争」の渦中にいましたから、どのぐらいダメなのか、検証したいと考えました。ほかにも挑戦した理由はいくつかありますが、かつてのブログに縷々記していますので割愛します。
2014年5月の1回目植栽で、「1年後生存率17%。2014年~16年の間で補植3回!!」(笑)。成立本数はクロマツ36万本に対し、広葉樹10種671本。これまでの成果として、当地では、クロマツは春植えがリスクが少ないのに対し、広葉樹は秋植えが適していることが分かりました。ただし、バーク堆肥や液肥、吸水ポリマーなどを混ぜた、1本あたり4ℓ以上の土を用いる大変重たい「泥付き苗」を使いました。普通の植栽とは大違い。ほぼ、土木作業。
7月4・5日、ボランティアの皆さんとともに、毎年恒例の下刈・追肥と、「開葉確認毎木調査」をしました。
調査結果は・・・
植栽本数671本、生育本数574本(生存率約86%)
【内訳】
名取1・2区(国有林):植栽本数470本、生育本数385本(生存率約82%)*半分は山砂ゾーン
名取9区(市有林):植栽本数201本 生育本数189本(生存率約94%) *山砂は皆無、粘土が多いゾーン
一向に大きくなりませんが、数字上の見た目は、なんとか維持していると言えますでしょうか?
防風垣を超えるほど大きくなると、今度は本当に吹き曝しになり、先端枯れを起こしやすくなるかもしれません。
これまでの広葉樹の経緯はコチラ
 
撮影:2020年7月4日。これまで先端枯れ、根元から萌芽更新、また先端枯れ、萌芽更新の繰り返し・・・

撮影:2020年7月4日。これまで先端枯れ、根元から萌芽更新、また先端枯れ、萌芽更新の繰り返し・・・


根の伸長が殆どない。一本の生長サイズに合わせた位置に追肥穴を掘る。

根の伸長が殆どない。一本の生長サイズに合わせた位置に追肥穴を掘る。


草が茂る場所は多少生長がよくなった。やっと、森林への道を歩み始めた場所もある。

草が茂る場所は多少生長がよくなった。やっと、森林への道を歩み始めた場所もある。


3本しか生き残らなかったが、若者らしくなっていたクリ。仙台と名取市の市境で、2012年初ボランティア訪問団の住友化学労組にタネを拾ってもらいました。

3本しか生き残らなかったが、若者らしくなっていたクリ。仙台と名取市の市境で、2012年初ボランティア訪問団の住友化学労組にタネを拾ってもらいました。


後日、写真に特化して何度か報告します。
いまもなお、「広葉樹に関心はない」「ムダ」と身内から言われることもありますが、広葉樹を悪者扱いしているわけでないことも知っています。でも、育苗2年、植えてからさらに6年、十分頑張りました。もし今年の追肥が効かなかったら、これで肥料は最後にするかもしれません。

お父さん!

2020年7月10日( カテゴリー: 現場レポート )

広報室の林です。

先日、広葉樹の施肥作業をボランティアの皆さんにやっていただきました。
その間、吉田は調査をするということで、
記録係に新人スタッフを従え、育っている広葉樹の名前を
口にしながら歩いていました。
CIMG0926
コナラの生育がよく、続けて「コナラ、コナラ、コナラ……」と
通り過ぎていく吉田を見送りながら
「オナラ、オナラ、オナラ」と嬉しそうなのは、ボランティアのMさん。
CIMG0927
いつもギャグやダジャレを言って周囲を楽しませているMさん。
(Y田がいうとお寒いオヤジギャグもMさんだと吹き出してしまうのです!)
奥さまと一緒に軽トラックで現場に来てくれています。
畑での作業、裏山の草刈りなど、いつも体を動かしているMさんは
ここの現場でも仕事が的確で素早い!!

奥さまがご主人のことを「お父さん」というので、
私も勝手に「お父さん」と呼ばせていただいています。

楽しく働き者のお父さん、いつもありがとうございます!

こんにちは、浅野です。
皆さんに残念なお知らせをしなければなりません…。
今日のコロナウイルス感染者が東京だけで220名を超えたということを受け、
7月18日、8月1日のボランティアの中止を決定いたしました。
お申込みいただいていた方には本当に申し訳ないです。
全国からの参加が予定されていること、またスタッフが全員首都圏から出張していることから
移動の際の感染リスクをゼロにすることは出来ないということで今回の判断に至りました。
6月20日にやっと再開ができたと思ったのに残念ですが、3週連続で開催でき
宮城県民のみなさんに頑張っていただいたおかげで、ゴミ拾いも済み、
クズに絡まれていたマツも救出でき、元気のない広葉樹に施肥ができました。
ツルマメも今年は成長が遅く、(他のところのは伸びていたので去年の皆さんの頑張りのおかげです)
先週の時点でモンスタークロマツになっていたマツはありません。

こんなのはまだいません

こんなのはまだいません


再開は8月22日のボランティアの日を予定していますが、
今のところ確定ではありません。8月3日の週には決定したいと考えております。
また決定次第、ホームページ・ブログでも案内させていただきます。
1586249693616
まだまだ予断を許さない状況ですので、皆さまもくれぐれもご自愛ください。

広報室の林です。
今日は、ボランティアの日にいつも来てくれる
IBEXのみなさんをご紹介。

と、その前に……
昨年6月、海外で森づくりに取り組む子どもたちが
「子供の森」計画こども親善大使として現場を訪れた際、
IBEXのご厚意で、子どもたちは航空教室に参加させてもらいました。
これがその時の写真。
左の2人がパプアニューギニア、右の2人がスリランカの子どもたち。
(親子ほど体の大きさが違いますが……)

航空教室

お世話になったIBEXのTさんにパプアニューギニアの
子どもたちが帽子をプレゼント。
以来、Tさんはボランティアに来る時に必ずその帽子をかぶってくるようになりました。
その帽子というのは、パプアニューギニアの国旗をモチーフにしたもの。
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極楽鳥が描かれたこの国旗、パプアニューギニアの人たちは
ありとあらゆるものにこのデザインを使います。
シャツ、ブラウス、ワンピース、バッグ等々。

そして今回も、パプアニューギニア帽子をかぶってやってきたTさんを
パプアニューギニアの荏原駐在代表親子と引き合わせ記念撮影!

CIMG0907

帽子は、国旗がモチーフになっているの、分かりますか?正面に極楽鳥がついています。

ご実家がある愛知県からIBEX機で現場にきたミャンマーの小杉駐在代表とも
現場で写真撮影をしていた皆さん。
CIMG0941
この日、皆さん長靴を履いていなかったのですが、
すてきなスニーカーが泥だらけになるのもいとわず、
溝切りに汗を流してくれました。
CIMG0963

顔をあげたTさん、何かに気づいた様子。
CIMG0961

IBEXの飛行機が着陸態勢に入り、松林の上を飛んでいきます。
みんな作業の手を休め、「お~い」と飛行機に向かって手を振っていました。

CIMG0962

そしてまたすぐ作業に没頭。
CIMG0960

溝が完成!!
水が流れ出したのですが、ほかの溝より水の勢いがないことを知り
スコップで水を押し出して流しています……

CIMG0979

ラジオの取材を受けたTさんが
「離着陸時に海からの強風が吹くと航空機の安全な運航にも影響がある。
海岸林を育てることは自分たちの仕事にもつながっている」と
ボランティアに参加し続ける理由を語っていました。
以前、海霧のことを話してくれた副操縦士さんもいました。
IBEXのボランティアの皆さんは、
海岸林の存在意義を最もよく理解してくれているチームの一つ。

CIMG0929

午前中に仕事をして、午後はお休みを取って駆け付けてくれる皆さん。
本当にいつもありがとうございます!!

以下、写真を張り付けるだけ貼り付けましたが、鳥のMさんに続き、以前ボランティアに来てくださったS化学のOさんが「種類を見分けてくれる」と名乗りを上げてくださりました。労組のTさん、仲立ちをありがとうございます。名取の海岸林は運のよいことに国の生物多様性調査が行われていますが、キノコは調査対象外で、各研究機関などが周辺で調査している情報も入らないため、せめて簡単な記録だけは残したいと思いました。

名取市海岸林再生の会の育苗場の近くにはマツ林がかつてあり、津波で菌根菌は死滅せず、苗畑のクロマツには自然とたくさん菌根菌が付着しました。したがって、名取の海岸林の無機質土壌の人工盛土に菌が広がりクロマツの生長を助けると思います。

今年は「キノコをしっかり調べよう」と思っていたのにコロナ渦。張り切って本も買ったのに。オイスカ海岸林チームには「表と裏の写真を」と頼んだら、やはり複数の目。たくさん見つけました。買った本で「同定」に挑戦しましたが、下記キャプションをご覧の通り、「不明」連発。ご多忙だろうOさん、急ぎませんので、お付き合いいただきますよう、よろしくお願いします。それにしても思うのは、もっと探したい・・・

いま現場踏査で徹底したいことは盛りだくさん。①葛発生地図面化、②土壌のph調査(酸性化傾向にないか確認したく)、③名取3・4区排水溝増設プラン(大雨直後がよい)、④マツツマアカシンムシ・マツカレハなど害虫調査、⑤キノコ調査(もうまもなく春の発生シーズンが終わる)・・・もっと歩きたい! ですが、これから10日ほど東京本部です。

①チチアワタケ。植栽地全域に、いままでで一番発生しています。クロマツと共生するため、大発生は非常に良い兆候だと思っています。地元の人は食べません。

①チチアワタケ。植栽地全域に、いままでで一番発生しています。クロマツと共生するため、大発生は非常に良い兆候だと思っています。地元の人は食べません。

 チチアワタケは、何者かに一口だけかじられていることも多かった。

【不明①】200703 2014名取1-2区国有林(クロマツ林縁部

【不明①】200703 2014名取1-2区国有林(クロマツ林縁部


【不明②】200703 2014名取1-2区国有林(クロマツ林縁部)-

【不明②】200703 2014名取1-2区国有林(クロマツ林縁部)-


【不明③】200703 2014名取1-2区国有林(クロマツ林縁部)-

【不明③】200703 2014名取1-2区国有林(クロマツ林縁部)-


【不明⑤】200703 2014名取1-2区国有林(クロマツ林縁部)-

【不明⑤】200703 2014名取1-2区国有林(クロマツ林縁部)-


【不明⑥】200703 2014名取1-2区国有林(クロマツ林縁部)-

【不明⑥】200703 2014名取1-2区国有林(クロマツ林縁部)-


【不明⑦】200704 2014名取市4区市有林

【不明⑦】200704 2014名取市4区市有林


【不明⑧ヌメリイグチ?】200704 2014名取市4区市有林No (3)

【不明⑧】200704 2014名取市4区市有林


【不明⑨】200704 2014名取市4区市有林No (7)

【不明⑨】200704 2014名取市4区市有林


 
【不明⑩】200704 2014名取市4区市有林

【不明⑩】200704 2014名取市4区市有林


【不明⑪キツネダケ?】200704 2014名取市4区市有林

【不明⑪キツネダケ?】200704 2014名取市4区市有林


【不明⑫】200704 2014名取市4区市有林No.7南

【不明⑫】200704 2014名取市4区市有林No.7南


【不明⑬】200627 2014名取市2区市有林

【不明⑬】200627 2014名取市2区市有林


【不明⑭】200626 2015名取市9区2015植樹祭白角柱道沿い (1)

【不明⑭】200626 2015名取市9区2015植樹祭白角柱道沿い (1)


【不明⑮】200620 2015名取市1区国有林北端境界沿い

【不明⑮】200620 2015名取市1区国有林北端境界沿い

新人職員、初の現場体験

2020年7月8日( カテゴリー: 現場レポート )

皆さんこんにちは。
今年の4月にオイスカに入職しました、本部・海外事業部の碇谷です。
7月2日~7月4日の3日間で、今回初めて海岸林再生プロジェクトの現場に同行させていただきました。
今回は特に印象的だった溝切の作業について記載したいと思います。
7月4日(土)ボランティアの皆さんとの作業当日。
浅野さんのブログにも記載されているように、当日はあいにくの雨で活動は午後から行うことになりました。
午前中に吉田さんの現場視察に同行させてもらうと、大きな水たまりがあちらこちらに…。
7月4日
「一部の盛土は排水が悪く、マツは水が多い場所と相性が悪いから改善が必要」
まさに言葉通りの光景に、早くなんとかしてあげたいという思いがこみ上げました。
7月4日
当日の現場の様子を見て、今日何を最優先で行うべきかを最終的に判断する。
もちろん、“参加者の安全第一”で。
現場を視察しながら、午後に行う作業内容をあれこれと相談しながら的確に決めていく吉田さんと林さんの会話からは、そんな思いが強く感じられました。
視察を終え事務所に戻り、ボランティアの方々と顔合わせ。
ほとんどがリピーターの皆様。大先輩です。
足元の悪い中でもゴミ拾いと広葉樹の施肥を手際よく終え、いざ溝切の現場へ。
水たまりを見た瞬間に「あ~こりゃすごいなあ~」と、皆さんすぐさまスコップが動く動く……。
事前に打ち合わせでもされたんですか!?と思ってしまうくらい、各々が配置について掘り進めていきます。
7月4日
あまりの手際の良さとスピード感に手を出せない新人職員。
色々ご指導いただきながらなんとか作業に参加。
自分の掘った部分にも水が流れてくるともう何とも言えない達成感。
200705 (100)200705 (104)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「溝切作業を始めてからリピーターが増えた」という吉田さんの言葉にも大いに納得。
大変だけど、成果が目に見えて嬉しい……
「雨のおかげで、水の流れがわかってやりやすいね~」と、悪天候さえプラスにとらえる参加者の皆さん。
7月4日
雨も強くなってきたため、この日の作業は終了。
車に乗り込む前に、溜まった雨水を利用して長靴や道具をしっかり綺麗にする姿を見て、皆さんにとっての「当たり前の習慣」でさえ、私からするとどれも本当に新鮮でした……。
木を植えて終わりではなく、ちゃんと生長させるために、苗木1本1本の状況や周りの環境を見て管理し、育てるということがこんなに大変だったなんて、いくら書面で読んだって映像を見たって、やっぱりやってみないとわからないんだな……と改めて実感することができた本当に貴重な機会でした。
今までこのプロジェクトに関わった多くの方々への感謝の気持ちを忘れることなく、私もオイスカの職員としてこれからできることを考え続け、取り組んでいきたいと思います。

雨対策

2020年7月7日( カテゴリー: 現場レポート )

広報室の倉本です。
昨年の8月24日のボランティアの日を最後に(この時、大阪マラソンの寄付を募りました)、久しく現場入りしていなかったのですが、ようやく今回7/2~4の日程で名取市を再訪することができました。
あいにく、楽しみにしていた7月4日(土)のボランティアの日は、雨のため、午後だけ半日の活動になってしまいましたが、宮城県内の参加者の中には、大阪マラソンの応援&ご支援をしてくださった方や、マラソンを走ったことを覚えてくださっていた方もいらっしゃって、とても嬉しかったです。当日、実はマラソンの時に着ていたチャリティランナーのTシャツを着ていたのですが、ヤッケで隠れてしまい少し残念に思っていたので、なおさら嬉しかったです。
久しぶりの現場はといえば、やはり全体的にマツが成長しているのを間近に感じることができ、場所によっては、以前より大きくなったというのもありますが、少し密度がみっちりしてきた気がする、という印象でした。近くに立つとさらに迫るように大きく感じるマツもたくさんあり、前はこんなに威圧感があったっけ、と驚くような気持ちにもなります。やっぱり写真や映像で見ただけでは分からない……

7月3日、オイスカスタッフだけで、成長の悪い広葉樹に施肥。後ろのマツが壁のようにぬっとした存在感でした

7月3日、オイスカスタッフだけで、成長の悪い広葉樹に施肥。後ろのマツが壁のようにぬっとした存在感でした


さて、この日の作業は、先日の浅野さんのブログにもある通り、ゴミ拾いと広葉樹エリアの草刈り・施肥、溝切。心配していた雨も昼過ぎにはほぼ止み、午後からしっかり作業に入ることができました。
そのような中でも、作業をすると、やはり手や足もとはびしょびしょになってしまいます。普通の綿の軍手だったら大変だったなあと思い、さくさくと作業を進める周りの方々を見てみると、さすが何度もボランティア経験のある方々は違いました。
前回のボランティアにも来て下さったというSさんは、通常の軍手でなく、今日のために用意したというゴム手袋を着用! 加えて雨がぱらつきはじめると、ランニング用のポンチョもさっとかぶっていました。
また他の方も、軍手の上に透明のビニール手袋をつけて簡易的に防水仕様にされていたりと、2016年のブログにもあった『雨の日の装い』のように、あちこちに工夫が見られました。
 
特に、私が気になったのは、オイスカの小杉ミャンマー駐在代表のキャップについていた洗濯ばさみ。
ゴミ拾い中のひとコマ。左端の小杉ミャンマー駐在代表のキャップのつばに洗濯ばさみがついています

ゴミ拾い中のひとコマ。左端の小杉ミャンマー駐在代表のキャップのつばに洗濯ばさみがついています


何に使うのだろうと思い尋ねてみると、上着のフードを被る時、キャップのつばに止めて脱げないようにするためだそうです。確かにせっかくフードをかぶっても、風などですぐに取れてしまい、気が散ってしまうことがよくあります。なるほど、こんなにシンプルな方法で解決できるんだなあ…
何気ない工夫ではありますが、こうした準備は、作業に集中し、安全に行うためにも、また、自分自身のコンディションを保つためにも大事なことだと感じました。
雨の日だけでなく、真夏の暑い中での作業も同じですが、まずは自分の準備を万全にして、マツのお世話に取り掛かることが大事ですね。
次回の現場入りに活かそうと思います。

こんにちは、浅野です。7月2日~4日まで名取に出張していました。
今回の出張で3週連続のボランティアの日が終わりました!
7月4日の天気は雨…。前日の予報で午前は土砂降りとなっていたので、
参加予定者に連絡を取り午後からの開催となりました。
午後も小雨が降ったりやんだりの中、約20名のボランティアが作業に取り組んでくれました。
作業はまたしてもゴミ拾い。他には広葉樹の施肥と久々の溝切でした!
今回は前回までとは違い、植栽地南側のゴミ拾い。結果は燃えるゴミが18袋、燃えないゴミが⑦袋。
大量の甘酒の缶や花火のゴミも捨ててありました。まるでいたちごっこですね…。

わざわざ捨てに来なくても…

わざわざ捨てに来なくても…

参加してくれたIBEXの皆さん

参加してくれたIBEXの皆さん


広葉樹の施肥は成長の悪いものにだけ。
先週のブログにも書きましたが萌芽更新を繰り返すだけで全く上に伸びていないものもまだまだあります。
これで少しは植えに伸びてくれるといいのですが…。
200705 (61)
施肥終了後、場所を移動して溝切へ。
今回、溝切をした名取4区という場所は2014年に植栽されたものの水はけが悪く、
ほとんど成長していないマツが多くあるところです。
元々水はけが悪いということもあり、ここ最近の雨で大量に水が溜まっていました。
溝切りの説明の後、初めての方には作業箇所を指示した吉田。
そのあと「リピーターの人は必要そうなところを考えて掘って!」との指示とも言えない指示があり、溝切開始。
さすがリピーターの皆さん。それぞれ必要そうなところに散っていきました。笑
200705 (109)
今回のボランティアの日はオイスカミャンマー駐在代表の小杉氏とオイスカパプアニューギニア駐在代表の荏原氏とそのご子息、東京本部から広報室の倉本さんと新人の碇谷さんも来てくれていたので、詳しいことはそれぞれがブログに書いてくれるはずです!乞うご期待!!

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