8月一杯のボランティア・視察来訪予定をすべて中止させていただきました。
吉田です。
大変残念ですが、全国的な状況と宮城県内のコロナ感染増加の傾向から、8月末までのボランティア・視察予定・撮影予定など、すべて中止としました。この1年半、こういう中止判断ばかりしてきましたが、予定していた企業団体ご担当の皆様、楽しみにされていた皆様のことを思うとその都度心苦しく、ただただ申し訳なく思っております。この状況はまだまだしばらく続くと思いますが、辛抱強く付き合ってゆくしかないと思います。
来週末からはプロもお盆休みに入り、葛・藤・ツルマメは、伸び伸びの伸び放題の時期が来ます。お盆明け、ボランティアが入れないことにより、去年・今年は事実上プロ頼み。2段構えでの徹底駆除は2年続けて成就できませんでした。この影響で、「つる切り」は計算より長期間続き、コストも嵩むことになるでしょう。葛の葉の大きさ、ツルの太さが印象的な今年前半でしたが、プロと東北在住者ボランティアで全力を尽くしてきましたので、後悔することはありません。あらかじめ、現場をすべて歩いて、特に「刈り取るべき箇所の位置図」をプロに手渡してあります。いまは、彼らに任せるしかありません。
また、出来るときに出来ることを頑張ります。
吉田です。今週末の臨時ボランティア日を前に、今日やらねばならない仕事が終わったら、一人車で出発します。
7月21日、「海岸林再生の碑」除幕式(主催:名取市海岸林再生の会)で配布された冊子「海岸林再生活動10年の軌跡」を下記に掲載しました。冊子の印刷は少数で、皆様に共有するために下記に掲載しました。全カラー・24ページ、石碑表裏全文も掲載されております。ぜひご覧ください。
海岸林で鳥見ing(2021/7/17・18)~ホオアカの巣立ち~
再生の会が建立した石碑 その③
こんにちは 鈴木です。
3連投にお付き合いくださりありがとうございます。
今日のトピックは
「再生の会の石碑の形は上部がなぜ右肩下がりなのだろうか?」
についてです。
「右肩下がり」と聞くと、あまりいいイメージは持ちません。
どうせなら「右肩上がり」のデザインにすればよかったのでは?と思ってましたが、
そんなことは口には出せません(^^;
このデザインにした理由は何だろう?
たまたま、ミヤテレの取材に付き合い、行った先にその答えがありました。
村人総出で荒廃した海岸林をよみがえらせようとクロマツを植えたことを記念して昭和34年に建立された「愛林碑」
そう、再生の会が建立した石碑と同じ形をしています。
なるほど、謎が解けました。
先人への敬意と
「愛林碑」が津波に耐えたように、再生の会の石碑も数百年に一度といわれる津波にも耐え、後世に遺るものであってほしい
と願ってのことなのだろうと推察しました。
数年で周囲の松の方が高くなり、クロマツに守られて、何十年も何百年も静かにたたずんでいくことになるのだろうと思います。
<おまけ>
「愛林碑」の前でミヤテレの取材を受けている間(これがかなりの長時間だったので(^^;)、気になったのはこちらです。
暗渠と思われるものがつくられており、ささっと動く小さな生き物を発見!
カニだとわかったものの、石の中に隠れてしまって一向に顔を出してくれません。
しばらく時間をおいて、そーーっと近づき、3メートルほど手前からズームで撮影しました。
体長5センチほどで、とても愛らしい目をしてました。


再生の会が建立した石碑 その②
こんにちは 鈴木です。
再生の会の石碑の除幕式についてのつづきブログです。
この日、印象に残ったのがもうひとつ
石碑を作った丹野石材さんのご挨拶
私は普段は墓石をつくることがほとんどです。
今回、このような石碑建立に石屋として携わらせていただいたことに本当に感謝しています。
石碑の向きひとつとっても、津波が来た時に波を受け流すことができる向きであること、勉強になりました。
実は私の実家は宮城県の野蒜(のびる)というところ。ご存じのように津波被害の大きかったところです。私の実家は跡形もなく流されてしまいました。
昭和53年の宮城県沖地震が発生した2か月後に生まれた私は、母から「地震・津波」と言われ続けて育ちました。
この石碑の文字がとても多いのですが、とても大切なことが書いてあり、とても省くことはできず、削ってくださいとはとても言うことができませんでした。
と、石屋として、この仕事に携わることができた喜びをストレートに表現されていて、いつまでも心に残るご挨拶でした。
その後、少しお話する機会があり、こんなこともおっしゃってました。
「復興」という言葉がよくつかわれます。
被災前よりさらに良くするという意味で「復旧」ではなく「復興」なのですが、
私はこの言葉に非常に違和感を感じています。
この海岸林の現場では、「復興」ではなく「再生」という言葉を使っており、
とても通じるものを感じました。
聞くと、除幕式につかった白い布、リボンなどは丹野さんのお母さまがご用意くださったそうです。
本当にいい方々に恵まれていると、ありがたく思います。
再生の会が建立した石碑 その①
こんにちは 鈴木です。
夏到来!! 暑いですね
なんとなんと、21日に1年4か月ぶりに名取に行ってきました。
ボランティアのみなさんの方がよっぽど現場のことを知っているよな・・・といつも申し訳ない気持ちです。
今回、名取に行ったのは大事なセレモニーのため
名取市海岸林再生の会が「海岸林の再生」を後世に伝えるために、植栽地内の南北のほぼ真ん中に建立した石碑の除幕式に参加させていただくためです。
事前に石碑の設計図を見せていただき、碑文も読ませていただいていました。
高さ約2.4メートル
これは、日本サッカー協会で定められたサッカーゴールの高さをほぼ同じ
見上げるほどだろうか?? こりゃぁちょっと高すぎないか??
石碑の上の部分が右下がりのデザインになっていて、なんで右肩下がり??
碑文が1400文字
原稿用紙3枚以上・・・小学校の時、原稿用紙3枚をうめるのは大変だったよなぁ
こんなにたくさん文字を入れたら、石碑はヌリカベのようだろうか・・・?
と、妄想壁が顔を出す(^^ゞ
林野庁や宮城県からも来賓としておよびしたかったところ、コロナ禍で規模を縮小せざるを得なかったようで、再生の会のみなさん、名取市、森林組合、松島森林総合、オイスカでこじんまりと開催しました。
除幕式はあくまで再生の会の主催のため、オイスカはお客さま扱い・・・といっても裏方をしてましたが;
それでも、ミヤテレ、東北放送、河北新報の取材クルーを含めると約50人が集まっていました。
この日、印象に残ったことを少し
佐々木統括の挨拶の中で、
再生の会が発足した当初から石碑を建立することを一つの目標にしてきた。
昭和34年に建立され、津波にも耐え、今は葦が覆う湿地にひっそりとたたずんでいる「愛林碑」に再生の会のメンバーのお父さんお母さんの名前が載っていて、松林を守ってきたご先祖に感謝の気持ちを持つように、何代か先のお孫さんひ孫さんが、この石碑の裏の再生の会のメンバーの名前を見て、畏敬の念を持ち、松林を大事にしてくれれば嬉しい
と話していました。
1400文字の中で大事なのは最後の文章なのだと、
「この未曾有の大震災とその再生復興を後世に伝えるため、ここに『海岸林再生の碑』を建立する」
と結んでいます。

ご支援くださる方の中には、石碑の建立はしなくていいのでは?というご意見もありました。
確かに、デジタルの世の中ですので、海岸林再生の記録は色々な形で残せるとは思います。でも、除幕式を終えた石碑を見ると、再生の会のみなさんの震災後10年の心の区切りのようにも思いますし、先の見えない世の中にあって、石碑という形あるもので後世に残していくのも大切なことだと感じます。
長くなってしまったので、次のブログに続く(^^)/
【臨時募集】7月31日(土)東北在住の方を対象に、ボランティアを臨時募集します。
7月31日(土)ツルマメ・葛・藤の除去のため、東北在住の方を対象にボランティアを臨時募集することになりました。
名取事務所出発9:00~解散16:00
お申し込み・お問い合わせは、kaiganrin@oisca.orgもしくは、吉田携帯070-5550-7394まで
熱中症対策を万全に、飲料水は2~4ℓぐらい多めにご持参ください。

7月17日(土)のボランティア公募日は、1.15haの葛・ツルマメ繁茂区で、5,750本のクロマツの生育環境を整えました。参加者は25名。単純計算で、一人あたり230本も守ったことになります。*この日は、排水口大改修チーム10名・半日で、4ha・20,000本の多湿地の排水改善も。一人の力は小さくないのです。
「クロマツの生育不良を引き起こす原因の解明」に取り組みます② ~都立大学大学院の梶原君が研究開始~
こんにちは!東京都立大学の梶原です。早速ですが、今回は今私がやっていることについて少し具体的にお話したいと思います。
さて、前回のブログで申し上げた通り、私の最終目標は「クロマツの生育不良の原因を明らかにすること」です。しかし、研究を行うにあたり、いきなり原因の解明をすることは出来ません。まずはどこのクロマツの生育がどのくらい良いのか、どのくらい悪いのか…。全てのクロマツを見たうえで、それをはっきりと明らかにしなければなりません。ひとまずは、それが私の今年度の課題になるかと思います。
しかし何と言ったって37万本。名取市の海岸林は流石の規模です。1本1本自力で計測していると、それだけで大学生活が終わってしまいます。何か良い方法は無いものか…。
そこで、役に立ちそうな機器を見つけました。その名を「OWL」といいます(先日のブログでも紹介されてましたね)。最近の技術というのは凄いもので、このOWL、沢山の赤外線を放射して、それらが反射して戻ってきたものから樹木の高さや胸高直径、材積量などを計算してくれます。しかも、それらを立体的な地図にしてくれるので、パソコンの中で名取の海岸林が再現できてしまいます。先日ブログでとりあげていただいた際は、このOWLを使用してクロマツのデータを集めているところでした。
【説明:OWLの解析画面。クロマツだけでなく、防風柵の形までくっきりと再現出来ていることがわかります。】
ちなみに、これを使うと大体1時間くらいで500本以上のクロマツのデータを得ることができます。便利ですね。しかし、これを使っても全てのクロマツを把握するには単純計算で740時間かかります。大分作業時間が短縮されたとはいえ、どうやら1日8時間作業しても、92日かかるようです。研究期間が2年間かつ東京在住の学生にはなかなか厳しい作業量。はてさて、どうしようか…。
ここで実はもう1つ、お試しで取得しているデータがあります。簡単に説明してしまえば、OWLを用いて横からクロマツのデータを取得したように、似たようなデータを上からも取得してみよう、と試みています。もしこの試みがうまく行けば、このもう1つのデータとOWLを組み合わせることによって、37万本全てのクロマツを把握する武器になり得るかもしれません。
結果が待ち遠しい限りですが、こちらに関してはまだ解析が終わっていないため、またの機会にお話しできればと思います!
「クロマツの生育不良を引き起こす原因の解明」に取り組みます① ~都立大学大学院の梶原君が研究開始~
お初にお目にかかります!先日ブログで取り上げていただきました、東京都立大学大学院修士課程1年の梶原と申します。これから何度か現地でお世話になるかと思われますので、みなさまどうぞよろしくお願い致します!
さて、私は現在大学にて、名取市の海岸林を対象とした研究を行っております。今回は、私が何故こちらの海岸林を調査地に選んだのか、どのような研究をしているのかについてお話しできればと思います。
まず、調査地を選んだきっかけについて簡単にお話します。
始まりは2020年の3月でした。初めての緊急事態宣言が発令される直前に、私の指導教員が津波の被害を受けた海岸林の復興現場を視察することになりました。そして、私はその調査に同行させていただくことになりました。理由は単純、私が植林や緑化などの「人の手で再生された自然環境」に興味がある学生だったからです。
そして、その視察の中で立ち寄ったのが名取市の海岸林でした。聞いた話によると、この海岸林はクロマツも、それを植える土の環境も、防風柵も堆砂垣も、全てが人の手で作り上げられた森林であるとのこと。初めて見た際は、あまりの話の規模の大きさから「これを全て人の手で作り上げたのか…!」という驚きでいっぱいでした。
しかし一方で、成長が芳しくないクロマツもあるという話も伺いました。実際に現場も拝見したのですが、同じ時期に植えたクロマツであっても、成長の良いところと悪いところがあることがわかりました。そして、どうやらその原因は土にありそうだが、詳しいことはわかっていないという話を伺いました。
そこで、ふと「ここのクロマツの生育差をもたらしている原因を明らかにしたい」という考えが浮かびました。幸い、私はこの時もうすぐ4年生。卒業研究を始めるにあたり、研究テーマをどうしようか考えていた時期でした。さらに、私の所属する研究室は、土壌に強い研究室です。研究をするための環境は十分に整っていました。これはやるしかない!と思い、私は宿泊先の宿にて指導教員と早速相談をしました。そして、無事に研究のテーマが決まりました。その後、結果的に研究に没頭し、卒業研究のみならず、大学院に進学した後も同様の研究を続けており、現在に至ります。
以上が、私がこの海岸林を調査地としたきっかけになります。
そして、もうお気づきかと思われますが、研究テーマは「クロマツの生育不良を引き起こす原因の解明」になります。
生育が芳しくないクロマツを対象に、「何故成長できていないのか」「どうしたら成長できるのか」を徹底的に明らかにしたいと考えています。そして、折角やるなら目標は大きく!ということで、37万本すべてのクロマツを対象とする予定です。
これ以上お話すると長くなってしまうので、具体的に今どのようなことをやっているかに関しては、次の機会にお話したいと思います。この研究によって、すこしでも名取市海岸林に関する知見を残すことが出来ればと考えています。
それでは改めて、これからよろしくお願いします
【吉田より】
この研究は、森林総研・都立大学川東教授とオイスカが連携して取り組むことになっています。先々が楽しみです。明日も梶原君のブログが続きます。
7/17インターン活動ブログ
皆さま、お久しぶりです、インターン生としてお世話になっている畑です!



「開通する時、めちゃ嬉しかったです! 笑」
長くなってしまいましたが、読んで頂きありがとうございました!
この排水口は、ここの多湿地3.45ha、17,700本の生育改善にとって、最大で最も重要な排水口です。また、ツルマメ・葛に来鳥は1.15ha、5,750本がツルにまかれるのを回避しました。タイムリーに来てくださった25人の力は大きいです。