「クロマツの生育不良を引き起こす原因の解明」に取り組みます① ~都立大学大学院の梶原君が研究開始~
お初にお目にかかります!先日ブログで取り上げていただきました、東京都立大学大学院修士課程1年の梶原と申します。これから何度か現地でお世話になるかと思われますので、みなさまどうぞよろしくお願い致します!
さて、私は現在大学にて、名取市の海岸林を対象とした研究を行っております。今回は、私が何故こちらの海岸林を調査地に選んだのか、どのような研究をしているのかについてお話しできればと思います。
まず、調査地を選んだきっかけについて簡単にお話します。
始まりは2020年の3月でした。初めての緊急事態宣言が発令される直前に、私の指導教員が津波の被害を受けた海岸林の復興現場を視察することになりました。そして、私はその調査に同行させていただくことになりました。理由は単純、私が植林や緑化などの「人の手で再生された自然環境」に興味がある学生だったからです。
そして、その視察の中で立ち寄ったのが名取市の海岸林でした。聞いた話によると、この海岸林はクロマツも、それを植える土の環境も、防風柵も堆砂垣も、全てが人の手で作り上げられた森林であるとのこと。初めて見た際は、あまりの話の規模の大きさから「これを全て人の手で作り上げたのか…!」という驚きでいっぱいでした。
しかし一方で、成長が芳しくないクロマツもあるという話も伺いました。実際に現場も拝見したのですが、同じ時期に植えたクロマツであっても、成長の良いところと悪いところがあることがわかりました。そして、どうやらその原因は土にありそうだが、詳しいことはわかっていないという話を伺いました。
そこで、ふと「ここのクロマツの生育差をもたらしている原因を明らかにしたい」という考えが浮かびました。幸い、私はこの時もうすぐ4年生。卒業研究を始めるにあたり、研究テーマをどうしようか考えていた時期でした。さらに、私の所属する研究室は、土壌に強い研究室です。研究をするための環境は十分に整っていました。これはやるしかない!と思い、私は宿泊先の宿にて指導教員と早速相談をしました。そして、無事に研究のテーマが決まりました。その後、結果的に研究に没頭し、卒業研究のみならず、大学院に進学した後も同様の研究を続けており、現在に至ります。
以上が、私がこの海岸林を調査地としたきっかけになります。
そして、もうお気づきかと思われますが、研究テーマは「クロマツの生育不良を引き起こす原因の解明」になります。
生育が芳しくないクロマツを対象に、「何故成長できていないのか」「どうしたら成長できるのか」を徹底的に明らかにしたいと考えています。そして、折角やるなら目標は大きく!ということで、37万本すべてのクロマツを対象とする予定です。
これ以上お話すると長くなってしまうので、具体的に今どのようなことをやっているかに関しては、次の機会にお話したいと思います。この研究によって、すこしでも名取市海岸林に関する知見を残すことが出来ればと考えています。
それでは改めて、これからよろしくお願いします
【吉田より】
この研究は、森林総研・都立大学川東教授とオイスカが連携して取り組むことになっています。先々が楽しみです。明日も梶原君のブログが続きます。
7/17インターン活動ブログ
皆さま、お久しぶりです、インターン生としてお世話になっている畑です!
長くなってしまいましたが、読んで頂きありがとうございました!
この排水口は、ここの多湿地3.45ha、17,700本の生育改善にとって、最大で最も重要な排水口です。また、ツルマメ・葛に来鳥は1.15ha、5,750本がツルにまかれるのを回避しました。タイムリーに来てくださった25人の力は大きいです。
7月17日 ボランティアの日
こんにちは、浅野です。
7/17のボランティアの日に行ってきました!
前日まで福岡出張だったので、IBEXの飛行機で仙台空港へ。
久しぶりに上空から海岸林が見れる!かと思いきや、逆方向からの着陸でした…。(風向きによって方向が変わります)
気を取り直して、ボランティアの日。
今回の参加者は25名。ほぼ宮城県民でした。
作業は排水口の整備とツルマメの抜き取り。
溝切りではなく排水口の整備と書いたのは、元々木枠で作られていた排水口を1度解体して深く掘り直して再度作るという作業だからです。
この作業は佐々木勝義さんの指導のもと、鹿島建設の2名と東北大学・大学院の4名、土木作業が似合うリピーター3名に行ってもらいました!
班が違ったので途中の写真がないのですが、完成したのがこれ。
詳しいことはインターンの畑くんが書いてくれると思います!
一方、ツルマメ班はこんな感じ。
いつも通りですね。場所はサイクルスポーツセンターの南側。
ここはサイクリングロードを突っ切らなきゃいけないので、今回みたいな少人数の時にやりたかったところ。お陰さまでモンスターになる前にとれました!
暑くなってきましたけど、具合が悪くなる人もケガ人もなく無事終了しました!
もしかしたら7/31に臨時ボラを行うかもしれないので、確定したらすぐお知らせします!
【吉田より】
この排水口は、ここの多湿地3.45ha、17,700本の生育改善にとって、最大で最も重要な排水口です。また、ツルマメ・葛に来鳥は1.15ha、5,750本がツルにまかれるのを回避しました。タイムリーに来てくださった25人の力は大きいです。
ミャンマー緊急募金にご協力お願いします
明日から1週間、名取に行く吉田です。
1996年、まだ私が駆け出しの3年目、オイスカミャンマー農林業研修センター建設資金獲得業務にあたっていました。センター開所以来26年、幾多の苦難を経てきましたが、いま過去最大の危機にあります。我慢に我慢を重ね、慎重な対応を期してきましたが、7月から緊急募金に着手しました。4月からオイスカ全体の資金獲得・広報の責任者になりました。目標500万円と言っていますが、1,000万円のつもりです。皆とともに頑張ります。開始から10日余りで200万円に迫っています。
オイスカ本部のブログに、「私とミャンマー ~緊急募金に寄せて①②③~」(7月9日・13日・15日)として連載で寄稿しました。ぜひご覧ください。
今日7月15日(木)12:20~12:50「ミャンマー農村の現状報告会」(無料・申し込み不要)
オイスカが活動するミャンマーの農村地域の現状を、オイスカ本部の担当スタッフが報告します。
・Zoomウェビナー
https://us06web.zoom.us/j/85962717073 (ウェビナーID: 859 6271 7073)
※YouTubeでも同時(ライブ)配信を行います
*録画動画もおいおい・・・となるはずです。
【以下、2020年2月の出張時】
樹高測定 サボっているわけではないんです
広報室の林です。
先日、吉田が報告していた通り、樹高を測る作業をしました。
私もマツの中に突入しましたが、背が低い分、ほかの人たちよりダメージは少ないです。
5m超の高さですから、下からはまったく見えません。
どの木が対象となる木なのかもわからないため、幹の部分を握って揺らしてみます。
すると外で見ている人(写真の右側の人)が「その隣」とか「2本東側」などと指示をくれます。
ではこの人たちは??
防潮堤に座ってたそがれているわけではありません。
総監督2名は、防潮堤にどっしり構え、
「もっと上(測定する機材をもっと上に伸ばせという意味)」などと指示しているのです。
近くから見上げても分からないところを遠くからより正確に見てくれているのです。
決してサボっているわけではありません(笑)
クズ根絶に向けて 私のハイエナ作戦
広報室の林です。
先週の土曜日のボランティアの日は、クズの刈り取り作業を実施。
10人の精鋭で活動したものの、それでも取りこぼしがあり、
途中、吉田から「小さな芽の部分が刈り取ったクズの下に隠れているケースが多い。
皆さん、注意して小さな目の部分も刈り取ってください!」と指示が出ました。
久しぶりにガシガシ作業をして疲れてきた私は、ずるい作戦を思いつきました!
……それは、こんなふうにどなたかが刈り取った後を狙って歩くのです。
はい、あった~~~!
刈り取った後を丁寧に見ていくと……
吉田が言う通り、小さな芽が残っていることが確かに多い。
勝手にハイエナ作戦と名付け、作業を進めていくと、
この芽の下に親分(大きな根)がいることがよくあります。
大きな〇の下に太い根が! そして小さな丸は刈り取られた先端。
そういえば、ツルマメの抜き取り作業の時も、勢いよく進んでいって
根っこを抜き取れずに残してしまうボランティアさんの後から抜き取り作業をしていました。
でもそれは、なんとなく人の「粗探し」をしているような気がしていたのに
クズの場合はなぜ「ハイエナ作戦」と思ったのだろうか??
それだけクズの刈り取りが、狩りにも近い体力のいる作業(長く伸びたクズを手繰り寄せ、
マツのチクチクにやられながら、根元を探し、引き抜く……という作業)
だと思ったのかもしれません。人のおこぼれで簡単に根っこを探し出す私。
ちょっとずるい「ハイエナ作戦」も、クズ根絶のためには必要です。
次回もクズを刈り取るなら、ちょっと体力に自信のない女性には
ハイエナ作戦を勧めてみようかなぁ。作戦名は伏せつつ……。
広報室の林です。
3日は、久々にボランティアに合流でき、リピーターの数名の方から
「あけましておめでとうございます」とご挨拶いただいてしまいました。
今回は雨を覚悟していましたが、降られることなく作業できました!
6月からインターンとして活動してくれている畑君が
早速レポートしてくれていましたが(こちら)、今回はクズの刈り取り作業。
今回のボランティアの日は、若干撮影写真が少なめ。
大量に撮影した写真を保存している本部事務所のサーバーが圧迫されているという事情もあり、
少し遠慮してしまったのと、途中で視察者対応のために離脱したことも理由ではあるのですが、
なんといっても、今回は参加者がリピーターさんばかりだったから! ……ではなく、
一番の理由はこれ。
こんなに大きく育っているクロマツの中で作業をしている様子が
写真になかなか収められず、撮影がとても難しかったから……。
作業している人もその様子も見えませんよね。
午後、少し開けたところでの作業中に数枚撮影。
早い段階で撮影をあきらめたので、いつもより作業に集中できました。
(ボランティアさんが100人近い時に、うっかり作業に没頭してしまうと
指導員Kさんから「こら! 現場管理に集中しなさい!!」と叱られます)
作業のレポートはまた次回。
こちらはおまけ。
この現場で初めて見たキノコで、紫色がきれいでした!
帰ってきて調べると案外「ムラサキ」が名前につくキノコはたくさんありました。
でも私がネットで見たもののどれとも違うような気が……。
植えてから7年。最高樹高は5.73m(2ヵ所で数本調べただけですが)
吉田です。7月はまだ上方生長を続ける期間なので暫定的にですが、一番よく育っているゾーンで何本か樹高を計測してもらいました。ボランティアの皆さんに測竿の使い方に慣れてもらいたいし。
場所は2ヵ所を各8本。名取市海岸林中央部、2014年4月植栽の名取1区。
①海側最前列:5.73m、5,65m、5.57m、5.51m、5.49m、5.38m・・・(計測日7月3日)
②1区中央部:5.71m、5.68m、5.65m、5.47m、5.46m、5.33m・・・(計測日6月25日)
【反省】①三浦さんにせっかく双眼鏡をプレゼントしてもらったのだから、鳥を見るだけでなく、測竿の先を見るのにも使えばよかった。②せっかく林内突入するんだから、胸高直径もお願いしても良かった。災害にも強い指標「形状比」(樹高÷胸高直径=70以下)を知ってもらうことになるし。
測りたい場所はまだまだあります。とくに①②の場所は、もう少し、しっかりと調べないと・・・去年の結果から言えば、6m以上になっている木もあるはずですし。
7月3日(土)ボランティアの日 レポート
こんにちは、インターン生の畑誠斗です!
今回は、前回とは異なる名取の現場からのレポートになります!
この日は、いつもボランティアに参加されているリピーターの方々との少数での活動でした。この日の活動内容はくずが群生している箇所のくず刈りでした。
くずとはつる性の植物で、クロマツに絡みつき、くずの大きな葉っぱで、クロマツの成長に必要な日光を妨害します。またくずは生命力が強く1m間隔ほどで根を張り広げます。そのため、一度処理を怠ると、一気にくずが広がってしまい、作業が更に膨大なものになってしまいます。
この日の活動場所は、すでにくずが広く根を張ってしまっており、足下がくずのツルと葉で埋め尽くされているほどでした。
この写真はクロマツに絡みついているくずです。このくずを松から引っ張って外そうとすると松の枝が折れてしまう可能性があるため、鎌でくずの数カ所を切ることで、自然と枯らしクロマツを助けることが出来ます。
今回の活動では、周辺のくずを刈りきることが出来なかったので、次回またくずをたくさん刈りたいと思います。
余談ですが、活動開始前、オイスカ名取事務所にて、猫が松の苗木の近くでじゃれ合っていました。微笑ましく写真を撮ってしまいました。(笑)
【吉田より】
10人でしたが、全長400m×幅20~30mも進みました。これは予想外の進捗。でも、こういう場所が少なくとも20haはあります。プロとボランティアで今年も丹念に進めます。
吉田さんの講演を聞いて(仙台日経懇話会での90分)
オイスカ名取インターン生の畑です!
6月24日に行われた、仙台日経懇話会での吉田さんの講演を聴講してきました。
この講演は、国際NGOであるオイスカがなぜ名取の防災林再生に携わる事になったのか、その海岸林再生プロジェクトはどのように第一次計画を走り抜けたのか、そして今後どの様な活動が必要とされていくのかという、とても濃い内容の90分間でした。
講演を通して、自分が強く感じた事が3つありました。
1つ目は向上心から来る確かな知識と経験
2つ目は人と人の繋がりを重んじる事による輪の広がり
3つ目は地元、その地域に住む人たちの事を第一に考えること。
海岸林を再生したいという気持ちがあっても知識や経験がなければ行動を起こす事はできない。オイスカの方々は、海外でのマングローブ植林の経験や、日本国内に存在する防災林の視察や勉強をしており、目標を達成するための確かな行動を起こしていました。
海岸林再生プロジェクトでは、2020年までに数多くのボランティアを受け入れています。その中にはリピーターの方々が多くいらっしゃいます。これは吉田さんがみせる繋がりを重んじる姿勢、ボランティアの方にしっかりと向き合う姿勢が理解されている証だなと感じました。
そして、このプロジェクトは塩害や災害から守るための海岸林を復活させようとするものです。既に地元のことを考えていることがわかりますが、更に言えるのは、地域住民の方の雇用創出、そして何故そこに海岸林があるのかをしっかりと伝承していく役割をも担っているのです。この様に地域を第一に考えることで、地元の方々の理解も得られ、更に活動の輪を広げることができるのです。
長くなりましたが、90分に及ぶ吉田さんの講演から私は、とても大きな熱量を感じ、また過去から未来へと繋げていこうという気持ちを感じ、そのオイスカでインターンができるありがたみを感じました!
【吉田より】
日本経済新聞仙台支局のご配慮で、若い畑君にも特別に機会をいただいたことにも感謝しております。
このようなチャンスは極めて稀です。失敗したら、90分も聞いてくださる方にも申し訳ないし、期待してくださった支局長さんや小林省太さんの顔に泥を塗るようなもの。しくじったら、2度はないという気持ちで準備を重ねました。
オイスカがやるべきことは海岸林だけではありません。今回は、どうして震災後のあの日にプロジェクト発案に至ったのか、自分の親父のこと、多くの人から何をご指導いただいたのかを通じてオイスカを紹介してから、プロジェクトのこれまでとこれから、そして、日本における森林など生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)技術、オイスカの世界での次期10年計画構想の一端を加え、プレゼンPPTを完全にバージョンアップしました。無事乗り切ることができて、正直に言ってホットしました。