「ハイタカ」って知ってます?

2022年3月12日( カテゴリー: いきもの )

 吉田です。林野庁の「名取地区生物多様性配慮ゾーンにおける環境調査」(2013年~2019年)の、2019年調査では、猛禽類9種類の猛禽類が確認されています。もっともよく見るのがトビ。続いてハヤブサ、ノスリ、チュウヒ、ハイイロチュウヒ、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、ミサゴ。このほか野鳥の専門家の三浦さんもオオタカ、トラフヅク、コミミヅクを確認しています。それに加えて、12種類目のハイタカを今回確認したことになります。

 海岸林の防潮堤沿いの静砂垣のすぐ上を、低く飛んで、停まってを繰り返して。海岸林中央のT字路付近で見つけ、大きな写真は北釜ゲート近くまで車で2㎞追いかけ、やっと撮影成功。「三浦さんにちゃんと聞いた方がいい」と浅野さんから正しいご指摘。

 例によってメールしてみたら、三浦さんから以下の返事をいただきました。

 写真の鳥について、ぱっと見、オオタカ♂だと思いましたが、紛らわしいのが仲間にいるので気になり、鳥の師匠に確認してもらいました。結果オオタカではなくてハイタカ若い♀です、細かいですが、詳しい識別内容をそのままコピーしましたので見て下さい。 『写真を拝見しました。ハイタカで、若い♀かと思います。全体的に灰色がかっていますが、頬の白と暗色の境が不明瞭なところがオオタカと異なります。オオタカでも特に♂の成鳥の場合は、顔の模様がもっと黒っぽくはっきりします。メスの若い個体の場合は、写真の個体と同程度に見えることはありますが、写真の個体は嘴も小さく、足も細くて全体的にオオタカよりも華奢な体型をしています。そして、ハイタカとしては頭が小さく見え、体つきや足ががっしりしているので、♀かと思います。実際に見た方もハイタカにしては大きいと感じたかもしれません。たまにいる紛らわしいタイプですね。また、全体の色がきれいな灰色なのが少し気になりますが、雨覆の羽先に淡色斑が見えますので、幼羽が混じっているのだと思います。』

 実は1月に現地を回った時、モニタリング調査地No10から3本松方面に飛ぶオオタカを見つけ、吉田さんと同じように追いかけっこをしてました。結果写真に撮れずじまいでしたが、気にはなっていました。今回と同じ鳥ではないと思います。2/23日も一周してきました。雁の群れが北へ帰る(北帰行)だと思いますが見れました。(五輪のパシュートで話題になった空気抵抗を減らす編隊は、強風の影響で崩れていましたが)

雁の群れの北帰行 三浦さん撮影:2022年2月23日

12回目の3.11 

2022年3月11日( カテゴリー: 本部発 )

 吉田です。12回目の3.11は、福岡市早良区のオイスカ西日本研修センターでの農業研修担当者研修会と圃場での春夏野菜の助っ人に8日間の出張に来ています。若干の黄砂を感じます。ここの研修センターには日々ボランティアが手伝いに来てくれます。隣の県立早良高校や、九州電力を中心とする企業など8時間従事換算で1,000人近く。自称「オールド」の近隣のおっちゃん約10名は毎週月曜。若い電力マンは半年住み込み。今日はホテルオークラのシェフさんと近所の奥様たち。今朝は6時からコメの出荷のためのパッキング。7時半から朝食で捕獲して昨日さばいたアライグマの焼肉丼。8時前から朝礼。我々の兄貴分の廣瀬所長が「黙祷をしよう」と言いました。災害の多い九州です。海外農業研修生を50年以上前から指導してきたこのセンターにとって、災害復旧支援は研修の一環。海岸林はもちろん、熊本地震、九州北部豪雨、西日本豪雨など、職員・研修生は断続的かつ長期的に復旧現場の重労働に従事しています。災害直後の現場も熟知するからこそ、黙祷は当然の流れのように思えましたし、こういう同僚たちを誇りに思います。

 今週は出張に没頭しているので、名取の現場に電話はしていませんが、本数調整伐はほぼ区切りがついているはずです。国のガイドライン、県の手引きに沿って伐採・搬出・処分を進めていますが、数十年先の最終成立本数は、5,000本/ha⇒400本/haになるとされています。その頃には樹高が20m前後となるはずです。伐採木は、県の指導のもと、すべて堆肥やチップ、バイオマスに再利用されます。

 来週の今頃は、10人乗りの車で私の甥っ子をはじめとする大学生数人を乗せて東京本部を出発して、福島北部沿岸を見せながら名取に向かっているでしょう。3月19日(土)の公募ボランティア日は、なぜか大学生が多数。ちょっとビックリです。損保ジャパン環境財団インターン制度でオイスカに6月から1月に来ていた学生たちが、LIVE中継型?イベントで発信する企画をするそうです。個々がオイスカの門をたたき、ここで知り合った、正確に言うと19日に初めて出会うことになるという若い衆です。楽しみです。当日の作業は、ガテン系では排水口2ヵ所、ソフト系では排水溝の草取りと補修。本数調整伐施工後の現場も歩いてもらいたいです。リピーターの皆さんは変わり様をどう感じるでしょうか。感想を聞くのも楽しみです。

 3月26日(土)13:00~16:00、森林立地学会の海岸林シンポジウムがあり、10分のプレゼンとディスカッションに登壇します。発表者は実践型の気鋭の専門家ばかり。一般市民にもわかりやすく!という指示が出ています。学会員でなくても無料で聴講できます。目下、120名申し込みが来ているそうですが、名取の現場に関わる人にはぜひ聞いていただきたく。現場に来た時に、ご自身の参考になると思うので。

撮影:2月20日 これだけじゃわからないと思いますが、ここから1㎞先まで本数調整伐施工済。
ハイタカ *オオタカではないようです。撮影:2月20日
愛知、香川、福岡の農業研修センターの仲間たち。全員ではないですが。中列の左から3人は2022大阪マラソンを走るために努力してきた3人。中部TC筑田さん、西日本TC園田さん、四国TC安部さん。吉田・浅野も写ってます。

 

本部広報室の林です。 大阪マラソンが中止となり、とても残念なのですが、 ランナーとして出場に向けて準備を進めてきた本部スタッフハルハルは 「残念」というだけでは表現しきれない複雑な思いを抱えていたようで、 一つの区切りとして「残念(マ)ラ(ソ)ン」を先週末に決行。 吉田と私も自転車(もちろん電動アシストつき)で伴走してきました。

オイスカ本部を出て、神田川沿いの道を勢いよく走り出すハルハル。 すぐに汗が吹き出し、上着を脱いで半袖シャツに。 大阪マラソン当日につけて走ろうか、と準備していたプロジェクトの キャラクター「クロマツの親父」のお面は吉田に託して走ります。 (ハルハルは、練習でもこの日もマスクをして走っていました。 マスクをしていないと、すれ違う人に不快な思いをさせてしまうから……と)

ハルハルは、中止を聞いた時の心境を「走らなくてよくなった!」という
ちょっとうれしい気持ちと「残念な気持ち」が半分ずつと話していました。
決定がもっと早ければ、いろいろな準備(トレーニングだけではなく、
当日朝の食事や走っている途中に補給する水分や栄養ドリンクなどの購入等)
が無駄になってしまったという思いもあったようです。そして、走らないということは
体が楽な一方で、寄付の形で応援してくださった方々に申し訳ないという思いもあり
複雑な気持ちだった様子。今回の残念ランは、フルマラソンには遠く届かない距離でしたが、
よい区切りになったと話していました。

走り終わったハルハル(左)は
タロウのお面で親父になついていました

双葉町羽山前

 2021年11月、名取から東京へ向かう車での帰り道、ちょっと違う道でゆるり帰ろうとしたとき、福島北部(新地⇒相馬⇒南相馬⇒双葉)で進む、復旧(海岸林再生)&海岸林3倍への増設工事に驚きました。そして、今度はしっかり見ようと小林省太さん(元日経論説委員)を誘って、南から北上してみました。写真中心に報告します。

 すこし前のことですが、2月18・19日に元日経論説委員の小林省太さんと、宮城県北部、気仙沼の海岸林再生現場を歩いてきました。写真中心に報告してみたいと思います。1ヵ所あたりの面積は1haから、最大でも数haと小さいながらも、津々浦々に点在していました。

大阪マラソン中止に思う

2022年2月17日( カテゴリー: 本部発 )

1月末迄は「この状況で本当に開催するのかなぁ?」
2月も10日を過ぎて「ここまできたら絶対に開催するでしょ!」
と色々ドキドキワクワクハラハラしていましたが、
2月15日、私の誕生日にまさかの発表。

「大阪マラソン市民ランナー参加中止」!!

サブ3.5達成に向けて順調に調整をしていたのに…
お楽しみは4月開催予定の「かすみがうらマラソン」に持ち越しとなりました。
引き続き苦しいトレーニングで自身を追い込みます(実は苦しさをかなり楽しんでる)。

今回チャリティランナーとして大阪マラソンを走れなくなったのは
非常に残念ではありますが、それ以上の収穫がありました。
一つは「海岸林再生プロジェクト」を説明すると同時に「オイスカ」という団体名も
多くの人に知ってもらえる機会が作れた事。もう一つはプロジェクトへの寄付ができた事です。

大会運営サイドによるチャリティランナーへの今後の対応はまだ未定ですが
機会を頂けたら、次回大会は走りたいと考えています。

まずは3月19日のボランティアの日、大阪マラソン参加中止の悔しさを溝切りにぶつけます。
切って切って切って切りまくる!!

千葉県のオイスカ会員、齊木郁でした。
皆様今年も名取でお会いしまょう。宜しくお願い致します。

ラジオ関西の「PUSH!つながる 神戸」にて、オイスカ本部GSM担当部長の吉田俊通が出演。

宮城県名取市で進む「海岸林再生プロジェクト」の最新情報をトークでお伝えします。同番組には2014年から取り上げていただいており、今回は11回目の出演です。昨年7月に除幕式を行った石碑の建立やコロナ禍における現場の様子、今年1月に開始した本数調整伐などについてお話する予定です。

radikoでインターネットからでもご視聴いただけます。

■日 時:2月22日(火)15:30~(10分ほど)

■番 組:ラジオ関西(558khz)「つながる神戸から」

 2011年5月25・26日、東日本大震災後の初調査の際、かなりフォーカスして倒れたマツの根を見ました。清藤城宏元オイスカ緑化技術参事(元山梨森林総研)は「根が浅い」というほかに、「根周りが小さい(=根の範囲が狭い)」ことも指摘していました。のちの内部報告書でも記述があります。当時私自身は、駆け出しの海岸林オタク、100%素人でしたので、「そういうものか~」と思った程度。育苗に関わるなかで、苗の段階でも、木になっても、肝心なのは「根」だということを長年かけて徐々に理解していきました。

 2022年2月7日、河北新報掲載記事「奇跡の一本松の「根」を公開 幅10メートル、津波を耐え忍ぶ」という記事が出ました。高田松原の西端のユースホステル敷地内にあった樹齢173年、高さ27.7m、胸高直径87㎝、アカマツとクロマツの交雑種「アイマツ」です。根の深さ2m、半径10m・・・本当に立派なマツだと思います。https://kahoku.news/articles/20220206khn000014.html?mailmaga=0625

 これまでもこのブログで、根が重要とお伝えしてきましたが、本数調整伐の際、切り株がその後の作業で邪魔にならないように、ユンボで「抜根」したものをいくつか見かけました。惚れ惚れする根でした。森林組合の作業班のベテランさんも「いい根に育ってるね」と言っていました。

 名取をはじめ全国の海岸林には、多湿の土壌を避けられない場所もあります。たとえそういう場所であっても、本数調整伐をすることで、残されたマツの根もより広く生長するはずです。地上部にしっかり見合うだけ、広がっていれば十分強度が得られるという調査報告もあります。地中の見えない部分が大事です。3月26日(土)の森林立地学会シンポジウム「津波にねばり強い海岸林(もり)づくりの「これまで」と「これから」(オンライン。学会員以外も聴講可能。申込必要)では、森林総研や名古屋大学の方たちが、根に関する最新の知見を発表なさると思います。オイスカもこのシンポジウムで発表しますので、ぜひ申し込んでくださいね。

2014年植栽地(名取1工区)。根の幅は半径1m以上、深さも1m以上(ユンボでの抜根なので途中で切れてしまいますが、切れた箇所の根が太かったです)
写真上部が切り株。引きちぎられていますが、半径は1mをゆうに超え、複数の太い直根(写真の下半分)にあります。

日 時:2022年3月26日(土)13:30 ~ 16:00

開催方法:オンライン(最大500名)*学会員以外も聴講OK

参加方法:参加フォームよりお申し込みください。

下記の方々には、名取でご一緒させていただいてきた方も多く、いずれのテーマも名取と関係が深く、最新の研究成果が出てくると思うので私自身も楽しみです。トップバッターですので、あとに続く皆様の発表の話題提供になるよう関連付けながら、10分の発表時間を使ってみたいと思います。オープンに開かれる、無料の学会シンポジウムも珍しく、長時間ですが、ぜひライブで聴いてみてください。(吉田)

発表テーマ(敬称略)
第一部:津波に“ねばり”強い海岸林づくりへの挑戦
・宮城県名取市における100haの津波被災海岸林再生への挑戦(公益財団法人オイスカ吉田俊通)
・海岸林の生育基盤盛土の硬さが植栽木の根系発達に及ぼす影響(森林総合研究所・野口宏典)
・滞水環境が植栽苗木の根系へもたらす影響(森林総合研究所藤田早紀・野口享太郞、東京大学・丹下健)
・津波防災のため整備された防潮堤のり面における自然再生の取り組み:酸性土壌への植林活動とその後の経過(住友林業株式会社筑波研究所渡辺名月)

第二部:広葉樹導入の可能性とその“根張り”
・秋田県における海岸林への広葉樹導入にむけた取り組み(秋田県林業研究研修センター新田響平)
・西日本における広葉樹海岸林の意義と可能性(森林総合研究所大谷達也)
・防災林として植栽された広葉樹やクロマツの根の発達(森林総合研究所太田敬之)
・土を掘らずに“根張り”を評価:地中レーダーの可能性(名古屋大学谷川東子)
総合討論(コメンテータ:名古屋大学平野恭弘)

森林立地学会シンポジウム「詳細ページ」

シンポジウムのお知らせ | 森林立地学会 (shinrin-ritchi.jp)

【貴重な動画50秒】森林総研、秋田県林業試験センター、名古屋大学大学院の先生たちはこのようにコンプレッサーを使ってクロマツの根を掘り出します。名取2014年植栽地にて。2021年11月撮影

今日のブログは、3ヶ月ぶりの名取の現場、そして最後のインターン活動であった1月29日の活動についてお話しします!

1月29日の活動は吉田さん、林さん、大槻さんと僕の友人の5人での活動でした。1月の海岸林の現場は、陽が差していたお昼頃だけを除いて、ひたすらに寒い現場でした!

現在の海岸林は、予定されていた全ての植樹が終了し、今後はクロマツのケアが活動の軸となってきます。その中でも一大作業であるクロマツの間伐が1月よりスタートしました。
オイスカの管理する場所では、”2残1伐”、つまり2本のクロマツを残し、1本伐採するという基準の下、伐採を行なっています。また他の区画では、”3残1伐”、3本残し1本切るというスタイルになっています。これらの異なる伐採量により、クロマツが今後成長するに使うことの出来るスペース、そして日照量が大きく変わります。その違いが残されたクロマツの成長度合いにどの程度違いをもたらすのかを調査により明らかにする事ため、伐採直後である29日に樹高、胸高直径を調査しました!今後の数年間調査することで、今後同じ様な海岸林を作る際の間伐の指標モデルとなる重要な仕事でありました!

また、調査の合間に、自然発生した枯れたクロマツを1本、ノコギリで伐採しました。樹木を伐採する際に大切な事は、樹が倒れる際に自分が下敷きにならないよう考えて刃を入れる事であり、そのためにはその樹の生え方、その土地の形状を根拠に倒木方向を決定します。私が切ったクロマツの場合、幹の曲がり具合から、写真置く方向に樹を倒す判断をし刃を入れました。ノコギリを真っ直ぐに引いて切ることに苦戦しましたが、無事伐採に成功しました!(プロはノコギリではなくチェーンソーを使って伐採しています)


今回は伐採に関連した活動内容となり、今後の活動を見通す事の出来る良い体験でした!

枯れたクロマツを伐採
伐れました~!

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