吉田です。「観測史上最も早い猛暑日」となった6月25日(土)、公募ボランティアの日に宮城だけでなく奈良、首都圏、山形、岩手からも34名の方が、葛・藤と戦ってくださりました。今回も確実かつ、無事に作業を終えることが出来ました。暑さに強い方は「休憩が長い・・・」という感想を持ったと思います。ですが、無事終わるということが最も重要。無事に一日を終えたこと、ご理解・ご協力のおかげです。

 気象庁HPによると、名取(つまり現場に近い仙台空港)の最高気温は34.8度。翌日の河北新報では、県内最高気温は35.1度ということでした。まだ、カラダが暑さに慣れていない時です。大槻さんなど数人以外はデスクワーク、在宅勤務が基本だと思います。今すぐにでもやりたい仕事は山ほどありますが、①日陰に近い場所、②風が通りやすい場所、という考え方で作業場所を決めました。

 今年も春から多雨期に向けてずっと溝切りに明け暮れましたが、今回から作業内容は一転しました。もう、ツルマメ抜き取りや、マツの周りの「つぼ刈り」という作業すべき場所は相当少なくなりました。これからは何年も何年も、葛・藤の刈り取りが大半になるはずです。先日のブログ「草との闘い ~あらためて基本方針を~」でもお伝えしました。

 具体的には、日陰がしっかりあって風通しの良い、空港東の自然砂丘上残存クロマツ林周辺で多くの時間を使いました。①ドクウツギ、マメ科植物に被圧されてクロマツが見えない箇所の下草刈り、②防潮堤の裾や、③生物多様性配慮ゾーンの砂浜からクロマツ林内に侵入した葛の刈り取り、④自然砂丘の植栽地周囲等で藤を探して刈り取り。そして、夕方少しだけ、名取市海岸林中央付近の本数調整伐を終えた場所に移動して、一大コロニー化した葛に手を付けました。この日は東京都立大の川東先生と学生3名が調査活動をしていましたので、すこしだけ見学と説明を聞く機会がありました。この調査内容は、後日学生さんが報告してくれると思います。

 

 

 松島森林総合、宮城中央森林組合も、下刈、除伐、葛・葦・藤・篠竹・ニセアカシア対策に動き出します。「ボランティアはプロの動きを補完する」という原則で仕事をしています。「ここはボランティアで頼む!」という箇所で仕事します。

 「オイスカ=ツルマメ」というイメージを持たれるぐらい、2014年以来、広大な面積でツルマメ、ツルマメ・・・を相手にしてきましたが、もう局所的になってきました。また、駆逐できなくても、背丈が大きく上回った2014年~2017年植栽地(約50ha)では、「相手にする必要がない」存在です。残るは、2018年~2020年植栽地にごく一部、斑状にあるのみです。まもなく卒業です。

 これからボランティアに期待されるのは、葛を筆頭に、葦・藤です。名取では、プロ・ボランティアともに、とくに「藤」を見逃しがちです。コロナ禍の2年で、所々で見るようになりました。撮った藤の写真を見つけられなかったので、現場で説明します。

 葛は、東北の海岸防災林再生地のすべてで、猛烈に繁茂しています。もう、プロ任せでは対処できません。これまで私も、プロと同じ方法の、刈った切り口のみに除草剤原液を1滴程度たらし、自分で目印をつけた場所を、後日見に行っていますが、うまくいく場合もあれば、いかない場合もあります。また、薬を使わず、ボランティアで完全駆逐出来た場所も多々あります。中途半端な仕事がダメなのはもちろんですが、仕事した後の天気にもよるという話も聞きます。

 「一度出てきたら駆逐に7年」「夏には日に1m伸びる」などと言われてしまう葛です。「ボランティアで刈った後、再度出てくるものを、プロにとどめを刺してもらう」という考え方、つまり2段階方式で臨もうと、佐々木統括と話しています。あらためて、仕事し終えた場所の現場管理を、プロにしっかり伝達します。

 6月3日の巡視でこの状態。今年は葛の出足が早いと感じています。今年もプロとボランティアで最善を尽くしたいと思います。

 

 吉田です。この4年ボランティアに来ていただいた約4,000人の多くには、名取市海岸林最北部の市サイクルスポーツセンターの近くでスコップを持ち、「溝切り」にも取り組んでいただきました。(完成は2020年10月なので、大半の方は、コロナ禍で宮城に来れず、建物の存在を見ていないと思います)

 ここでは、植えたばかりのマツが根腐れを起こさぬよう、出来るだけ急ぎつつ、2018年の植栽直後からコツコツと「応急処置」を進めてきました。全長600m×平均幅63.5mを南から順々に。そして6月11日、とうとう端まで辿り着きました。私にとっては完全に記念日。コロナ禍の2020年、2021年は年間ボランティア人数が270人前後と従来の80%減となり、ずいぶん時間がかかりましたが、これまで頑張ってくださった皆様に、あらためて御礼とご報告申し上げます。大小の溝の総延長はとても調べられていませんが、数千mです。

 今年も3月から、マツとマツとの間のM/Sサイズ溝、つるはしを使って排水口を15ヵ所ほど作る仕事、防風柵(幅2m・高1.6m/基)を300mほど6人~8人掛かりで持ち上げて外し、常に雨水でぬかるむLLサイズ溝を修復する仕事などを続けてきました。そのゾーンは盛土が沈下?して凹地のようになっていて、溝を掘ると水が染み出てきます。苔も湿地性植物も生え、クロマツの成長が悪い箇所の一つです。50㎝掘るとグライ化して水色になった山砂の下に、スコップでは掘れない固いものも出てきます。

 「6月下旬からは、溝切りの手を止め、ツルマメ・葛対策に移らねばならないけど、また、終わらないかな・・・」と思っていました。ですが6月11日、今年も男子ばかり(笑)、野武士的に働く化学総連の皆さんが、一気に折り返し点まで詰めてしまいました。無理だろうと思っていたのですが。自分たちで休憩を切り上げてしまうノリの方も多数いて。わたしら、まったく煽ってないんですけど。

 これから秋までは草との戦いに専念しますが、秋以降は、これまで急いだ分、より丁寧に改善を進めていきたいと思っています。そういう場所は、植栽現場全体に斑状に点在しています。まだまだ溝切りは終わりません。

 吉田です。6月4日の海岸林ブログで①を書きました。技術面で印象に残った点を写真報告します。ここの海岸防災林は、東日本大震災の遥か昔、1985年(昭和60年)に着手されています。技術の変遷の跡やオリジナリティー、いまも参考になる点が多くありました。適期に本数調整伐を実施することの重要性を痛感した実踏でした。行政の方から説明を受けながら実踏したわけでなく、誤解もあると思います。ですので、私見を書きつつも、写真中心で。

 名取と似通っているように思う条件は、2012年に行ったとき以来、海沿い最前列のマツが直立していることから、「風の強さ」と思っていました。沿岸部農家の海岸林に対する意識も、似ているような気がします。

 それに対し、明らかに違う条件は、①名取の林帯幅が平均200mに対して、当地は平均30m。林帯幅30mでは、本数調整伐隣接する後背地は、名取が砂地の畑で、黒部川扇状地の最縁部の当地は、肥沃な土壌で多くが水田ですから用地買収はさらに難しいか?②冠雪害の有無。名取は奥羽山脈で湿りを落としてしまうため、晴れていても空っ風に乗った粉雪が舞うほど。ベタ雪は10年に一度あるかどうか。当地は耐雪性を念頭に置いた造林が求められる。③近年の海岸防災林のキャリア・経験値の違い。当地の沿岸は民有地です。したがって県が事業主体ですから、住民の理解促進、用地買収、育苗~植栽~保育技術の試行錯誤、知見と技術の継承に差があるのは当然です。作成するのに相当な年月(費用)が必要な、本数調整伐の密度管理図が富山にはあることを、2013年に当地に行ってくださった清藤城宏先生(元オイスカ緑化技術参事)が突き止めてくれました。

 富山は東京から近いです。再訪の機会も遠からずあるでしょう。その時は、詳しい方から正確な話を教わりたいと思っています。

 吉田です。この春は、腰を据えて現場を歩く時間が取れずじまいでした。ですが、そのなかでも発見がいくつか。林久美子課長は、クロマツの中を歩く見知らぬおじさんに声をかけ、「貴重な水生植物が、滞水している排水溝にないか見に来ている。何度も何度も来ている。まだ見つかっていない」と聞いたそうで。

 吉田です。

 岩手県陸前高田市「津田松原」(8haの市有林)の「奇跡の一本松」の根(実物)が、一般社団法人倫理研究所 紀尾井清堂(東京都千代田区紀尾井町3-1)で2023年2月9日まで展示されています。入場無料で、予約制です。詳しくはコチラより。https://www.rinri-jpn.or.jp/news/16815/

 私たちオイスカ東京本部海岸林チームは、全員見に行きました。再生している海岸防災林を、この松のようにしっかりした根を持つクロマツに育てたいと考えています。一人でも多くの方に直接ご覧いただけたらと思い、ご紹介させていただきました。

 ちなみに、「奇跡の一本松」は樹齢173年、樹高27m、胸高直径87㎝、根周り半径は最大10m、根の深さは2m、アイマツ(クロマツとアカマツの混種)です。

 

  

たわわに実った……

2022年6月16日( カテゴリー: 現場レポート )

本部・啓発普及部の林です。

今回現場視察中に私の目に留まったのは……

サヤエンドウ!!
……ではなく、エニシダの実(種というのでしょうか)。
収穫したものが置いてあればサヤエンドウだと思ってしまいそう。

こちらはまだ花もついていました

こんなにたくさんの実をつけているのだから、
これが食べられたらいいのにと思いましたが
(何でも食べたがる、食い意地のはった人間なのです……)
調べたところ、「木全体に毒がある」と……。
残念。

そういえば、日本三大有毒植物の一つである
「ドクウツギ」の実も色づいてきていました。
(写真は一昨年7月に撮影したもの)

おいしそうな色や姿をした植物やきのこがたくさん生えている現場ですが
愛でるだけで、口に入れない方がよさそうなものばかりです……。

3年ぶりのボランティア!②

2022年6月15日( カテゴリー: 現場レポート )

引き続き、ボランティアレポートです!

6月11日の午後からはANA労連の方々が75名も!
初めての方も多かったですが、しっかりと溝切りをする意味とやり方を理解してもらったうえで作業開始。2018年に参加してくれた女性は「ツルマメだと思ってましたぁ…」と予想外の力仕事に驚いた様子でしたが、慣れないスコップに悪戦苦闘しながらも一生懸命取り組んでくれました。(2018年の作業はツルマメの抜き取り、2019年は溝切りでした)

午前に続き、スコップが入らないところもちらほら…。自然とツルハシ専門になってしまったOさんがあちらこちらで頑張ってくれていました。ツルハシお願いしまーす!の声で駆け付けたOさんを見て、「ツルハシさんって名前なのかと思った…」という方が現れるくらいでした…笑

ツルハシのOさん ありがとうございました!

作業も終盤に差し掛かったころ、林がツルマメ繁茂エリアを発見し、ツルマメ隊を結成。力仕事が辛くなってきた方やほかの作業も体験してみたい方が参加して、ツルマメの抜き取りが始まりました。ツルマメがまだ小さく、クローバー繁茂地帯でもあったため、最初はどれがツルマメか分からない…と言っていた方も段々と見分けられるようになり、「これならずっとやっていられる!」との声も聞かれました。(ごめんなさい。写真撮り忘れました…)

1度分かってしまうと、なぜかすぐに目に入ってきてしまうのがツルマメの悪いところ(いいところ?)。あちらこちらから主張してくるから困ったものです。今回溝切りをしたエリアはツルマメがたくさん。まだ小さいので、あまり目立ちませんが梅雨の晴れ間にぐんぐんと伸びることでしょう…。残っている分は7月に来る予定のボランティアの皆さん、よろしくお願いします!

ANA労連の皆さん、お疲れさまでした!次の日に支障が出るほどの筋肉痛になっていたらすみません…。これに懲りずにまた来年もぜひご参加ください。お待ちしてます!!

海岸林は再会の場

2022年6月14日( カテゴリー: 現場レポート )

こんにちは、浅野です。

海岸林の現場では思わぬ再会がよくあります。
これまでにも学生時代の同級生や家族、親戚との再会に「こんなところで会えるなんて…」と驚く様子をお伝えしてきました。

6月11日にボランティアに来てくれたANA労連の方々の中にはこんな再会がありました。

ANA労連の正式名はANAグループ労働組合連合会、ANAグループそれぞれの会社の労働組合が加盟しています。
写真のお二人の胸元に貼ってあるラベルには違う組合の名前が…。気になったので声をかけてみると、「元々同じ会社の同期だったんですけど、会社が分かれちゃって…久しぶりに会ったんです~」とのこと。お互い参加していることを知らず、当日顔合わせの際に気が付いたのだとか。休憩中には防風垣に座って話に花を咲かせていました。

海岸林に来ると思わぬ再会が果たせるかも!ぜひ皆さんボランティアにお越しください!!


3年ぶりのボランティア!①

2022年6月14日( カテゴリー: 現場レポート )

お久しぶりです。浅野です。

今回は3年ぶりに!化学総連48名(6/10PM~6/11AM)とANA労連75名(6/11PM)のボランティア受入れということで、3か月ぶりに名取に出張してきました!
(久々の大所帯に受入れってどうやってたっけ?とちょっと考えてしまいました…)

前日までの予報は曇りのち雨。6月10日、予報通り午前中から曇っていました。
吉田、林の2名がバスに同乗して説明をすることになったので、私は指導者として来てくれた地元リピーターの皆さんと作業場所に先回り。作業をしつつ「このぐらいだと作業日和なんだけどねぇ」と言いながら到着を待っていると、お日様が…。バスが到着したタイミングで晴天。
晴れ男(参加者は全員男性でした)がたくさんいたみたいです。笑

急に晴れてきて暑かった…さすが晴れ男たち!

作業は防風垣を持ち上げて、溝を掘り下げる・溝の雑草をひたすら抜く、繁茂したクズの駆除などでした。吉田班・林班・浅野班の3班に分かれて開始。さすがのパワーとスピードで、予定していた作業を終え、プラスαの作業もしていただきました!

2日目も雨に降られることなく、ひたすら溝切りに徹していただきました。場所によってはスコップが入らないほど固い所もありましたが、その道のプロかと思うほど手慣れた様子でツルハシを使い、作業を続行。終了後の溝を見て、吉田も「怒涛の働きっぷり。会心の出来」と大絶賛でした。

「午後も残って作業します??」という質問には誰も首を縦に振ってくれませんでしたが…また来年もお待ちしてます!!

Photo by 吉田  写真を撮ってる人も一緒に撮るのが吉田流…?

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