空路、仙台空港に降りるときの機窓から見える海岸林
吉田です。4月末から、大阪での支援者対応、オイスカ四国・西日本研修センターの手伝いなどに出て、5月12日、久しぶりに空路で宮城に入りました。本当はすぐに動画でお伝えしたかったのに、できませんでしたので、遅くなりましたが写真だけでも・・・






仙台空港の滑走路には、海を通らずに山側から入る時もありますが、海から入ることが多いように思います。ここまでの写真は、山を通って海に出るまでの写真です。その後、海の上で旋回して、滑走路に向かいます。
旋回し終えて、名取の海岸が見えてくると、あっという間です。残念ながらその動画を載せることが出来なかったので、文字だけで。動画は「吉田俊通」のFacebook(5月16日)にありますが、1分以内で終わります。
両側の機窓から見えるのが、名取市海岸林(全長5㎞)です。わずかな時間ながら、楽しんでもらいたいなあと思います。下の写真は、海から入った時、進行方向に向かって右側の機窓から見た、名取市海岸林の北半分の写真です。もし、いい写真や動画が撮れたら、kaiganrin@oisca.orgまでご提供いただけたら嬉しいです。




治山治水、河川利用、農業用排水等の水利用に関する研究成果等をまとめた「水利科学」誌No.375(2020年10月)に掲載された、佐々木廣一オイスカ名取事務所統括の論文(全21頁)がJ-stage(文部科学省所管の国立研究開発法人科学技術振興機構が運営する電子ジャーナルの無料公開システム)に公開されました。育苗・植栽・保育について詳細に記述されています。
名取市海岸における海岸林再生植林等の取組み ──実行方法と生育状況── 佐々木 廣 一


宮城県外のボランティアが戻り始めています
吉田です。コロナ禍の2年あまり、ボランティア・プロともに宮城県民中心で続けることが出来ました。やるべきことも精一杯出来ました。ですが、もっとやりたいこともありました。
今期は、プロジェクトを深くご理解・ご支援くださってきた各地の労働組合や、広島、佐賀、愛知、富山などオイスカ地方組織の来訪やツアー決定の動きがあり、5・6・7月の間で早くもほぼ全県から名取に来て下さる予定です。もう一言加えると、男女バランスも申し分なく、年齢も10代から80歳代まで。
松の上方生長は、今期も申し分ありません。いまは、上に伸びる時期です。無数の穂が、ヒョロヒョロっと、でも勢いよく、空に向かっています。雄花も雌花(松は雄雌同株です)もちょうど咲いています。
この夏は、クズ(葛)との戦いになります。プロの前に、ボランティアが先行する形の、2段構えです。「1度出てきたら、7年覚悟」の類の難敵です。1発で駆逐完了!ということもたまにはあるのですが。
とくに久々来たリピーターの方には、ガンガン働くだけでなく、散策しながら味わう時間を、出来るだけ取ってあげたいと思います。前に来た時は、どこで仕事をしたか、わからないかもしれませんが、現場を味わって、楽しんでいってもらいたいですね。頑張るだけでなく。
「一期一会」の気持ちをもって、ボランティアの皆さんを心からお待ちしようと思います。宮城県などの皆さん、京セラ労組、カネボウ労組の皆さん、ありがとうございました。今週末の化学総連、ANA労組連合会の皆さん、楽しみにお待ちしております。




後世に伝えるべき治山60選 ~富山県入善町海岸防災林①~
5月31日と6月1日、オイスカ富山県支部活動報告会に参加する出張の際、2012年12月に訪問して以来2度目の、入善町海岸防災林を再訪させていただきました。オイスカ緑化技術参事の清藤城宏先生、元日経新聞論説委員の小林省太アドバイザーもここを訪問しています。本数調整伐の伐採計画を検討する際、海岸林最前列のクロマツの直立具合(風の影響度合い)などからも、富山県の指標が参考になると考えました。入善町以外にも富山の水循環システムなどをご案内いただいた北陸電力(株)新川支店長で元オイスカ富山県支部事務局長の荒木さん、突然の電話質問にお答えくださった県職員のみなさまに御礼申し上げます。
この地は、東京大学名誉教授でオイスカ顧問の太田猛彦先生が選定委員長となった「後世に伝えるべき治山60選」(林野庁)https://www.rinya.maff.go.jp/form/kouseinitutaeru.htmlに選ばれている場所でもあります。また、「日本三大浸食海岸」で、明治時代から1世紀で200世帯が移転せざるを得なかったという論文もありました。海岸近くまで田畑が張り出す形となり、昭和に入って潮害(塩害)にたびたび見舞われ、昭和60年(1985年)から海岸防災林造成(全長7㎞、林帯幅約30m、計21haの計画)が本格着手して今に至ります。海岸林が形成される前、「稲の平均反収の50%の収量」が、海岸林から30m~60m地点では「80%に回復」し、60m~90m地点では「100%に回復」したという論文もありました。目に見える成果を上げたことや、2014年の「世界で最も美しい湾クラブ」認定(富山湾)、東日本大震災で海岸林が再考されたこともあったのか、いまも海岸林の拡幅・拡張が続いていました。造成の途上で、農地に対するカメムシ害、冠雪害、2014年ごろをピークにマツクイムシ被害もあったようです。
植栽から20~30年の海岸林はあまり見たことがありません。先を行く先輩を見に行くような気持ちでした。あまり長く書いてもいけないので、写真でご容赦いただくことに・・・10年前の、2012年撮影の写真も使い、植栽年度が新しい現場から順にお見せします。長い時間をかけて、継続されている事業だということがお分かりいただけたらと思います。



















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吉田です。2022年3月26日に実施された森林立地学会主催のオンライン公開シンポジウム「津波にねばり強い海岸林づくりのこれまでとこれから」の模様を録画した動画が公開されました。
盛土の硬さ、滞水、根系発達の状況、樹種選択、特殊土壌などが発表の焦点で、いずれも名取の現場と関連する内容でした。私自身は現場での実践を話すことを期待され、また、順番がトップバッターでしたから、焦点となる内容を織り交ぜながら発表しました。全国の約140人が聞いてくださったようです。「一人だけあちらの世界の人だ」とcメールをくださった仙台空港横に本社がある航空燃料会社「パシフィック」の鈴木社長をはじめ、海岸林リピーターボランティアのお名前も何人か。わざわざ2時間半ものシンポジウムを聞いて、理解したうえで汗をかく方たち・・・じつは、とても嬉しかったです。これからは、松くい対策も皆で学びながら・・・と考えています。ぜひご覧ください!
各講演を直接ご覧になる場合は下記の時間をクリックしてください。
1:37 会長挨拶
6:53 趣旨説明(森林総合研究所・小野賢二) ←視聴をお勧めします。全体理解のために。
15:50 宮城県名取市における100haの津波被災海岸林再生への挑戦(公益財団法人オイスカ・吉田俊通)
28:10 海岸林の生育基盤盛土の硬さが植栽木の根系発達に及ぼす影響(森林総合研究所・野口宏典)
40:14 滞水環境が植栽苗木の根系へもたらす影響(森林総合研究所藤田早紀・野口享太郞、東京大学・丹下健)
51:59 津波防災のため整備された防潮堤のり面における自然再生の取り組み:酸性土壌への植林活動とその後の経過(住友林業株式会社筑波研究所渡辺名月)
1:10:09 秋田県における海岸林への広葉樹導入にむけた取り組み(秋田県林業研究研修センター新田響平)
1:21:55 西日本における広葉樹海岸林の意義と可能性(森林総合研究所大谷達也)
1:34:03 防災林として植栽された広葉樹やクロマツの根の発達(森林総合研究所太田敬之)
1:45:12 土を掘らずに“根張り”を評価:地中レーダーの可能性(名古屋大学谷川東子) ←6月名取で実施
2:04:59 総合討論(コメンテータ:名古屋大学平野恭弘)
詳細はこちらをご覧ください。https://shinrin-ritchi.jp/symposium2022


今年5月のボランティアの日の前に、いつものように100haを大まかに巡視をしていたら、防潮堤沿いの2018年植栽地で、枯れたばかりのマツは濃い茶色。点々と。頭を抱えるような大きな被害数ではないですが、見逃すはずがない数。4月は枯れていなかったのに・・・
枯れているマツの根元径は親指ほど。これまでも数えるほど、もっと少なかったものの、突然枯れることがありました。地際からほんの数㎝の箇所の幹の皮が、ぐるっと1周失われて、細くなっています。半分だけかじって変色したものの、枯死に至らないという例もありましたし、植栽後1・2年では、こういうことはありませんでした。
再生の会で、被害数を調査して、殺鼠剤を撒いてくださることになりました。2020年春は、アカシンクイムシの害が植えて1年後の2019年植栽地で発生した時も、即出動していただき、私も一緒に作業しました。どのように撒いたのか、次の出張で聞いてみたいです。ランダムに撒くのか、囲むように撒くのか。どうなのかなど。
ほかの調べモノで、名取市農林水産課のHPを見ていたら、「野ねずみ一斉駆除の実施について」というページに偶然ヒットしました。
「市内の農地(特に水田)において、野ねずみの一斉駆除を行います。日程 令和4年3月6日(日)管内一斉予定※当日、雨天の場合は、翌週の3月13日(日)に延期薬剤は、「メリーネコりん化亜鉛」(殺ソ剤)を使用します。(5gの錠剤が入った小袋)実施から2週間は飼い犬などが薬剤を口にしないように注意してください。」(名取市HP)
ちなみに、国による名取市海岸林での生物多様性調査リストでは、アカネズミと、和名不詳、ジネズミ(モグラ目トガリネズミ科)の3種が確認されています。現場で見るネコはいつも作業道脇の溝を狙っていますが、私自身は夜に1度見ただけです。キツネの太り方などを見ても、たくさんいるのは間違いないようです。植栽後4・5年経って根元径が太くなれば、食害に会っても負けないと思っているので、一応心配したとしても、あと数年のことかと思っています。








本部・啓発普及部の林です。
4月末から5月12日にかけてオイスカ四国研修センターに滞在してきました。
(吉田も8日まで滞在)
2年間、海外の研修生の受け入れができずにいましたが、今年度はインドネシア、マレーシア、フィジー、メキシコ、モンゴルから9名の研修生が来日。農業をはじめとする地域の発展につながる技術の習得などのため、来年2月まで研修します。

こちらのセンターのA副所長は、2月末に行われる予定だった大阪マラソンのチャリティランナーにエントリーをしてくれていました。中止になって残念だったのか、それとも走らなくてよくなった安堵感でいっぱいだったのかを聞き忘れてしまいました……。
ちょうど私と吉田の滞在中、その、A副所長のもとに荷物が届きました。開封すると中から出てきたものは……

なんと、完走した人がもらえるフィニッシャータオル……。
「走っていないのに……」と複雑そうなA副所長。

この後、完走メダルを首にかけ、苦笑いをしていました。
私はと言えば、「きっと多くの人がこれをメルカリに出しているに違いない」と思い、
チェックしてみるとたくさん出てきました!! そうですよね、走っていないのにもらっても。
(ちなみにメルカリ寄付では、四国研修センターをはじめとする国内研修センターが取り組んでいる
サーキュラーエコノミーの推進活動への寄付ができます! ぜひご協力くださいませ!)
ちなみにA副所長は2016年に吉田とおそろいの靴で大阪マラソンを走った人物です!
A副所長、来年こそは開催されるといいですね。完走してフィニッシャータオル、もらいましょう!
5月14日(土) ボランティアの日 レポート
今日の活動には、30名を超えるボランティアの皆さんが参加してくださいました。
中には、3年ぶりに関西から飛んできてくださったTさんも!(後ほどご紹介します)
地元からの参加が増えていることに加え、ご夫婦での参加や家族連れといった参加者も多く(今回は6組も!)いらっしゃるのもうれしいこと。大学生のI君は、早起きして、自転車で現場に来てくれました。

作業はもちろん“溝切り”!
……でも、朝一の作業は「ウォーミングアップ」と称した草刈りから。

植栽地から排水した水が流れ込む「遊水地」となる作業道に、かなり草が茂ってきているので、これを刈りとってもらいました。
約500mの作業道で、2グループに分かれての作業です。
「ウォーミングアップというにはキツイ……」
「地味に足腰に来る……」
そんな声が漏れ聞こえてきました。
溝切りは、鹿島建設の親方指導による設計係と大溝を掘るベテランぞろいの精鋭部隊、そして網の目状に溝を掘っていくチームとに分かれて作業開始。
掘りやすい砂地のところと、石がゴロゴロしていたり、チガヤ系の根が土の表面に張り巡らされたりして、硬くて掘りにくいところとが存在。それでも黙々と堀り進めてくださる方が多く、「やっぱり、みんな溝切りが好きなんだなぁ~」と。

午後は、今年本数調整伐をしたエリアを散策。枝と枝が絡み合うように密集した本数調整伐前の状態の時、枝をかき分けて中に突入していった経験のあるボランティアさんは、1列切っただけで、すいすい歩けるようになった現場に驚いていました。
だいぶクズが芽を出してきています。この夏はクズとも戦わなければならないかもしれません……。
最後はまた溝切り作業。本当に皆さん溝切りが大好き(笑)
皆さん疲れているだろうからと早めに「終了!」の声がかかりましたが、草刈りに使った鎌が1本足らず、みんなで大捜索。残念ながら発見されず、次回の作業の時には鎌を探しながら草刈り、溝切りをしてもらうことになりそうです。道具管理の方法に改善が必要なようです。
最後に! 今回関西から飛んできてくださったTさん。プロジェクトに支援をしてくださっていた企業の社員だったTさんは、企業が企画したボランティアに何度も参加してくれていましたが、その会社を離れた今も個人でこうして現場に足を運んでくれています。
黄色のシャツに青いパンツ。上下が逆ながらウクライナ国旗になっている!ということに、ご自身も最初は気付かなかったそうですが、狙ったわけでもないのにこうなってしまう偶然にびっくり!
帰りの飛行機まで時間があるからと、解散後の片付けや追加の現地調査にも暗くなるまでお付き合いくださいました。Tさん、ありがとうございました! また来月もお越しくださるとのこと。また溝切り、よろしくお願いします。

海岸林で鳥見ing(2022/4月後半~5月前半)~期間限定情報 その3~
地元のボランティア、三浦隆です。前回の続きです。
その3.他の鳥、虫情報です。

カラスの仲間のオナガ(写真)も確認できました。時々声は聞いていたのですが、姿は久しぶりでした。黒松林で繁殖していると推測しています。
詳しくはありませんが、昆虫類も活発に動いています。
セセリチョウの仲間(写真)

植林地での蝶も、時期により見ることができるものが替わります。今回はセセリチョウが写真に撮れました。次に何が現れるか楽しみです
オオズアリの仲間(写真)

全長約3㎜のアリが、多数作業道の車の轍に集結していました。実は、轍に沿って巣を構えている様です。歩いているとかなりの数を見ることができます。車が走ったら壊れるのですが、それでも巣を構える理由は何でしょうか?虫眼鏡で見て推測するのも楽しいものです。
海岸林で鳥見ing(2022/4月後半~5月前半)~期間限定情報 その2~
地元のボランティアの三浦隆です。前回の続きです。
その2. 繁殖時期のさえずり情報
鳥は繁殖時期になると♂が♀とつがいになるので、自己アピールや他の♂に対して縄張宣言するなど、結構通る声で鳴く「さえずり」と言う鳴き声を出します。今回それをアオジ、ウグイス(以上写真)、ホオジロ、ホオアカ、ヒバリ(以上声だけでした)で確認できました。
いずれもスズメ大~スズメより一回り大きな鳥ですが、今の時期限定で、松の枝先で大きな口を開け鳴いていました。晴れの日、青空バックでのさえずりは気持ちのいいものです。おそらく5月いっぱい、それも朝早いほど、頻繁に聞くことができると思います。ボランティア作業の休憩時に、耳を澄まして聞いてみて下さい。
次回はその3.他の鳥、虫情報をUP予定です。

