本部・広報担当の林です。
一昨日、昨日と宮城県に行き、名取市とその周辺をまわってきました。
いろいろなところで復興・追悼に関連するイベントや慰霊祭が執り行われていましたし、
ボランティアの方々が活動している様子も見られました。
一年前、地震が発生した2時46分、私も冷たい風が吹き抜ける海岸林で黙祷を捧げました。
現在、プロジェクトで活動している方々は、いつも明るく前向きです。
津波から逃げ、高台や家の屋根の上で救助を待つ間、彼らが直面した寒さ、恐怖について
私は彼らから聞いたことがありませんが、聞いたとしても私には想像のできないものだろうと思います。
今日も育苗場では防風ネットの取り付け作業が行われています。
冷たい強風から種や土を守るためになくてはならないものだと、
自分がその風に吹かれ、改めてその必要性を実感することができました。
東京で寒さも重労働も共有せずにいる自分。
私が東京にいてできることは何だろう?
より多くの人に海岸林の重要性、その再生に向けた活動について知ってもらうためにできることは?
そんなことを改めて考えさせられた3.11でした。
クロマツの種が届きました!
3月3~4日に北原東育苗場で防風ネットの設置作業を行いました。
津波で建造物や木々が流されてしまったため、この畑の周りには、風を遮るものがありません。
仙台平野は特に冬から5月にかけて北西からものすごい強風が吹くことがあります。
畑の土・播いた種が飛ばされないようにするため、また芽を出したクロマツが寒風害を受けないために防風ネットを建てる必要がありました。
スーパーハウスに引き続き、防風ネットの資材は全て前田建設の寄附なのです。
それだけでなく、東京と仙台などから30人の前田建設社員ボランティアが設置を手伝ってくれました。
前田建設はこれまでも各地でボランティア活動を行っており、陸前高田市でガレキ撤去などをやってきたそうです。
今回は富山から来た社員の方もいたようで、本来は休日にもかかわらずこれだけの人がボランティアでやってくることに感心しました。
作業の様子などはまた報告します。
しげさんのチャレンジを応援してください!
クロマツお助け隊隊長Sさんの息子「しげさん」が、こんな取り組みを始めました。
しげさんのチャレンジ
これは、JustGivingという寄附サイトで「しげさん」が呼びかけているものです。
苗木づくりをがんばるお父さんの誕生日に、140本分の苗木代をプレゼントするというチャレンジです。
「しげさん」がこの取り組みを始める前に私は「しげさん」に会って話を聞きました。
「しげさん」は名取市の北釜で育ち、高校卒業後に神奈川の大学で学び、昨年の春、社会人になったばかり。
子どもの頃、マツ林で野球をしたり、肝試しをしたり、本当に海岸林が身近なものであったことを話してくれました。
そして、あの日「しげさん」は長野にいて、テレビで津波の映像を見て、家族の無事を願っていたそうです。
全く平穏無事に地震発生時刻を過ごした自分と、見覚えがある場所が津波に襲われているというテレビの中の
世界とで訳が分からなくなってしまったこと、そして、家族と連絡が取れるまでの2日間のことはあまり覚えてい
ないのだと話してくれました。
「しげさん」のように、ふるさとを離れていた人たちは、津波から命からがら逃げて生き延びたお父さんたちとはまた
違う苦しい思いに直面したのだと初めて知りました。後から「しげさん」の話を思い出していっぱい涙が出てきました。
でも「しげさん」は笑顔でこんなチャレンジを始めました。
「しげさん」のこの原動力はがんばるお父さんの姿とそんなお父さんに対する「しげさん」の思いだと思います。
皆さん、「しげさん」の思い、一緒に応援してください!!
2月29日、フォーリンプレスセンターが主催する外国プレス向け「震災1年 宮城沿岸部プレスツアー」があり、
2月4日に続いて多くの外国記者の方が海岸林再生プロジェクトの現場を訪れました。
今回はイギリスBBC、中国、シンガポール、台湾、ベトナムなどから合わせて20人程やって来ました。
「自宅はどこにあったのか」
「農業をあきらめようとは思わなかったのか」
今は沼地でクロマツのないところを指して「ここもマツ林だった」と説明すると、記者の方々は驚いた声を上げていました。
また、オイスカからは渡邉忠副理事長や清藤城宏緑化技術顧問も同行し、クロマツの特性や歴史なども含めたプロジェクトの説明を行いました。
春が近づいてきましたが、まだまだ冷たい蔵王おろしが吹きつけます。
これから本格的にスタートする育苗作業に携わる人たちが、冷たい風をしのげる休憩所が必要なのです。
「海岸林再生プロジェクト」はいろいろな人に支えられて動いています。
プロジェクトを支えてくださっている「クロマツお助け隊」紹介ページもオープンしました。
ぜひご覧ください。→→隊員紹介
ここには登場していませんが、お助け隊の一員である建設会社の担当者の方からこんなお話を聞きました。
3月末から4月上旬にかけて、仙台空港周辺の排水作業に社員さんを派遣されていたのだそうです。
その後社員さんから集めた義援金は、仙台空港のある名取市に送りたいと考えていたところ、同市でオイスカが行っているこのプロジェクトのことを知り、支援を決めてくださったとのことでした。
3月末はまだ被災直後で、社員の皆さんもいろいろなご苦労があったのではないかと思います。だからこそ自分たちが見てきた名取の復興をと願い、それが義援金という形になったのでしょう。
お話を聞き、皆さんの思いが詰まったお金で堆肥を買い、種を買い、苗作りが始められることをうれしく感じると同時に、どの寄附金にも被災地の復興を願う人の思いがいっぱい詰まっていることを忘れることなく、プロジェクトの成功に向かってがんばろうと気持ちを引き締めたのでした。
育苗がはじまります!!
この春からクロマツの種蒔きがはじまります。
クロマツの苗を育てる畑を私たちは「圃場(ほじょう)」と呼んでいますが、圃場は2ヵ所あります。
1つは、名取市の海岸近くで、津波をもろにかぶった場所です。
もう1つは同じく名取市内ですが、海岸から7~8km離れた津波の被害がなかった場所です。
2ヵ所で苗を育てる理由の1つが、リスクの分散です。
どちらかの圃場でなんらかの悪条件が生じて、苗の育成が困難になった場合に備えます。
クロマツの育苗は一筋縄ではいかない上、これらの圃場での初めての育苗なので2ヵ所で様子を見ながら育てていきます。
海岸に近い方の圃場は、津波に土を持っていかれたため、遠くの山から持ってきた土を盛ってあります。
しかし、このままでは土の養分が少ないため堆肥を加えます。
先日4tの堆肥が運び込まれました!
着々と準備が進んでいます。












