堆砂垣ってなんだろう??

2012年8月16日( カテゴリー: 本部発 )

皆さん、海岸でこんなものを見たことがありますか?

これは浜松の中田島砂丘にある堆砂垣(たいさがき)です。
設置してある看板にはこう書かれています。
風によって飛ばされた砂が堆砂垣に当たると、風の力が衰え、砂が堆砂垣の下に積ります。
砂が増えると堆砂垣をその上に追加し、砂丘を高くしていきます。
このように堆砂垣は飛砂を抑制し、砂丘がやせることを防ぐ、大切な施設です。

子どもの頃に見た中田島砂丘にはこんなものはありませんでした。
景観が変わってしまったことは少し残念でしたが、
止めることができない海からの強風による飛砂をこんな工夫で防いでいるんだなぁと感心しました。
風力発電の施設もたくさんできていました。
風から負の影響を受けるだけではなく、しっかりと発電をして恩恵も受けています。
人間の知恵ってすばらしい!!
「海岸林再生プロジェクト」も知恵をしぼっていいものにしていきたいと思いました。

視察で考えたこと

2012年8月15日( カテゴリー: 海岸林あれこれ )

先日帰省の折、地元の海岸林を視察してきました。
学生時代、毎年足を運んだ海岸や大人になってからも行ったことがある
観光地近くなどを中心に見てきましたが、今まで松林があることを
意識したこともじっくり観察したこともなかったことを反省しました。
ここは新たに植えられた木のほとんどが枯れていました。
目の前には波の荒い海が広がっています。
立派な防風垣があってもなお海からの潮風からのストレスは相当なものなのでしょう。
また、松は育っているものの間伐や下草刈りなどの管理作業が間に合っていないところも多くありました。
 
 津波で被災した海岸林を再生しようという私たちの活動に多くの
方が賛同し、協力を申し出てくださっていますが、実は被災地に限らず、
全国の海岸で人の手を必要としていることを感じます。
まったく海岸林がなくなってしまった被災地での海岸林再生は
緊急性の高いものですからまず取り組まなければいけないものですが、
このプロジェクトを通じて海岸林のことを知り、他の地域の海岸林が直面している
問題解決に向けてより多くの人たちが関心を持ち、協力したいと
感じてもらえるようになったらいいなぁと思いました。

資料・論文データ集

2012年8月14日( カテゴリー: 本部発 )

皆さんに海岸林のことをもっと知っていただこうと
参考資料のリンクをアップしました。
ぜひご活用ください。
資料・論文データ集

イラスト

2012年8月13日( カテゴリー: 海岸林あれこれ )

ある海岸林を視察した折、「飛砂防備保安林」と書かれた看板にこんなイラストがありました。

なんと分かりやすいのだろう!と感心しました。
海からの風や高波、塩分などを枝葉を広げて松が防いでくれているイラストです。松の役割が一目瞭然です。
まさにイラストにあるように松が最前線でがんばり、時に犠牲になり、内陸での人々の生活を守っているのです。
最前線の松が赤く枯れたようになっているのを見て「あ~がんばってくれているんだなぁ」と感謝の気持ちがわいてきました。

2010年11月に初めて抵抗性クロマツ種子1kg(苗木2万本分)が採取された


2011年5月26日。
チーム海岸林一行は宮城県林業技術総合センター(大衡町)のマツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ母樹園を視察した。
すでに、我々の関心は育苗にあった。
しかも、宮城県産のマツノザイセンチュウ抵抗性種苗の供給力がどのぐらいあるのか。
我々を非常に好意的に迎えていただいている感触を感じた。
 

県により毎年秋に採種され乾燥の後、種子を採種。そして春に種苗組合に払い下げられる


量は少ないものの、幸いな事に宮城県産抵抗性の開発は成功したばかり。
しかし、やはり種子、技術を持った担い手ともに不足 は明らかであった。
抵抗性クロマツ母樹園を見るのは初めて。
オイスカの清藤参事が球果(松ぼっくり)を指して
『来春、この中の種を我々が蒔く』と言ったのを聞き、実感が湧い た。
以降、ここには皆で代わる代わる足を運ぶことになる。
 

2010年11月に採種された種子で育てた苗を我々の畑にも1,000本だけ払い下げていただいた

フィリピン・ネグロス島で1ヵ月間勉強してきました秋山です。
今回はフィリピンの木についてのブログを書いてみました。
ネグロス島にはカンラオンと呼ばれる大きな火山があります。
その山の中腹にとても大きな木がありました。

日本ではまず見られない?ような幹の太さで
「樹齢1000年くらいかな?」と思っていましたが、
現地の人は「300年くらいだよ」とおっしゃっていました!
1年を通して暖かいフィリピンでは木の成長もだいぶ早いのでしょうか?
日本の樹齢300年の木と比較したりして調べてみようと思います。

いつも「海岸林再生プロジェクト」にアドバイスを下さる専門家の
太田猛彦先生(林野庁『東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会』座長)
が本を出版されました。
タイトルは「森林飽和」。
日本の国土は森林が飽和状態であると。
日本の山がはげ山だった話や、緑が回復した話など
日本の森の歴史をたどることができる一冊です。
その本の第一章「海辺の林は何を語るか」では海岸林についても
触れられていてなぜ海岸林が必要なのかもわかりやすく解説されています。
ぜひご一読ください。
NHKブックス
「森林飽和」~国土の変貌を考える~
太田猛彦
 

サポート隊誕生!

2012年8月7日( カテゴリー: 本部発 )

「海岸林再生プロジェクト」は多くの方に支えられていますが、この度全日空さんの中に、社員の自主的な提案により「サポート隊」が誕生しました。
先日、羽田空港で行われた活動説明会に参加してきました。
大阪や福岡からも説明会に駆け付けてくれたメンバーもいました。
現場での植林など、具体的な活動がすぐにできる状況にはない中、当面の活動は募金や啓発活動になると思いますが、若いメンバーが中心になって盛り上げていってくれることでしょう。
頼もしいサポーターの誕生、とてもうれしいです!

 
 
 
 
 
          プロジェクト担当の吉田がメンバーにプロジェクトの説明を行いました

2011年4月4日、林野庁長官に面会して
海岸林再生への協力の申し出に関する説明を行った際、
半年以内に海岸林被災の実情と再生を呼び掛けるための
海岸林『シンポジウム』開催を提案した。
その場で『できるだけ早く』との逆提案をいただき、震災から4ヵ月の
7月11日の開催を決め、その日から会場探しを開始、突貫工事に入った。
ここで短時間で最も得たい成果として、
人脈を広げることと、心から応援してくれる人を探す必要性があった。
そして、長期間の目標として、そもそも何で海岸林が必要なのか、
ということを多くの方にご理解いただくことを重視しようと考えた。
この事に徹底的にこだわる長い道のりの始まりとなった。
海岸林は東北だけにある訳ではない。日本中が海岸林に守られている。
オイスカの立場から言えばマングローブもある。
私を含めて、存在理由を薄々でも理解している人は少なく、
『白砂青松』(はくしゃせいしょう・はくさせいしょう)を読めない人は多かった。
マツで海が見えないから全部伐採してくれとクレームを付ける人もいるそうだ。
全国で保全に取り組む団体や技術者は苦労しているはず。
木を植えるだけで良いのではない。仕事の意味を深く考える必要があった。

林野庁 皆川長官と面会

2011年4月21日、航空調査の朝、新木場の東京ヘリポートに着いた。
スウェーデン人のパイロット、整備士に搭乗の目的と希望する経路に加え、どのように飛んで欲しいか伝えなければならなかった。
私は英語を話せない。オイスカで一番駄目なのは間違いない。前の日に『海岸林』だけは何と言うかだけは調べた。でも何故か通じた。
最も強調し、希望したのは、波打際に沿って、その外側を飛んで欲しいこと。名取市上空を低空、スローで飛んで欲しいことと、その際ドアを開けて撮影すること。我々が何をしようとしているか、最後までしっかり聞いてくれた。
ミッションを伝え切れた手応えがあった。多分エリクソンのご担当には、飛び方や撮り方は別として、目的を伝えてあったので、会社として予め指示してくれたのだろう。

給油のため一度福島のヘリポートに降りる。東北の寒さを感じた。普段ビデオなど使わない。この時間も撮影の練習をした。
まさに千載一遇。ワンチャンスをモノにしなければならない。現地入りは目前。絶対に使える画像を撮る。パイロットが気合いを入れてくれた。
太平洋が見えてきた。地図は頭に叩き込んでいた。操縦席のモニターも見ながら、宮城最南端の山元町に入ろうとしている事がわかった。狂いなくリクエスト通り。

眼下には津波で壊滅した荒野。あっという間に海岸に出て機首を北に向けた。ほぼ全ての松が西に向かって倒れている。観察は度外視した。役に立つ画像を収める事に専念した。

ヘリコプターは速い。すぐに仙台空港が見えた。段取り通り150mの低空。撮影を動画に切り替える。ドアが開く。昔もやった。怖くない。プロカメラマンの塚本さんに教わったコツを頭の片方で唱えた。
しかし、倒れていない森の一群が時折見られる。何故残っているのだろう?誰でもわかる事なのだが、その場所を地図で探し、初陸上踏査を行ったことで、極く短時間での大きな発見に繋がる。我々のスピードダッシュは更に加速した。鳥の目で見ることの大切さを身を持って感じた。
ヘリは最大限、海岸林に沿って飛行した。気仙沼市大島で引き換えし、再び宮城南部を往路同様に飛び、二度目は少し観察の目を持ちながら撮影した。もう陸上踏査のポイントは決まった。
この動画はホームページで見ていただくことができる。

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