振り返りブログ25 「育苗に協力したい」との日々の問い合わせ
実に様々なお相手、内容であった。中でも圧倒的に多かったのが
「自ら苗木を育てたい」というお申し出。
今も断続的に続いている。る。皆様の考え方は、一般市民からすれば至極もっともなことだと思う。
手帳をもとに少し振り返ってみた。
「工場の空き地で労組組合員に苗を育てる指導をしてもらえば協力できる。」(都内)
「息子がクロマツ種苗農家を営んでいる。買ってもらえないか。」(東北日本海側)
「常緑広葉樹を4万本育てている。買いませんか。」(四国)
「子どもたちに苗木を育てさせ、一本●円の寄付を募る手伝いをしたい」(都内)
「限界集落の耕作放棄地を使って、地元の老人で育苗したい」(中部)
「潜在植生である木々を植える趣旨で是非一緒に」(関東)
「費用の支援と、広葉樹を育てる指導にきてくれれば有志で」(中部)
知られざる状況は、一般の方には 理解しようにも、無理がある。
できるだけ丁寧に答える努力をしたつもりだ。
震災前から苗木を育てて生計を立ててきた種苗農家の人たちの顔を思い浮かべながら。
私たちも2011年5月頃までは、クロマツ・広葉樹の育苗シュミレーションを一応検討した。
しかし、「海岸林」はクロマツが主林木となろうこと、林業種苗法の存在、
担い手は誰が相応しいか、支援者側への技術指導や諸費用、ロジスティックなど総合的に考えた。
対象地は「保安林」に指定されている場所でもある。苗木は仕様書に沿うことが求められる。
従って、あくまでも行政が立てる復興計画への協力を大原則とし、担い手としては
被災地農家の有志に対し、雇用を通じて生計支援しながら実施することを5月末には決めた。
お問い合わせには応じることはできなくても、精一杯説明する努力をするのも
先陣を切るものの責務と考えた。このお問い合わせがきっかけで、大変熱心に協力して下さる方もいる。
ブログでたびたび登場する神奈川のIさんはその代表の一人。
しかし、それは稀なこと。やっぱり皆さん自分がやりたいのだから、仕方ないことだと思う。
今後長期間にわたり、行政・種苗農家は総力を挙げて海岸林再生に対処することになる。
我々はその一員として努力する道を選んでいる。
【主催:H.I.S】海岸林再生プロジェクト視察ツアーのご案内
震災から間もなく2年が経過しますね。 会員企業でもあるH.I.Sより海岸林視察ツアーのご提案をいただき、 3月9日(土)に実施することにいたしました。 翌日は大河ドラマ「八重の桜」の福島を訪問する企画です。
当プロジェクトに初めて訪問される方をイメージして、予定を組んでおります。 オイスカのパーツでは、被災海岸林と、国の治山工事の様子(工区には立ち入れ ないですが)、育苗場や、被災した農家の方からお話を伺う予定です。 精一杯説明しようと思います。
育苗を共にする地元の農家の皆様は、日々ご自身の農業にフル回転で従事し、 その上でクロマツに情熱を注いでいます。 今回は第1育苗場班長ご夫妻が説明する予定です。この機会をぜひ活かしていただければ。 地元自治会長もされており、まさに地域のために奮闘されている人です。 (ブログで度々出てくる「とんちゃん」には100%関与しています)
当ツアーにご関心の方は下記をご覧ください。 http://www.his-j.com/tyo/eco/japan/eco-tohoku_2013_3.htm
http://ameblo.jp/his-eco/entry-11455844999.html
オイスカ愛知県支部事務局の訪問記1
オイスカ愛知県支部からの今後の支援への熱い期待が込めて、 1月17日・18日と海岸林再生プロジェクトを視察・業務調整に行きました。
今後の活動への熱い期待を込めて。
私にとっては、2回目の視察でしたが、 今も元の住宅地が何もないさら地になっている事に想像を超えた 被害の大きさを改めて感じました。
名取市立閖上中学校を見ましたが、校門を入ってすぐのところに 碑があり、碑の隣に勉強机が置いてありました。 机の上には、亡くなった子供たちの名前が書かれてありました。 友達が書いたようです。 子を持つ親として、子供を天災で突然に失う痛みに思いを馳せました。
現在のプロジェクトは、苗場でのクロマツの育成です。 第一育苗場と第二育苗場があり、2箇所に分かれています。
第一育苗場に事務所(プレハブ2棟)が隣接しています。 苗場は、雪に埋もれていましたが、クロマツの苗木が15cm程に元気に育っていました。
平成26年の春までに30cm位まで伸ばして海岸に植える予定です。 国によって高さ3.5m、幅200m以上の盛り土をした後、植える予定だと聞きました。 とんでもない大きな事業です。
滞在中に、(株)ニコン・読売日本交響楽団とJTBコーポレートセールスが縁を繋いで、 3月6日(水)に読売日本交響楽団さんによる復興支援特別講演「きぼうの音楽会」in名取と 海岸林再生プロジェクトの写真展を名取市市民会館にて 同時開催する準備をしていました。地元住民による名取市海岸林再生の会、 名取市などの行政、企業・個人などとオイスカが協働している舞台裏でした。
同じ志の団体や個人が縁を繋ぎながら、夢の実現の為に活動しています。
愛知県豊田市では、2月9日(土)に豊田市民会館において 「白砂青松の海岸林を再び」というテーマにてコンサートと講演会を行います。 名取市海岸林再生の会の会長である鈴木英二氏も現地の報告をしていただきます。 http://www.oisca.org/kaiganrin/751 お近くの人は、是非ご参加下さい。
ご連絡先:オイスカ中部日本研修センター 電話0565(42)1101
オイスカ愛知県支部 森田
とうとう、名取に盛土出現!
今は国土交通省の防潮堤工事のダンプにも増して、 林野庁の表示を付けたダンプの数が目立ちます。 目に見えて工事が進捗している印象です。 ちょっと工事を近くで見ようとするのも明らかに邪魔です。
名取市南部は8工区71haの工事が落札され、 約500,000m3の盛土工事と、「東北森林管理局HPの入札情報」で公開されております。
10tダンプで約15万台分の購入土、津波堆積物、コンクリートがら等が持ち込まれ、 今年度中工事完了を目指しているのだと思います。
名取南部だけで15万台のダンプとは圧倒されます。
地下水位が高く、排水も悪く、今は湿地状になっている箇所の多い 宮城南部の海岸林再生の最大の特徴は「盛土」です。 海岸林の主林木となるクロマツの深根性を発揮するため、ここでは生育に必要な高さと 見込まれる3.5mの盛土が設計されました。
人工物の上で木を植えるのですから、今は違和感がありますが、 後々は、その昔、人の手で造られたと言われている空港近くの北釜地区の高みと、 津波を経ても、今もそこに生える木々のように、生活も守るインフラになると思います。
*技量が追い付いていないため、写真添付はまた後日。
ごめんなさい。
東京の小学生からお便りをいただきました。
東京のバレー教室の子どもたちにも募金を協力して頂きました。 こんにちは。 私は小さい頃、上海にあるオイスカ幼稚園に通っていました。
園内には、たくさんの木や、木で作られたおもちゃがあったり、 プールの中にお魚をはなして、その中で一緒に遊んだり、 楽しかった思い出 が沢山あります。 オイスカの幼稚園で本当に良かったです。ありがとうございました。 今回海岸に木を植えるプロジェクトに参加出来て本当に嬉しいです。 大好きなバレエを踊って、自然のため、人のために役に立てました。 木が大きく育ってくれるように願っています。よろしくお願いします。 ps. 10ヶ年のプロジェクト、今11歳の彼女が20歳になっていますね。 子供の成長と松の成長が重なる思いです。 小さな苗がいづれ彼女たちを守ってくれるのですね。 子供も苗も健やかに育ちますように。宜しくお願い致します。 ご紹介されていた「森林飽和」も読ませて頂きます。 新聞で松が発芽しているのを見て、改めて植物の生命力の強さ、 またこのプロジェクトの確かな信頼を感じました。 今回このようなかたちで参加させていただき、ありがとうございました。 今後もクラスの皆とともに、松の成長、復興を願っております。 *先生より。
国の防潮堤工事の概況(資料あり)
国土交通省の防潮堤工事に加え、林野庁の治山工事も始まっているため、 工事現場に近寄るのは全くはばかられる雰囲気が現場には漂います。
視覚的にも、とてもわかりやすい資料を国土交通省仙台河川国道事務所HPで 偶然見つけました。 http://www.thr.mlit.go.jp/sendai/kasen_kaigan/fukkou/pdf/121102.pdf ご関心があればぜひご覧ください。
それにしても、みんな資料を作るのが上手でうらやましい。
国の治山工事の概況(資料あり)
国の「治山工事」が目に見えて進んでおります。 *海でも「治山」といいます。
全体を掴むのに良い資料を東北森林管理局HPにあります。
http://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/koho/saigaijoho/h23_higasinihon_daisinsai.html
特に
●「海岸防災林の再生について(宮城県沿岸域現地連絡調整会議H24,11,7開催)
●海岸林等の復旧の考え方 *各地域の方針
この資料が視覚的にもわかりやすいです。
名取市の海岸林は全体138ha。
大まかにいうと、海側より県有林、市有林、国有林の3列になっており、
北部は依然「がれき置場」ですが、南部約70haは10工区に分けて
昨年から随時入札がかけられ、治山工事が始まっております。
そのうち8工区が落札済みです。
ここでの治山工事とは主に、「測量」、「生育基盤造成工」(盛土工。倒伏木処理含む)、
「作業道工」「防風柵工」などから成り、仙台の七北田川以南~福島県境の山元町までの
宮城南部に関しては、被害程度があまりに甚大なことなどから国・県・市有林の違いを問わず、国によって施工されます。
*これを民有地直轄治山事業(通称:民直)という。大災害後に年数件実施されています。
この治山工事の費用は復興交付金が原資です。
「平成24年度から概ね5年で基盤造成を行い、10年以内で植栽を完了する」
というのが大方針です。
参考)盛土工事の状況は東北森林管理局HP「入札情報」
http://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/apply/publicsale/index.html
*一般競争入札一覧、契約に関する情報
名取にも盛土が出現しております。
明日以降、レポートします。
愛知県の中学校からの協力
愛知県豊田市立藤岡中学校から募金を頂きました。
豊田市HP
http://www.city.toyota.aichi.jp/pressrelease/1248664_7011.html
「生徒会で生徒や先生方から募金です。少ないですが海岸林再生に
役立てて下さい。心から応援しています」
生徒さんの字で郵便払込票にメッセージがありました。
これまでの募金活動で集めた募金を、校長先生と生徒会長、 福祉委員長さんが、
豊田市勘八町の山の上にあるオイスカ中部日本研修センターまで届けてくださったと、
1月12日付けの中日新聞にも掲載されておりました。
「少ないですが」と書いてありましたが、
この募金では、より大勢の方に「なぜ海岸林再生が必要なのか」ご理解いただき、
できるだけ大勢の方から、無理なく少しずつご協力いただくことに力を入れており、
今回のような協力方法で、しかも若い世代に協力頂くことはとても嬉しいのです。
11月にお目にかかった校長先生の表情を思い出します。
ありがとうございます。
またお会いしましょう!
年末、懇意の記者さんと10か月ぶりにお会いしました。
プレスリリース前から取材を受けていましたが、私にはまさに「記者」と感じていました。
「失敗したら、糾弾するぞ」なんて言って、励ままれたことも。
県外に異動されて、原発に近い方面で勤務されています。「頭の半分は原発ですよ」と言っていた。
この方は、僕らの播種・苗の様子を見ぬまま、風のように単身赴任で異動されたため、
写真をゆっくり見てもらいました。
途中でポツッと言われたのが、「オイスカは、万が一、東南海地震や何かの災害があっても、
例え自分達では活動が出来なくても、例え海岸林でなくても、
どんな分野でも応用できる仕組みをつくったよね」と。
この人はそう見てくれていたのか。
確かにNPOや公益法人とは、行政サービスの谷間や、
多くのセクターとの繋ぎ、コーディネート、潤滑油、接着剤という
存在意義があると思います。機動力、企画力が持ち味だと思います。
しかし、帰路もずっとリフレインしましたが、まだ自分の力で咀嚼しきれません。
万が一、今の我々の経験を他でも活用することを望まれた場合、
理解しやすいよう準備しておくのも、責務なのかもしれないと思いました。
でも、どう表現していいか今はわからないし、そのゆとりもないのが正直なところです。
大きな宿題を与えられた気がします。
日経ビジネスオンラインに掲載されました。
合同会社西友の海岸林再生などに関する取り組みが、
日経ビジネスオンラインに「使徒明確で広まる寄附文化」として掲載されました。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20121227/241651/
全国の西友のレジに行きますと、オイスカの再生プロジェクトなど、
「4つのカード」などが下がっており、お客様は希望する先を選んで寄附することが出来ます。
掲載内容に触れられていた「どう使われるか分からない(分かりにくい)」という従来の課題に対し、
我々も、色々な方のアドバイスも受けながら、多くの方の力も借りながら、
果敢に取り組んでいこうと思います。

