黙々と作業にあたるボランティアの皆さん

黙々と作業にあたる
ボランティアの皆さん


7万5千本の植栽完了後、ボランティアの方には、育苗場の除草に加え、植栽現場での保育作業として襟裳岬で教わった「根踏み」と、根元への「チップ寄せ」をお願いしています。
根踏みは、強風にあおられて根元が緩んで枯損する事への対処。
チップ寄せは、保湿と、飛砂で根元が痛むこと、強風による根元の土の喪失、根回りの雑草からの保護、将来の肥料など目的は多岐。
プロには、限られた植栽適期のなかで、穂が伸び始める前に7万5千本を植え終わるようスピードを要求しますが、我々にはボランティアの存在を活かし、さらに丁寧さを追求し、括着率を上げて補植本数(支出)を減らすことを目標にして、この作業をお願いしています。
プロにはプロにしかできないことを、名取市海岸林再生の会には再生の会が成すべきことをボランティアにはボランティアだからこそできる仕事を。
プロと素人の分業です。
「助かるっす!」宮城中央森林組合の佐々木秀義君は言っています。
作業班もボランティアを見る目が変わってきました。
再利用されたクロマツが 新しいクロマツを守ります

再利用されたクロマツが
新しいクロマツを守ります


50~120年ほど前に植えられ、2011年に津波で倒された名取の松は全てその場でチップ化され再利用されています。津波で倒されておよそ2年の間、松は倒れたままになっていましたが、その光景を幾度も幾度も見た、林野庁「東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会」座長の太田猛彦先生(東京大学名誉教授・オイスカ顧問)は「松も被害者。それなのに倒されて枯れてもなお、内地を飛砂から守っている」と評されました。
被災前、成立していたと思われるクロマツ等、6万㎥(オイスカ試算)は破砕され、「マルチング」として広大な植栽基盤盛土一面に敷かれ、砂の移動を食い止めるよう林野庁が設計しました。
愛情を持って管理してきた人だから、そういう発想になったと思います。
しかし、沿岸とはあまりの強風。意図的に粗く破砕したこぶし大のチップですら飛ばされます。ですが苗にとっては夏までが大きな山場。
ですからこの時期にはこの時期の最善の努力を行います。
ボランティアの手で15ha、7万5千本の保育と一口に言っても、相手は広大な面積。
私自身もいつも気が遠くなっていますが、それでも半分終わりました。
7月は毎週多数お見えになります。心強い。
その上毎度、何度も現場に来ているリーダーらしいリーダーがいて、リピーターが多数。
動きの質が良くなっています。黙々と作業にあたる姿を見習いますから。みんな。
ボランティアの参加人数はもちろんですが、
実働時間と作業実績は、「人工数」(にんくすう)として整理し、今後の管理に活かします。
植えられたマツだけでなく、倒されて枯れたマツも、多くの人にお世話をしてもらって本望ではないかと、
私はいつも思うんです。ボランティアの皆さん、いつも本当にありがとうございます。

ベストドレッサー賞!

2014年6月23日( カテゴリー: 現場レポート )

6月21日のボランティアの日、暑さ対策を上手にしている2人組を発見!
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前田建設工業さんに勤務する若い女性2人。
大阪から来てくださいました。

この日、日差しはさほど強烈ではなかったものの
日焼け止めを塗っていない男性陣の中には
「お酒、飲みましたよね」と仲間にからかわれるほど
真っ赤に日焼けしている人もいました。
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そんな中、麦わら素材の帽子の後ろに黒い布が付いた
キャディさんのような、農家の女性のようなスタイルで作業に臨んだおふたり。
この日のためにわざわざ購入してこられたのだそう。
(そうですよね、普通若いOLさんはこの帽子、持っていませんよね・・・)

最近は、女性向けのオシャレな農業ファッションブランドがあったりして
かわいい軍手や長靴、帽子などもそろっているようです。
ガーデニング用に購入される方も多いのだとか。

今回のボランティアは、ちょうど男女の割合が半々に。
オシャレな女性ボランティアさんが増えると男性も張り切ってしまうかも!?

7月以降に参加される皆さん、9月ぐらいまでの暑さは想像を絶すると思います。
水分を多めに持参、それからこのような暑さ対策をお忘れなく!!

ボランティア活動レポート

2014年6月22日( カテゴリー: 現場レポート )

昨日、50名の参加を得てボランティア活動が行われました。
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午前中はひたすら育苗場の草取り。
先月も現場に来られていた企業の方は、
雑草の茂り方にびっくり。
「あれ? 先月何も草、ありませんでしたよね・・・・・・」

kusa_b←苗の目線で撮影するとマツの苗が完全に草に隠れてしまっているのが分かります。草に埋もれたマツが草と一緒に抜けてしまわないよう注意しながら抜いていきます。
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右の写真、草を取ったところとそうでないところの差がよく分かります。しゃがんでただひたすら草を抜くわけですから単調な作業といえますが、地味ながら達成感はなかなかのもの。見えなかったマツがきれいに並んでいる様子が見えるようになるのですから!同じ会社でも部署が違って日頃交流がない人たちとおしゃべりをしながら、他社の社員の皆さんと交流をしながら昼まで作業が続きました。

これが作業前。雑草で覆われた濃い緑の帯に見えます

これが作業前。
雑草で覆われた濃い緑の帯に見えます


これが作業後。 苗が並んでいる様子がよく分かるようになりました!

これが作業後。
苗が並ぶ様子がよく分かるようになりました!


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

午後は植栽現場に移動して、またまた地道な作業が続きます。

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苗の根元にチップを寄せてあげる作業です。
慣れない鍬を手にはるか先、見えない向こうの方まで
ただただ一本ずつこなしていく作業。
sagyo2根元にこうしてチップが寄せてあると
乾燥を防ぐことができますし、砂の混じった
強風で根元が傷つくのも防げます。

一本でも多くの苗が厳しい環境を生き抜けるよう
ボランティアさんの地道な活動が必要となります。
リピーターも増えてきています。地元から毎回参加してくださる方も。

参加してくださった皆さん、ありがとうございました。

来月は19日(土)がボランティア活動の日です。
募集に関してはこちらをご覧ください!

スクワット600回

2014年6月21日( カテゴリー: 現場レポート )

皆さん、スクワット600回できますか?

突然の質問ですみません。
植栽を終えた現場では今、
毎日スクワット600回が続けられています。

何のためのスクワットか。
それは施肥作業のため。

植えられた苗木の周りに穴を掘って肥料を入れていきます。
力は要りませんが、しゃがんで立ち上がって、
次の苗に移動して、またしゃがんで・・・の繰り返し。
一日600本の苗木に播種をしますからスクワット600回なのです。

どの作業をとっても楽なものはありません。
手を抜かず、丁寧に続けていくことが苗を確実に成長させることになるのです。

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しゃがんで・・・


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立って・・・

まだ、記録の整理ができていませんが、
4月~6月でボランティアに来て下さった方は1,000人以上。
毎月、毎日お願いする仕事は異なります。
宮城中央森林組合による植栽現場と名取市海岸林再生の会による育苗現場をフォローし、
「丁寧さを極める」部分にご尽力いただいています。
最近は主に、植栽現場では苗の「根踏み」と「根元へのチップ寄せ」。
育苗場では「除草」です。
今週末は60名が来て下さりますが、その仕事になるでしょう。

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プロによる施肥作業


75,000本の植栽を終え、植栽現場では宮城中央森林組合による「施肥」が連日続いております。
今月中に終わらせようと必死です。雨の日は肥料を入れるための苗の横の穴掘りだけでも進めています。
プロによる仕事をボランティアが追いかけるイメージです。
根踏みは、風によって苗が振られ根と土に空洞ができて枯れることへの対抗策で、襟裳岬で林野庁や森林組合職員から教わりました。根元へのチップ寄せは、保湿、飛砂からの根元保護、将来の肥料になります。
ボランティアによる草取り作業

ボランティアによる草取り作業


 
これからは「熱中症」に注意しなければなりません。
昨日は曇天。特に暑くもありませんでしたが、
寝不足で、飲み物をあまり持たずに現場に出ていたところ、久々危険信号でした。
林業会社に勤めている頃、毎日4リットル(1リットルの保温ボトルで小分けに中身を変えて4本)持って山に上がったことを思い出します。塩キャンディーや梅干しも口にしました。
明日は約50人が来訪予定。
人海戦術で前進させたいです。
体調に気を付けて頑張りましょう。

ANA マイレージキャンペーン

2014年6月19日( カテゴリー: 本部発 )

今月ANAが展開中の“海岸林再生マイルプロジェクト”に
オイスカの中野良子会長が大きな協力をしてくださいました!

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↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

3000マイル×10口の支援です。

どうぞ、ANAのマイルをお持ちの方、
「海岸林再生プロジェクト」へのご支援をよろしくお願いします。
今月末までの受付です。

6月17日、オイスカの会員組織、宮城県支部幹事会と総会が開催されました。
年に2度3度、いつも会員の半数以上が出席いただき、
常々活動報告の時間をいただき、より最新の現場情報と、
自信を持ってお勧めできる現場型講師の講演会を。
思えば震災当日、亀井昭伍会長以下、会員さんたちは
タイ北部へ植林現場視察からの帰路。成田経由で仙台空港に向かう最中。
飛行機は引き返し、陸路丸一日かけて仙台に戻ったと聞いています。
私が初めてこの総会の場に立ったのは、
震災から半年以上過ぎ、仙台中心部は幾分か落ち着きを得た後。
地元の会員から受け入れられなければ、プロジェクトは本物ではなく
まさに必勝を期して臨んだ「プレゼン」でした。
突き刺すような多くの目を前に、マイクなしで、
腹の底からありったけの声で説明したことを覚えています。
企業関係者も多いのですが、まだご自身の会社も再起の途上。
にも関わらず、何とも言えない大きな手ごたえを感じました。
以来3年、この会員というオイスカの基盤を何十年も支えて下さる人がいなければ、
我々に後ろ盾はなく、どれほど心細かった事でしょう。
会員組織の会合に行くと、大学運動部の恩師に言われた言葉を思い出します。
「君たちが努力したからこの場で試合ができると思ったら間違いだ。
弱い時代からの積み重ねがあって、踏み止まり、一歩ずつ上に上がり、
大きな過ちを犯さず、努力し続けた先輩たちがいたから、
君たちはこの部に入部でき、今この場で試合ができるんだ」

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すみません。写真は昨年のものです・・・・・・


支部が設立されて30数年。
ここにいる方たちは10年以上会員の方が半数以上。
養豚の技能実習生を受け入れ続けて下さる農家さんも、仙台トヨペット、トヨタ部品宮城共販の各社さんをはじめ、現場のボランティアだけでなく、写真展での説明役を買って出て下さる企業や個人も。
今日もほっと一息の懇親会。
ですが、席を一つずつ回っていると、食事どころではありません。

水耕栽培と樹木の水はけ

2014年6月17日( カテゴリー: 本部発, 清藤先生の視点 )

先日ある方から、「海岸林の盛土植栽地では水はけが悪く、
その対策に苦労されておられますが、水はけが悪いと根腐れをおこして枯れてしまうのに、
水耕栽培では問題なく生育するのはどうしてでしょうか?」と実に素朴な疑問を投げかけられました。
なぜ根腐れがおこすのかについて少し解説します。
人間も動物も呼吸するために、空気・酸素がなければ生きていけません。
植物は二酸化炭素を吸って酸素を出すのですから、
酸素はいらないのか・・・といいますとそうではありません。
「植物の根」は人間・動物同様に「呼吸」をしているのです。
呼吸ですから酸素を含む空気が必要なのです。
根腐れは、根の周りの空気・酸素が不足し(嫌気性・けんきせい)、
根が呼吸できずに窒息するのです。その後、嫌気性菌が根を分解し、
根が腐った状態に至り、根腐れということになります。
mizuhake雨が降り土壌中に水溜まりが出来て何日も抜けないということは、窒息で枯れ根腐れに至るということになります。沢筋で水につかっている樹木が枯れないのは、流れる水には酸素が溶け込んでいる(エアレーション)ためです。ですから流水だという条件が大事です。
樹木で水耕栽培しても基本的にはエアレーションしないといずれ水の酸素不足で窒息死となります。
草花が水耕栽培で生きられる例が多いのは、茎の中の空洞を通し地上から地中の根に酸素を供給しているためです。また根の一部が空中に出ていて気根となって空気を取り込んでいるからです。

竹の生命力

2014年6月16日( カテゴリー: 海岸林あれこれ )

名取市の近くのとある海岸林再生現場。
視察をしている際にこんなものを発見。
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土にさしてある目印用の竹の節のところから
芽が出ていました!
「すごい生命力!」
「そのうち、この竹が海岸のマツ林を駆逐していくのかも」
「防潮堤のすぐ後ろだから、潮風に耐えられないんじゃない?」
みんなで好き勝手にコメントし、盛り上がりました。
この若竹の芽、今後どうなっていくか気になります。

先日ブログで紹介した豊田推進協議会の光岡保之会長より
レポートが届きましたのでご紹介します。(原文はPDFより)
光岡会長は1984年からオイスカの会員で
2000年からは豊田支局(現・豊田推進協議会)の会長を務めています。
2006年12月にはご自身でNPO法人を立ち上げ、
内モンゴルのオイスカ阿垃善を支援し続けています。

                                                                                                                        

海岸林再生プロジェクトに参加して

       今、海岸林にクロマツの植林が…
東日本大震災では多くの尊い命と共にふるさとの原風景であり、
生活のインフラである海岸林が大きな被害を受けました。
今、宮城県名取市を中心に、海岸林にクロマツを植林していく活動が
オイスカと 地元の人達で進められています。
2020年までに100ha、50万本の植林が目標ですが、今年はすでに15ha、
75000本が植えられました。私達も20名で参加してきました。
その参加の中で多くの学びときずきをいただきましたし、
とても楽しい活動でした。

復興には程遠い現実も
しかし現地では、まだ震災の爪痕が生々しく残っていました。
特に新聞やテレビでもよく紹介された閖上地区は居住禁止区域に
なっていて、だれも住めず壊れた家や学校が、
そのまま残っていました。地域のコミュニティーは崩壊したままで、
まだ復興にはほど遠い現実を目の当たりにしました。
震災から3年余、社会全体では目まぐるしい動きに翻弄されて、
徐々に震災の痛みが風化されがちですが、
現地では時間がたてば解決することではありません。

そっと寄りそっていくこと
3年前、私の主宰するNPO法人グリーングラスロッツで陸前高田市へ
ガレキ拾いに行った時のことです被災地の人たちが
「ボランティアがしてほしいのではないが、何回も来てほしい」
「私達を忘れないでほしい」と言われました。
帰りのバスの前に1人の老人が近寄ってきて深々とバスに向かって
一礼されたこと、私達は忘れません。
海岸林の再生も緒についたばかりです。
来年も又、被災地へ来ることを約束して帰途につきました。
これからも被災地にそっと寄りそっていきましょう。

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前列左から4人目が光岡会長

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